いまさらながらMeta Quest 2を買ってまいりました!
ずっとOculus Rift S(以下Rift S)で遊んできたのに、Meta Quest 2が発売してから2年もたってなぜいまさら買い換え!?とお思いになるかもしれませんが、いろいろ調べていまさらの購入です。
Rift Sといろいろ比較しながら、Rift Sユーザーが乗り換えるべきかどうか、レビューしていきたいと思います!
結論から言いますと、Rift Sからも乗り換えはオススメ!
なぜいまごろMeta Quest 2?その経緯
実はいままで、Meta Quest 2はPC専用機となるOculus Rift Sの下位モデルだと思い込んでいたんですね。
単独で動作するVRゴーグルとしては、Lenovo「ミラージュ」や、スマホを差し込むタイプのVRゴーグルなどにも数台触れてきており、結果として「単独動作では、画質もトラッキング精度も、まだまだPC接続にはかなわないな。もうしばらくRift Sは現役だろう」と感じていました。
いくつも触れるうちに、「単体動作=低能力」とみずから刷り込んでしまっていたわけです。
さて、最近VRChatなどにも少し参加するようになり、快適だと思っていたRift Sの画質にも不満が出てきました。
Rift Sは解像度は片目あたり1,280×1,440ドット@80Hzとなっており、後発のライバル機と比べるとさすがに見劣りします。実際の映像としても、ちょっとジャギー(ギザギザ)が感じられるところが多くあります。文字が読みづらいことが多々あります。
そもそもRift Sの発売は2019年。当時VRゴーグルと言えばRift S 一択状態でしたが、その後に各社から多様なゴーグルが発売されました。後発のHTC Vive、Valve Index、HP Reverb G2などは、両目3K、4K、5Kと高解像度を実現しています。
その中でもゲームプラットフォーム「Steam」を運営するValve社が開発する「Valve Index」を、買い換えの第1候補としました。
すでにSteamゲームをたくさん持っていて(2,300本オーバー)、最も使っているプラットフォームなので、純正扱いとなるValve Indexは使いやすそうだと感じたのです。
とはいえ、1セット15万円以上の価格がまずネック。
またルームサイズVR(歩いても感知する機能)を実現するための、「Lighthouse用モジュール」の設置がめんどうそう。体の動きを捉えるため、部屋にセンサーを設置しなければならないのです。
しかもこのセンサーが2つもある。
ケーブルも2セット、ACアダプタも2セット、そのうえ部屋の高い位置に固定しなければなりません。広いアメリカの住宅ならまだしも、狭い日本家屋ではかなりキビしい。
しかもLighthouseセンサーは高周波音が気になるという情報が多々あり、これまたマイナスポイント。
対してRift Sは、インサイドアウトカメラで体の移動を感知します。動きを感知するセンサーバーが必要だったのは2世代前までです。いまさらセンサーを設置するのは、数年前に逆行する気分です。
さらにValve Indexも2019年発売であり、新モデルがいつ登場してもおかしくないほど時間が経過しています(※当記事の執筆は2022年)。
買ったとたんにモデルチェンジしたら3日は寝込みます。
買うなら次世代機が出たとたんに買いたいが・・・その日は予想がつきません。
Vive Proは高解像度なものの、レンズの性能がいまいちでエッジのボケが多く、文字が読みにくいという意見があり、これまた迷わせる。
1セット20万円近くという価格も、同様にきつい。これならまだ定評あるValve Indexかなと。
HP Reverbe G2は片目2160×2160の高い解像度で、しかも実売6万円という安さがすばらしい。
ただ、Windows MR準拠という点が、慣れていないので使い勝手がわからない。
加えて、コントローラーが上下の動きに弱いらしく、顔より上のトラッキングがかなり不正確だという評判が。
手が自由に動かせてこそのVRなので、動きが悪いのは大きなマイナスです。せめてコントロールはRift S並でなければ不満になりそう。
いやーどうしようかなーと迷っていたところにMeta Quest 2が目に留まりました。
安いからこれでも・・・あれ?Rift Sより高解像度?
Meta Quest 2はRift Sと同じMetaが販売しており、実売37,180円(128GB)という低価格が魅力。(※2024年3月にに価格改定でお安くなりました。)
ただ、僕は例の「単独動作=低性能」の刷り込みで全然興味を持っていませんでした。
ですが同じOculus(Meta)シリーズなので、使い慣れた環境がそのまま移行できそうなのがうれしい。
無線式は自由度が高いし、新しいから機械的にもバージョンアップしている点もあるのかなぁと調べると・・・
あれ?Rift Sより高解像度じゃないのこれ?
そうなのです。
片目あたりの解像度が1832×1920で、Rift Sの1.5倍ぐらいに!さらにリフレッシュレートは90Hz(実験バージョンで120Hzも動作可能)で、こちらもRift S(80Hz)を上回る!
さらにさらに、USB経由の「Oculus Link」やWi-Fi経由の「Air Link」を使えば、そのままRift Sのソフトが動くですと!?
あれ?もしかしてRift Sいらなくない?(悟り)
初期バージョンを8万円で買った、僕のRift Sが37,000円のQuest 2に完敗している?
Rift Sが販売終了したのは知っていましたが、後継機発売のためだとばかり思っていました。Quest 2がすでに上位互換だったんですね・・・(ノД`)ナケル
Quest 2が到着
気がつくと僕の前にはMeta Quest 2が到着していました。
というか上位互換の事実を知った直後にアマゾンでポチってさきほどヤマトさんが置いていった。
開封の儀は(2年前に)そこらじゅうでやられているので、手短に。
Rift Sはかなり大きな箱で来ましたが、Quest 2は細長い手ごろな箱です。
コントローラー2個と本体、充電用ケーブルというシンプルなセット。
Quest 2のバンドは、Rift Sのようなクッションを備えたガッチリしたフレームではなく、長さ調節ができる単なるゴムバンド。これがサイズダウンを実現しています。
コントローラーはRift Sとあまり変わらない形。ボタンの位置も同じなので、Rift Sユーザーは迷うことはないでしょう。
色がホワイトなのがうれしい。清潔感があります。
うおーーー!無線のフリーダム!!
おもむろにスイッチオン!
スイッチを押すだけで起動するのは、本気で便利!
Rift Sは
- Display PortケーブルとUSB 3.0ケーブルが合体した、かなり太いケーブルをPCにつなぎ
- PCを立ち上げる
- Oculusソフトウェアを立ち上げる
このような儀式を通って、ようやっとゴーグルに映像が流れてきます。
Quest 2ならスイッチオンですぐに映像が!!
フリーーーーーダム!!VRは自由だーーーーーーーーーー!!
あまりの感動で近所に響きわたるほどの大声を発しながら部屋の中を走り回るようなことはせず、僕は静かに無線の感動を味わった。
ヤバい、確実にRift Sよりキレイだ!
そして映像。
うおー!ホーム画面きれい!めっちゃきれい!
マイルーム(ホーム画面)に入ったと同時に、ひとめでRift Sよりきれいだということが分かります!
ジャギーを感じる部分はとても少なく、文字がめちゃめちゃ読みやすい!
例えるならNintedo 3DSからNintendo Switchに変わったぐらいの衝撃。
ここまで段違いだとうれしいやら悲しいやら。Rift Sは残念ながら完敗です。(8万円・・・)
スクリーンドア(細かい格子状の模様)も、ジーッと観察しても見分けられないほど、キレイに消されています。気になることはまったくありません。Rift Sでは白い画面などでは普通に見えていました。
レンズ間の距離調整、ゴーグルの上下調整をしっかりすれば、明るくボケの少ないクリアな映像を届けてくれます。レンズフレアが起こることもなく、色味はとても自然。Oculusシリーズで培ったレンズ技術はしっかりと受け継がれています。
音響も十分にきれいな音で響きます。
音はヘッドホンではなく、Rift Sと同じように非接触で耳に向けて響かせるタイプです。
音漏れがある、というかほぼまるごとの音が外部の人に聞こえますので、言うのがはばかられるソフトをプレイする場合は特にご注意を。(笑)
またコントローラの振動が進化しています。
たとえばアイコンに触れたときなどは「カタッ」という感触があり、触れたかどうかをしっかりと感じ取ることができます。
Nintendo SwitchやiPhoneなどにも搭載されている、「HD振動」というやつでしょうか?
Rift Sは何をさわっても「ジー」っという、昔のスマホのようなふるえるだけの振動だったので、感触が新鮮です。
よりVR内の世界を感じ取ることができました。
セットアップはまあまあわかりやすい
セットアップはスマホと連携しながら進めるようになっています
他社の無線VRゴーグルでは、ゴーグル内ですべて設定しなければならないものもあり、長いパスワードをゴーグルを付けたり外したりして必死で入力した記憶が。セットアップがすでに無理ゲーという機種もありました。(ミラージュなど)
Quest 2では、スマホのOculusアプリがQuest 2と連携しながらセットアップを進めます。
アカウントの登録、Wi-Fiの登録など、スマホアプリで設定した情報がQuest 2に送信され、長いパスワードでも無理がありません。
数回ゴーグルをかぶったり脱いだりと手間な部分はありますが、初めての人でも落ち着いて進めれば、詰まるところはなさそうです。
悪名高いFacebookアカウントとの連携ですが、これはまあ許容するしかありませんね。
MetaはOculusのユーザー情報を得るために、これほどの性能の機材を安く販売しているのです。ユーザー情報という”副産物”がなければ、Quest 2はもっと高額になったはずです。
頭への固定は良くない
問題は頭の固定バンド。
こちらははっきり言ってRift Sの足下にも及びません。すっごいフツーのゴムバンドです。
ゴムバンドは微調整がしづらく、ゆるいかキツイかのどちらかになってしまいます。かぶる深さも調節しづらく、浅いところで止まってしまい、すっぽりと頭が固定される感じではない。
カチッと固定されないため、頭をグルッと回すとゴーグルごとズレ、映像がボケてしまうことも多々あります。上下に動かすとかなり頻繁にズレる。
特に後ろ側の固定が弱く、重心が前にかかるため、Quest 2の下フチが目の下の骨あたりに食い込んできます。この攻撃が地味に継続ダメージを与えてくる。
動いてもズレないようにすると、今度は頭が痛いぐらい締め付ける必要があります。(孫悟空かよ)
食い込みを緩和しようと上のベルクロの長さをいろいろ調節してみますが、今度は目の位置が適正ではなく、映像がボケてしまう。
しばらく調節を続けましたが、「頭にフィットしてピントも合う」ちょうどよいポイントがまったくもって見つかりません。
頭の形でかなり個人差はあると思いますが、僕は頭を上下するたびに顔への食い込みがひどくなり、長時間のプレイはきつかった。目の疲れよりも食い込みダメージがつらい。ドラクエで言うなら毒のダメージタイプ。
しっかり固定できる、別のベルトへ交換を検討しています。→ その後買い換えました。レビューはこちら。
メガネに関してもRift Sより条件がキビしい。
使っているメガネは横長のタイプですが、ゴーグルに入れるのはかなりきつめ。
上からかたむけながらグイグイ入れる感じで、ギリ入ります。が、プレイ中はメガネのツルが押しつけられる感覚がずっとあります。メガネが曲がらないか不安。
クッションも社外品を検討中。→ その後買い換えました。レビューはこちら。
頭全体にかぶり、後ろのダイヤルを回すだけでピタッと固定されるRift Sは優秀だった。これは完全にコストの差が出ています。
その分大げさな形となってしまいますが、現状はこれしかないでしょう。
2030年ぐらいの未来から見れば、笑っちゃう大きさかもしれませんね。
ただ、僕はRift Sを体験していたからこそこの不便さがわかりますが、初めてQuest 2を買った人は「なんだか痛くて見づらいけど、これがVRなのかなぁ」で終わってしまいそう。それでは非常にもったいない!
付属ゲームも楽しく、コントローラーの感度も上々
付属のゲームや体験映像をみてましたが、PC経由のRift Sとそん色ない感じ。むしろゲームによってはRift Sよりもきれいです。
Quest 2のみで遊べるゲームはどれも最適化されていて、映像は美しく、音楽も立体的でとてもよい!90Hzのリフレッシュレートに合わせてあり、すばやい振り向きでもしっかりと追従します。
なによりケーブルがないので引っかかりを気にせず遊べるのは、本当にラク!
単体動作は低性能だと思い込んでいたのは、もったいなかったーー!
なんでも思い込みはいけませんね。
また詳しく紹介しますが、USBケーブルで接続しOculus Linkを経由すれば、Rift Sの資産がそのまま使えます。いままでに購入したソフトがムダにならないのがうれしい。
USBケーブルは純正だと1万円近くする上に、けっこう壊れやすいとレビューがあります。激安のものもありますが、僕はANKER製のケーブルを購入。またレビューします。
4.9mと非常に余裕のある長さで、ケーブルもやわらかく、取り回しは楽。この長さでも通信速度は2.2~3Gbpsをマークしており、まったく問題ありませんでした。
Steam VRもちょっと設定は必要だったものの、しっかり動きました。
Rirt Sのゲームは、映像はほぼそのまま。高解像度に対応して少しきれいに見えるソフトもあります。
ただ、お気に入りの「The Blu」が起動できませんでした。起動は始まりますが、タイトル画面のあたりでホームに戻ってきてしまいます。強制終了される感じ。
全ソフトが対応できるわけではなさそうです。
2022/7/10追記:
TwitterでThe BluをOculus Link経由で動いたとコメントをもらいました!Steam VR経由で動かすとのこと。また検証してみます。
訂正
Linkを起動して、DashメニューのライブラリのSteamVRからSteamVRを起動し、SteamVRホームでThe Bluを選択して起動という流れでやっています— crysisjake (@crysisjake) July 10, 2022
WTS的まとめ
単体動作で非常に手軽なのに、VR空間を十分に満喫できます!さらに37,000円前後からの価格もお手軽すぎる!(※現在は値上げされてしまいました)
過去、僕が買ってきたOculus DK1(16万円・個人輸入)、CV1(12万円)、Rift S(8万円)はなんだったんだ、とついつい考えてしまいます。でもVRという言葉すら希少な時代に、友人や家族をVR空間に連れて行けたのは、大きな意義があったと思います。
と無理やり美談にこじつける。
Oculusシリーズを買い始めて10年近く。無線化でまた1段リアルさが増したと感じます。
これからはさらなる小型化と高解像度化、手や指のキャプチャー、足の動きまで、リアルとVRが混ざり合う”メタ”の状態に向かって、着実に進化していくのでしょう。
VRをお試ししたいのならまずはMeta Quest 2。間違いなくおすすめできます!
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