どうも太田アベル(@LandscapeSketch)です。
先日から6ベイの高性能NAS「 QNAP TVS-675の特集」をしています。
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今日はM.2 SSDを搭載し、SSDキャッシュとして使用するまでの手順を追ってみます。
搭載も設定もカンタンなのに、あらゆる機能に効果が出る!
M.2 SSDキャッシュとその利点とは
QNAP製品の中には、M.2 SSDスロットを備えるNASがあります。
従来であれば、SSDキャッシュを使うためにはHDDと入れ替えでSSDを入れるため、ドライブベイを消費するかたちになっていました。例えば4ベイNASなら、HDD x2台、SSD x2台などという構成になります。
HDDの本数が減るので当然構成できるRAIDレベルは下がり、大容量を実現するためには1本のHDDを大容量化するしかありません。
安全性やコストのバランスがむずかしかったのです。
しかし新しい「M.2 SSDスロット」は、ドライブベイとはまったく別になるため、ディスクの本数を減らさず、SSDキャッシュを実現することが可能になるのです。
たとえばTVS-675なら、6本のHDD+2本のM.2 SSDを搭載することができます。RAID 6の安全性と、SSDキャッシュの高速性、どちらも得ることができます。
M.2 SSD増設作業
ではさっそくM.2 SSDを搭載してみましょう。
今回搭載するのは、ちょうど手元にあったA-DATA XPG 8200 Pro 256GBを2本です。
入手性や評判がよいNAS用M.2 SSDは「WD RED SN700」などがあります。
組み立ててみましょう。
背面のネジ3本を外します。
本体ケースを開けます。
正面から見て右側にマザーボードがあります。
メモリの下側にある白線で書かれた部分が、M.2 SSDの場所になります。
後ろ側に青色の留め具があります。これを開いた状態にします。(左にかたむいた状態)
次にM.2 SSDを、コネクタに対し少し斜め上から差しこみ、そのまま平行になるように倒していきます。グッと押し込むと青色の留め具がカチッとはまり、固定されます。
これで完了!
あとはケースを閉じればOKです。
とてもカンタン!!
SSDキャッシュの設定
本体が無事に起動したら、SSDキャッシュの設定です。
QTSにログインし、「ストレージ&スナップショット」アプリを開き、左から「キャッシュ加速」を開きます。
タイトル画面が表示されましたら大きな「+」ボタンを押して進みます。
簡易的な解説が出ます。
キャッシュをどのタイプに設定するか選択します。
- 読み取り専用
- 読み取り/書き込み
- 書き込み専用
「読み取り/書き込み」と「書き込み専用」には、M.2 SSDが2本必要です。これはM.2 SSDでRAID 1を組み、書き込み信頼性を担保するためです。
SSDキャッシュは書き込んだデータをすぐにHDDには書かず、いったんSSDで保持し、空いている時間で書き込んでいきます。このときにSSDが故障すると、本来書き込むべきデータが消失してしまいます。そのためRAID 1で2本のSSDに同じデータを保持し、1本壊れたとしてももう1本が作業を続けられるようにするのです。
読み取り専用なら消えてしまうものはありませんので、SSD 1本で運用できます。
次にオーバープロビジョニング設定です。
少々解説します。
技術的な詳細は長くなるので割愛しますが、SSDは書き込みを繰り返すとしだいに劣化し、速度の低下やデータエラーが起こります。またSSDは構造上、80~90%以上データで埋めつくされると、急激に遅くなります。
こういった症状を起こりにくくするのが、オーバープロビジョニングです。
「安全地帯」となる余分なスペースを確保しておき、一部の素子に偏って記録をしないよう、またデータがいっぱいにならないように調整するのです。
他メーカーのNASではオーバープロビジョニング設定がなく、100%になるまでキャッシュしてしまい、速度低下を起こすこともあります。非常に重要な設定です。
割り当ての最適解を得るには、「SSDプロファイリングツール」を使いますが、個人用途なら深く考えず20~30%程度確保すれば十分です。つまり250GBのSSDなら、50GBを余裕スペースとし、200GBほどをメインに使うわけですね。
最後はどのボリュームをキャッシュするかの設定です。
ボリュームが一つしかなければそのままでOKです。
ファイルシステムオプションという部分がありますが、個人用途ならデフォルト設定で問題ありません。
もし非常に細かなファイルを大量に(数百万ファイル単位)扱うとか、巨大な動画データばかり扱うとか、そういう事情がわかっているのなら、変更すれば多少効果があります。
以上の設定で完了です!
QTS、ファイルアクセス、仮想PCすべてが速度アップ!
キャッシュ完成後にアクセスすると、QTSの管理画面が非常にキビキビと動きます!
もちろんファイルのアクセスもスピードアップ!一度アクセスしたファイルはSSDから送り出されるので、LANのフルスピードでアクセスできます。
一番体感できるのが写真の管理です。
Adobe LightroomやLuminarなどのフォトカタログソフトは、同じ写真に何度もアクセスします。一度アクセス下写真はSSDキャッシュに入るため、カタログを行き来する速度がまったく変わります!
一度開いたフォルダは「パッ」と表示されます。
2.5GbEの速度を十分に活かせ、写真の編集快適度が数倍にアップするはずです。
さらに大きな効果は仮想化環境。
NASの中で仮想的なPCを作り、Windowsなどを動かす技術です。詳しくは仮想化環境の記事をご参照ください。
仮想化環境はディスクアクセスが非常に多い機能です。
SSDキャッシュがないと、ずっとHDDがガリガリと言い続け、気分の良いものではありません。もちろんHDDの負担は上がり、寿命にも関わってくるでしょう。
SSDキャッシュがあると、目に見えてアクセスが減ります!
HDDの音は静かになり、仮想PCの速度もワンランクアップ。操作が軽くなります。
SSDキャッシュは多方面に効果の大きなオプションなのです!
WTS的まとめ
取り付けは簡単で、設定もむずかしくありません。
それなのに、HDDアクセスは静かになり、ファイルアクセスは爆速になり、QTSの操作は速くなり、仮想化環境まで軽くなる!
はっきりいって「積まなきゃソン!」と言えるオプションです。
M.2 SSDスロット搭載NASを持っていたら、ぜひとも活用してください。
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