TP-Linkから、メッシュ型ルーターの新製品「Deco X50」が発売されました!
Decoシリーズはいくつかのグレードに分かれておりまして、Wi-Fi 6対応の最新シリーズは以下の構成になります。
商品名 | グレード | 機能 |
Deco X20 | ローグレード | Wi-Fi 6対応 AX1800 4ストリーム 1Gbps LAN 2ポート |
Deco X60 | ミドルグレード | Wi-Fi 6対応 AX3000 6ストリーム 1Gbps LAN 2ポート |
Deco X90 | ハイエンドグレード | Wi-Fi 6対応 AX6600 8ストリーム 2.5Gbps / 1Gbps LAN 各1ポート |
(※上記以外にも、ボイス対応のDecoシリーズなどが存在します)
今回はDeco X50ということで、X20よりけっこう上でX60よりもちょっと下、という微妙な数字になっています。いったいどのような位置づけのルーターなのか、Deco X20と比較しつつ、レビューしていきます!
- インテリアになじむシンプルなカタチ
- わかりやすい設定アプリ
- 超高速 合計3000Mbps (AX3000 2402+574Mbps)
- 新規格Wi-Fi 6に対応
DecoシリーズとArcherシリーズの違いは?
TP-LinkにはArcherシリーズとDecoシリーズの、大きく2つのルーターシリーズがあります。
Decoシリーズは、標準でメッシュ対応していることが大きく違います。つまり、複数台同じものを購入すれば、わずかな操作でシームレスにつながる機能がウリとなっています。
逆にArcherシリーズは、単体で超高速を目指しているシリーズだと感じます。
もちろんArcherシリーズも、RE600XなどのWi-Fi拡張機器とWi-Fiメッシュ(OneMesh)を組むことはできます。
ですが基本的に別製品なので、ルーター接続後にOneMeshの設定をしなければならず、Decoよりも一手間がかかります。(Archer AX72のレビューはこちら/RE600Xのレビューはこちら)
Archerはかなり高速なタイプが発売されていますが、拡張機側はそれほど高速なタイプはなくありません。おのずと速度も制限されてしまいます。(Archer X72ならAX5400だが、RE600XはAX1800までとなる)
ごく自然に複数台が連携し、さらにお互いがフルスピードでつながるDecoシリーズは、メッシュWi-Fiに初挑戦する人でも安心なカンタンなうえ、高速性も確保できるのが特長です。
Deco X20、X60との違いは
つづいて今回のDeco X50の位置づけです。
DecoシリーズのWi-Fi 6製品は主にX90、X60、X20がいままで販売されています。数字の大きな方が高速&高機能となります。(他の機能を備えたDecoシリーズもあります)
冒頭の比較表にX50を加え、もういちど掲載します。
商品名 | グレード | 機能 |
Deco X20 | ローグレード | Wi-Fi 6対応 AX1800 4ストリーム 1Gbps LAN 2ポート |
Deco X50 | ミドルグレード | Wi-Fi 6対応 AX3000 4ストリーム 1Gbps LAN 3ポート |
Deco X60 | ミドルアッパーグレード | Wi-Fi 6対応 AX3000 6ストリーム 1Gbps LAN 2ポート |
Deco X90 | ハイエンドグレード | Wi-Fi 6対応 AX6600 8ストリーム 2.5Gbps / 1Gbps LAN 各1ポート |
合計通信帯域「AX3000」は上位のX60と同じですが、内部ストリーム数がX60が6本のところ、X50は4本となります。
「ストリーム数」とは、内部の物理的なアンテナが受け持つことができる、データの流れの本数です。多ければ多いほど同時に接続できる端末が多くなり、高速通信の余裕がうまれます。
内部アンテナ | ストリーム数 | |
Deco X60 | 4 | 6 |
Deco X50 | 2 | 4 |
つまり、X50はX60と同等の通信速度ですが、X60ほど多くの端末と高速接続できないモデル、と言えます。このあたりが差別化のポイントでしょう。
ストリーム数は減ってはいますが、公式では「最大接続台数150台(Deco X50)」とされており、一般家庭ではまったく問題にならない単位です。4人家族のスマホやパソコン程度であれば、全員がほぼフルスピードで接続できるはずです。
ただ、もしあなたがスマホが50台、PS5とXBoxとNintedo Switchが50台、Amazon Echoが30台、パソコンが20台あるような宮殿にお住まいの場合、ギリギリになります。その場合はX60やX90を検討すべきでしょう。
Deco X20と通信速度を比較
現在筆者の手元にはローグレードのDeco X20があります。実際の性能を比較してみましょう!
まず親機側(インターネット回線直結側)の速度です。
速度はWi-Fi 6に対応しているiPhone 13 Proにて、Fast.comにアクセスする速度を計測しました。(インターネット回線はコミュファ光 1ギガホーム)
Deco X50 | Deco X20 | |
親機側 |
上記は3回計測し、中間の値を掲載しました。最高値ではありません。
それでも性能の違いは一目瞭然です!
X20でも600Mbps以上をコンスタントに出しており、非常に満足していました。4K動画を数人で同時に観ても、ほとんど画質低下はみられません。
しかし、X50に変えただけなのに、さらに100Mbpsもアップ!700Mbpsをコンスタントに突破するのです!同じ回線、同じ時間なのに!
理由はWi-Fi の5Ghz帯の通信速度の違い。
Deco X20は1201Mbpsですが、Deco X50は2402Mbps。そもそもの帯域が2倍なので、データ詰まりが起こりにくくなり、回線速度を十分に引き出しています。
続いて子機(サテライト)側。一部屋離れた場所に設置し、その近くで計測しました。
こちらはさらに差が大きく、ほぼ2倍となっています。
Deco X50 | Deco X20 | |
メッシュ(サテライト側) |
DecoとDecoの間は5GHz帯でつながります。つまり、5GHzの速度がそのまま反映されてしまうのです。
Deco X20は1201Mbpsなので、単位をバイトに直すと「150.1Mbyte/s」。Deco X50は2402Mbpsなので、単位を直すと「300.2Mbyte/s」となります。これが通信の上限速度です。
Deco X20はどんなに電波環境をよくしても、150Mbps以上出ることはありません。メッシュを広げた先では、少し速度低下が気になる場合があります。
実際筆者も、はなれた部屋でのゲームのダウンロードは非常に時間がかかるため、大容量ゲームはわざわざ親機の近くまで持ってきてダウンロードしていました。だいぶ違いました。
Deco X50にすればこの手間はかけなくても良さそうです。
Steamで大型ゲームをダウンロードしてみました。
Deco X20では最大でも15MB/sほどでしたが、Deco X50では30MB/sを超えました!20GBの大型ゲームでもおよそ10分以内にダウンロードでき、非常に快適です。
Deco X50はメッシュで電波を広げた離れた部屋でも、いままでより高速な通信を楽しめる、ということがわかります。
デザイン
本体デザインを見ていきます。
今回のテストは2台セット版です。他には1台のみ、または3台のセットもあります。最初は1台から始め、電波が足りなければ買い足していく、という使い方も可能です。
色はミルキーな明るいホワイト。アンテナなどが飛び出していない、まったくシンプルな円筒形です。この飾り気のなさは潔さ(いさぎよさ)すら感じさせます。
細かな点ですが、Deco X20では「TP-Link」のロゴマークでしたが、Deco X50では「Deco」になっています。
大きさは 110 × 110 × 114 mm 。片手に乗るコンパクトサイズです。中身が詰まっているのか、もしくはズレ防止に重りが入っているのか、意外にずしりとした重さを感じます。
ちなみに本体サイズは、X20、X50、X60はまったく同じになります。もし混在させても、インテリアの統一感が保てます。
複数台でトーテムポールの作成も可能です。
(※故障の危険があるのでやめましょう)
背面には3ポートの有線LANコネクタ、ACアダプタのコネクタがあります。
上位のX60は2ポートなので、下位グレードなのにX50の方が1ポート多い!PS5など有線LANのあるゲーム機も増えてきていますので、活用の幅が広がりますね。
ネット回線(光モデムなど)につなぐLANポートはどこでもかまいません。
起動すると多数のLEDがチカチカと光りまくるルーターも多くありますが(というか大半がそんな感じですが)、Deco X50は本体下部にふんわりとLEDの光を放ちます。
LEDは青、赤、黄で状況を知らせるのみで、非常に落ち着いた印象を与えます。詳細はアプリから詳しく見られるので、これで十分なのです。
いちいちマニュアルを見ずにすむように、箱に書いてあるのもいいですね!
ACアダプタはDeco X20と比べると明らかに大きい。機能が多い分、電力も消費するのかもしれません。
スマホアプリでカンタン設定
設定はスマホアプリ「TP-Link Deco」から行います。
設定はウィザード形式で、流れにそって進めれば一般的な家庭用回線ならすんなりと設定できそうです。
むずかしい専門用語はほとんど出てこず、はじめてでも混乱する部分は少ないでしょう。
Decoが反応しなくなったり、回線設定がうまくいかない場合は、いったん本体をリセット(下部のリセットスイッチでクリアする)してから再度行うと、スムーズに行く場合があります。
下写真の小さな穴に爪楊枝などをさしこみ、リセットを行います。
複数台のDeco X50がある場合でも、設定の流れ中で自然に接続することができ、むずかしいことなくカンタンにメッシュを構築できました!カンタンでびっくりです。
通常、複数台のルーターを連携させるには、ブリッジ切り替え、固定IP設定、電波が重なる場合はバンド設定などなど、かなりむずかしいものです。しかしDeco X50は、すんなりと複数台が連携し、しかもSSID(ネットワーク名)がたった1つにまとまります!
SSID(ネットワーク名)がたった1つに!
Deco以外のルーターでメッシュ構築すると、SSID(ネットワーク名)が分かれる場合がほとんど。
- router-A-2.4G
- router-A-5G
- router-B-2.4G
- router-B-5G
上記のように多数の電波を自分で選択しなくてならず、さらに移動して電波が弱くなったらネットワークの切り替えや、優先度の設定を行う必要があるのです。
Deco X50なら一切操作の必要がありません。常に最も電波が強いルーターに自動的に切り替えてくれ、しかも切り替え中に接続が途切れることもありません。
設定も子機の接続も非常に便利で、進化を感じます。
遠距離からでも高速通信
2階建ての住宅で、1Fと2Fに設置してみたところ、1台のルーターではアンテナが1~2本をさまよっていた部屋でも、常にアンテナが3本以上立つようになりました。
家の中でどれだけ動いても常に3本立ち続け、まったく不安感がありません。
Wi-Fiメッシュは非常に快適です!
また家の中のどこでも動画がスムーズになりました。
動画のザラツキに悩んでいたら、光回線の契約をアップするより、まずルーターをDeco X50に変えてみるというのも有効かもしれません。
WTS的まとめ
コンパクトで、どんなインテリアにもなじむシンプルなデザインが好印象です!
”目立たないルーター”というランキングがあったら、トップを取れるのではないでしょうか。
設定もしやすく、家中をカバーするWi-Fiがカンタンに設定できます。機能もデザインも両立している、バランスの良いルーターです。
家中をWi-Fiでカバーしたいけれど設定がわからない・・・、どの部屋にも高速Wi-Fiがほしいけれど、何台もゴツイルーターを置きたくない・・・そんなときにはDeco X50をぜひ検討に入れてみてください。
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