QNAP NASを10GbEに対応させワンランク上の速度を!オプションパーツを実機レビュー

どうも太田アベル(@LandscapeSketch)です。

先日から6ベイの高性能NAS「 QNAP TVS-675の特集」をしています。

 

ビジネスやクリエイティブワークで大量のファイルを扱う場合、アクセス速度は速ければ速いほどありがたいものです。

レビュー中のQNAP TVS-675など、最新の2.5GbE(2.5Gbps)のLANを搭載したものが登場してきており、200MB/s以上の非常に快適な速度を実現しています。(※速度はHDDやSSDキャッシュの性能によります)

ただ、4Kの動画素材を出し入れしたり、大量のRAW写真を現像する場合、もっともっとアクセス速度がほしいと欲が出てきます。

前回6ディスクとSSDキャッシュを搭載したTVS-675をベンチマークしたところ、ほぼ2.5GbEの理論限界速度に達しており、これ以上は望めません。実力はまだまだ上にあるはずです。

TVS-675 2.5GbEアクセス速度 ベンチマーク

 

そこで今日は、NASとPCにより強力な5~10GbE機器を接続し、TVS-675の真の実力を探っていきます!

  • PCIeカード、LANハブ、USBアダプタまですべてQNAP製が販売されている
  • どの機材も安定度が高く、大手サイトのレビューも好評
  • しっかりと速度が出る
  • 価格的にはまだまだ高価で、個人では気軽に導入できない

接続機器

まず押さえておかなくてはならないポイントは、ネットワーク機器は全ての速度をそろえなければ、最高速度は出せないという部分。

たとえPCとNASが10Gbpsに対応していても、中継するLANハブが1Gbpsなら、1Gbpsが上限となってしまいます(ボトルネック化)。またケーブルも、カテゴリ5など古いものでは、ノイズが乗って速度は出せません。

  • PC
  • ケーブル
  • ハブ
  • NAS

すべてを速度に対応したものにそろえる必要があります。

 

幸いQNAPは、全経路を5~10GbEに対応させる機材を揃えています。

NASからクライアントまで、すべてQNAP製品で統一することも可能です。NASで培った堅牢性で、どの商品も安定性が高いと評判です。

今回は以下の機材をメーカーから借り受け、テストを行なっていきます。

QNA-UC5G1T USB 3.0ポートに接続し、最大5GbEに対応できるアダプタ。PCとNASに対応。
QXG-10G2T-X710 PCIeスロットに接続し、最大10GbEのポートを2ポート増設できるボード。PCとNASに対応。
QSW-2104-2T-JP 10GbE対応ポートを2基、2.5GbE対応ポートを4基備えた、アンマネージドスイッチングハブ。

コネクタは全てRJ45なので、社内のケーブルを交換せずに10GbE対応できる可能性が高い。(※カテゴリ6以上推奨)

PCへQNA-UC5G1Tを接続

まずPC側の準備です。

PC側にはUSB接続のQNA-UC5G1Tを使用します。

QNAP QNA-UC5G1T

QNAP QNA-UC5G1T 5GbE対応USBアダプタ

 

USB接続タイプで、ノートPCであってもカンタンに増設できます。Windows 10では専用ドライバのセットアップが必要でした。公式サイトからダウンロード可能です。

速度はUSB 3.2 Gen 1接続( = USB 3.1 Gen 1 / = USB 3.0)なので、最大5Gbps。LANも5Gbps、USBも5Gbpsなので、USBも限界を試されます。(笑)

本体は片手サイズですが、USB機器としてはけっこう大ぶりでしょうか。

USB機器としては大きめ

QXG-10G2T-X710をNASへ増設

続いてNAS側の準備です。

QXG-10G2T-X710は、PCとQNAP NASに対応している10GbE対応PCI-Expressカード。接続はPCIe 3.0の4レーンを使用します。

10GbEを2ポート搭載し、最大20Gbpsの転送速度を実現。コネクタはRJ45で、今まで通りのLANケーブルが使えます。ただし10GbEを実現するためには、カテゴリ6A以上のケーブルが必須となります。

QNAP QXG-10G2T-X710 箱

 

QNAP QXG-10G2T-X710 10GbE対応PCIeカード

RJ45タイプのコネクタを接続できる

PCに接続するときは、空いているPCIeポートが何レーンのものか事前にご確認を。グラフィックスボードを搭載している機種の場合、空いているのは1レーンしかない場合があります。1レーンでは物理的に挿すことができません。

逆に16レーンの長いタイプがあるなら挿すことが可能です。大は小を兼ねるということです。

PCIeコネクタは4レーン幅となる。1レーンには物理的に挿し込めない

 

今回はレビュー中のQNAP TVS-675に搭載します。

標準ではフルハイトのプレートが付いていますので、これをNAS用プレートに交換します。ネジ2本を外し、交換するだけ。

PCIeプレートは3種類が付属する

 

NAS本体ケースを開けると、上部にPCIeスロットが見えます。

 

ここに差し込めばいいんだな、と、作業を開始しようとしたが思わぬ難問が!

このネジの位置を見ていただきたいのですが、電源ボックスとネジの間が4cmほどしかありません。当然、普通のドライバーでは差し込むことは不可能です。

PCIeスロットのねじが普通では回せない

 

マニュアルを見ても「ネジを取ってボードを差しこみ、ネジを締めます」程度のことしか書いてありません。L字型のドライバーを動員して試すも、ネジを外すことはなんとかできましたが・・・

 

PCIeボードを差しこみ、プレートをネジ留めすれば完成・・・なのですが、取り付けが不可能と言えるほどむずかしい!難易度SSS!

この小さなスキマに指を入れ、さらに平行に回すなんて、もはやネジ取り付けの神、もしくは超能力者でなければ不可能です。指に力が入りません!

本体を倒してみたり、オフセットドライバーでそーっと入れようとしてみたり、あらゆる方法を試しましたが、ついに1回も回すことができず、20分ほどで挫折しました。(笑)

 

そこで電源ボックスをずらしてみることにしました。

電源ボックスは本体背面の3本、内側に2本の計5本のネジで留まっています。これをはずせば、ケーブルを外すこともなくあっさりとずらせました。

電源ボックスのネジを外したところ

電源ボックスはカンタンにずらせた

 

電源ボックスさえどかしてしまえばカンタン!

ロングドライバーで無事に締めることができました。作業時間5分

あの20分の格闘はなんだったのか・・・

 

後日QNAPサポートに連絡したところ、上記の「電源ボックスをずらして取り付ける」が正解だったことが判明!書いておいてよ・・・orz

 

取り付けたら電源を入れます。LANケーブルは、設定のために最初は本体標準のポートに接続しておきましょう。(万が一10GbEボードの認識がされなくても、QTSにすんなりと入るため)

ドライバの設定などむずかしい操作は一切要求されず、すんなりと認識してくれました!さすが、純正品は使いやすい。純正カードなので、NASに問題が出たときも、本体とともに保証対応をしてもらえるのも心強い。

TVS-675 10GbEアダプタはすんなり認識された

正常に機材が動くのが確認できたら、10GbEのケーブルQXG-10G2T-X710側に取り付け、IPなどの設定を行いましょう。

 

認識はすんなりでしたが、カードのファン音が気になります。

小型ファンがけっこう高回転で回っており、高音の「ジーッ」という音がずっと聞こえています。かなり静かなTVS-675の本体ファンと比較すると耳につきます。

ケースを閉めれば音は少し小さくなり、オフィス内ならまったく問題にならないほどの音量になります。ですが個人用途として使うのならNAS本体のファン音よりも気になると思うので(特に夜中)、注意してほしいところ。

 

※10GbEが1ポートでも良いのなら、ファンレスの「QXG-10G1T」があります。PC、QNAPのNASに対応しています。これなら音が気になることはありません。

まずはPC / NASを直結してテスト!

最初はPCとNASを直結状態にしてテストします。手順です。

  • 互いにIPを固定し接続
  • TVS-675にiSCSI領域を10GB確保
  • Windows iSCSIイニシエータにて領域をマウント。NTFSでフォーマット

Crystal Disk Markにてテストします。

※PC側のQNA-UC5G1Tは5GbEのため、最大5Gbpsでの接続結果になります。

 

うおおお!これはすごい!

 

やはり、TVS-675は2.5GbE以上の能力を秘めていました!もはや内蔵SATA SSDと言えるほどのアクセス速度です!

シーケンシャルアクセスは400MB/sを超えます。これならNASに動画素材を置いたまま、動画編集することも可能になりそうです。

まさに新時代の速度。これから未来に必須となるであろう速度を実現しています!1GBのファイルがものの数秒で転送が終わり、5GBのファイル転送がわずか30秒!

この速度がネットワーク経由で使えるのですから最高です。

QSW-2104-2T-JPハブも優秀

続いて10GbE対応ハブ「QSW-2104-2T-JP」を中継してみましょう。

QNAP 10GbE対応LANハブ QSW-2104-2T-JP

ハブの速度が遅く、ネットワークの速度をスポイルしてしまうことも良くあること。直結の状態からどれほど速度が低下するかで、ハブの性能がわかります。

テストしてみたところ、さすがに少し性能はスポイルされるものの、400Mbps前後の転送速度を保っています。スループット能力は十分だといえるでしょう。

今回は環境がなく5GbEでのテストですが、10GbEでも問題のないスループットを発揮してくれるはずです。機会があれば再度検証していきたいと思います。

WTS的まとめ

最近はPCIeカードが装着できない小型のPCが増えてきています。USB経由でも5GbEを実現できるQNA-UC5G1Tは非常に便利です。

そして新世代10GbEにもしっかりと対応できるカードとハブ。NASを中心に高速回線を組んでいけば、社内全体のデータの流れがワンランクアップするはずです!

1Gbps回線は現在の使われ方にはもうまったく追いついていません。

これからは2.5GbE以上を最低限と考え、ネットワークを組んでいきたいですね。

 

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