TP-Link Deco XE200 実機レビュー | トライバンド Wi-Fi 6E / 10GbE搭載のハイエンドメッシュルーター

いまや家庭になくてはならない装置になったWi-Fi(無線LAN)ルーター。パソコン、スマホ、ゲームマシンやTV、防犯カメラまで。Wi-Fiを必要とする機器は増える一方です。

最近は各種映像サービスもフルHDや4K映像が主流になりつつあり、家族4人で同時に再生したりすれば、一瞬でルーターの限界に達するほどのデータ量となりました。

家中にしっかりと電波が届き、さらに家族全員で高画質動画を楽しめる余裕がほしい・・・

そんな「電波渋滞」を解消できるルーターが必要とされているのです。

 

今回TP-Linkから新発売となった「Deco XE200」は、新しい帯域6GHzを利用する”Wi-Fi 6E”に対応。

(画像は公式サイトより)

 

従来より大きな帯域と多数のチャンネルが利用でき、一般的な2.4Ghz、5GHzと完全に分かれることで電波の自由度が増し、高速・低遅延通信が可能となったのです!

さらにこのWi-Fi速度をスポイルしないよう、家庭用としては最高速といえる10GbEのLANポートを装備。増えつつある10Gbpsインターネット接続サービスを、余すところなく利用できます。

もちろんDecoシリーズの特徴である、とても簡単な「メッシュ構築」機能も健在。複数ユニットを組み合わせることで手軽に範囲を拡張し、家庭内のあらゆる場所で安定・高速・シームレスな通信を楽しめるのです。

今回メーカーから体験機を提供いただきましたので、さっそくその実力をレビューしていきましょう!

  • インテリアになじむシンプルなカタチ
  • 複数台で手軽にメッシュを構築可能
  • わかりやすい設定アプリ
  • 超高速 AXE11000クラス (4804Mbps + 4804Mbps + 1148Mbps)
  • 新規格Wi-Fi 6Eに対応したトライバンドアンテナ
  • 10GbE LANポートを装備
  • 高速通信でも余裕を持って処理するクアッドコアCPU

TP-Link Deco XE200 公式ページ

デザイン

今回入手したのは2台セットのパッケージです。他には1台のみのパッケージがあります。

まず1台だけ設置してみて、電波が足りなければ買い足していく、という使い方も可能です。公式サイトでは2台パックは5LDK、1台は4LDKをサポートできるとされています。

トライバンドアンテナを採用しているので、1台でもミドルグレードのルーターより広い範囲をカバーできるはずです。

 

本体デザインを見ていきましょう。

色はスッキリとした明るいホワイト。まるで紙を丸めたような形になっているデザインが、モダンな印象です。外部アンテナなどが飛び出していないので、設置場所を選びません。

紙を丸めたようなデザイン。上面はクリア素材を重ねてあり高級感がある。

 

ロゴも小さく控えめ。落ち着いた雰囲気です。

ロゴは控えめで落ち着いたデザイン

 

公式の寸法は130(幅) × 123.5 (奥行き) × 241 (高さ) mmとなっています。

中身が詰まっているのか、意外にずしりとした重さを感じます。重さは約929g。この重量おかげで、下にすぼまっていくデザインですが、安定しています。

 

背面に3つのLANケーブルコネクタ、ACアダプタのコネクタを装備。

AXE11000という超広帯域のWi-Fi速度をしっかり活用できるよう、家庭用としては最高速に近い10GbE(10Gbps)LANを1ポート装備。

その他2ポートは1Gbpsとなっています。

1Gbps以上のインターネット回線には、必ず10GbEポートで接続するようにしましょう。

一番下が10GbEポート

 

多数のLEDがチカチカと光りまくるルーターも多く存在しますが(というか大半がそんな感じですが)、Deco XE200は本体下部にふんわり光るLEDが1つのみです。

LEDは青、赤、黄、緑で状況を知らせるのみで、アクセスごとに点滅したりはしません。落ち着いた印象を与えます。

詳しい状況はアプリから詳しく見られるので、これで十分なのです。

スマホアプリでカンタン設定

設定はスマホアプリ「TP-Link Deco」から行います。

 

設定はウィザード形式で流れにそって進めれば、一般的な家庭用回線なら初めてでもすんなりと設定できそうです。接続方法から始まり、ネットワークIDの入力まで、スムーズに進みます。

むずかしい専門用語はほとんど出てこず、ルーター設定経験がなくても混乱する部分は少ないでしょう。

設定を間違えてDecoが反応しなくなったり、なんどやっても回線にうまくつながらない場合は、いったん本体をリセット(下部のリセットスイッチをつまようじなどで長押し)してから再度行うと、スムーズに進む場合があります。

 

複数台のDeco XE200がある場合は、設定の流れのなかでメッシュに参加させることができ、むずかしい設定はまったくありません。

このカンタンさは、長年Wi-Fiルーターをさわっている人ほどびっくりするはず。

通常、複数台のルーターを連携させるには、ブリッジ切り替え、固定IP設定、電波が重なる場合はバンド設定などなど、専門的な知識と設定を必要とします。

しかしDeco XE200はすんなりと複数台が連携し、しかもSSID(ネットワーク名)がたった1つにまとまります

SSIDがまとまる便利さ

SSIDが1つにまとまると、利用者には非常にベンリになります。

Deco以外のルーターでは、中継器や複数台連携をするとSSIDが分かれてしまいます。例として以下のような感じです。

  • router-A-2.4G
  • router-A-5G
  • router-B-2.4G
  • router-B-5G

などと多数のSSIDが発生し、電波が弱い場所に来たら自分で切り替えなければなりません。慣れていてもけっこうめんどうですし、機械に弱い家族はずっと「電波 1本」の状態でイライラしながら使っていたりします。

Deco XE200なら一切切り替え操作は必要ありません。移動して電波が弱まると、最も電波が強いルーターに自動的に電波を切り替えます。しかも切り替え中に接続が切れることもありません。

家中どこにいっても強い電波を拾うことができるのです。

6GHz帯のバックポート

Deco XE200の大きな特徴である6GHz帯。

高速で電波干渉の少ないこの帯域は、2台でメッシュを組んだ場合にバックホール(Deco同士が通信する専用バンド)として利用されています。

この仕組みにより、複数台でも通信速度の低下を可能な限り防ぎます。

アプリで見ると、6GHz帯がバックホールとなっていることがわかる

遠距離からでも高速通信

2階建ての住宅で、まず1Fに1台だけ設置したところ、ほとんど電波3を保ちました。かなり強力です。

2台を設置すれば家の中でどれだけ動いても一瞬でも電波が下がることなく、常に3本立ち続けまったく不安感がありません。

公式サイトでは1ユニットで最大カバー範囲310m²、2ユニットで最大カバー範囲600m²もの広範囲をサポート可能。

三階建ての家、マンションの上下などでも電波を通せそうです。(※住宅構造で影響を受けるので、断言はできません。)

ベンチマーク

便利な機能満載のDeco XE200ですが、高速化を目当てに購入する人も多いでしょう。

さっそく速度を比較してみましょう。

比較するのは同じくTP-Linkのミドルグレード・メッシュルーターDeco X60レビューはこちら)です。

TP-Link Deco X60

Deco X60はWi-Fi6対応、メッシュ対応、AX3000、ギガビットLANポートを備えたミドルグレードのルーターです。手ごろな価格ながら、一般家庭なら十分すぎるほどの速度と安定製があります。

どれほどの違いが出るのでしょうか。

インターネット回線のテスト

まずインターネットの速度です。インターネット回線は1Gbps光回線です。

Fast.comにて6回(PC 3回、iPhone 14 Pro 3回)ずつ計測し、平均値を掲載しています。時間帯は同じなので、回線の混雑状況はほぼ同じです。

Deco XE200 ネットワークの限界速度を引き出してくれる

メインDeco側
(インターネットルーター直結)
2Fに設置したサテライトDeco側
Deco XE200 890Mbps 320Mbps
Deco X60 710Mbps 200Mbps

 

インターネット回線は1Gbpsなので、X60でも限界まで引き出している・・・と思っていましたが、XE200はさらに最高速度を引っぱり上げます。

10GbEポートに接続したので、LANの余裕は出たとは思いますが、回線の速さが上がるわけではありません。しかしこの速度差。

ときには900Mbpsを超えるほどの速度を示し、高速なDeco X60でも何らかのボトルネックがあったのだろうかと考えてしまいます。

サテライト側(2F)でも明らかにDeco XE200の速度が上がっています。Deco対Deco間の速度が非常に速まっているからでしょう。6GHz帯が効いていると感じます。

1GBのファイルをNASに転送

次にNASに接続し、ファイルの転送速度を見てみます。NASは10GbEに対応した超高速NAS Synology DS1621xs+に接続しています。

DS1621xs+(10GbE) → Deco XE200(サテライト / 10GbEポート) → Wi-Fi → Deco XE200(メイン / 10GbEポート) → PC(Wi-Fi 6)

ちょっと複雑ですが、上記のような接続になります。要はNASから10GbEで送り出し、Deco XE200をWi-Fi経由し、PCで受け取る、と理解していただければ大丈夫です。

1GBのファイル転送
Deco XE200 平均43秒
Deco X60 平均1分28秒

およそ1/3といってもいいほどの転送時間になりました。

Deco X60は5Ghz帯が最大2402Mbpsに対し、Dexo XE200は4804Mbpsと倍の速度に引き上げられています。さらに6GHz帯を使うことで近所のほとんどの電波と干渉することがありません。

メッシュ全体の速度が底上げされたといっていいでしょう。

 

動画の遅さ、ゲームのダウンロード速度に悩んでいたら、インターネット回線の契約をアップグレードするより、まずルーターをDeco XE200に変えてみるのもいいかもしれませんよ!

WTS的まとめ

大きさはありますが、シンプルでオシャレなデザインなので目立たないのがうれしいですね。

このカタチに最新技術が惜しげもなく詰めこまれています。

従来ではボトルネックとなっていた部分がほとんどつぶされ、現状”最強”といってもいい仕上がりになっています。

簡単な操作で複数台を連携させメッシュを作り、家全体をカバーする電波を広げることができます。かなり大きな家でも電波環境の改善が期待できます。

細かく機能比較をするよりも、「とりあえず全部入り」のDeco XE200を選んでみるのはどうでしょうか。

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