TP-Link Archer AX72実機レビュー | 6本のアンテナで家中にWi-Fi6を!AX5400クラスを実現した強力無線ルーター

こんにちは、太田アベル(@LandscapeSketch)です。

どんどん高速化していくWi-Fi。最近は「Wi-Fi 6」という新高速通信規格が話題になっています。

Wi-Fi 6ロゴ

 

TP-Linkから新発売されたルーター「Archer AX72」は、Wi-Fi 6/デュアルバンド/6つの通信ストリームと6本の物理アンテナを使い、最大同時通信5400Mbpsを実現する超高速ハイエンドルーター。

 

さらに、先日レビューしたRE600XのようなTP-Link OneMesh™対応中継器と組み合わせれば、Wi-Fi電波(SSID)をいちいち切り替えせずに、シームレスに家のどこでも強い電波を張りめぐらせることができます。

 

さっそくTP-Link Archer AX72の使い勝手を見ていきましょう!

  • 8K映像も転送できる、最大合計5400Mbpsを実現する広帯域バンド
  • 独特な模様で放熱力の高いボディ
  • IPv6 IPoE(IPv4 over IPv6)対応
  • OneMesh™に対応。組み合わせでさらに広範囲へシームレスに通信
  • USBポートでHDDなどもつなげ、簡易NASにも
  • VPN機能も搭載。リモートワークに威力を発揮

TP-Link Archer AX72の公式サイトはこちら

評価機のスペック

ワイヤレス通信

規格 Wi-Fi 6 IEEE 802.11ax/ac/n/a(5GHz) IEEE 802.11ax/n/b/g(2.4GHz)
Wi-Fi速度 AX5400 5GHz:4804Mbps(802.11ax、HE160) 2.4GHz:574Mbps(802.11ax)
Wi-Fi範囲 4LDK 高性能固定アンテナ×6 複数のアンテナが信号を増幅させより多くの方向と広いエリアをカバーします ビームフォーミング クライアントに無線信号を集中させWi-Fi範囲を拡大します 高性能FEM 送信パワーを改善し信号範囲を強化します 4T4R 同じ帯域内の複数ストリームが障害への耐性を強化します
Wi-Fi性能 高(High) デュアルバンド 最適なパフォーマンスを得るためにデバイスを異なる帯域へ割り当てます 4×4 MU-MIMO 複数のMU-MIMO対応クライアントと同時に通信します OFDMA 複数のWi-Fi6対応クライアントと同時に通信します エアタイムフェアネス 帯域の過度な占有を制限することによりネットワーク効率を向上させます DFS 電波干渉の少ないDFS帯を利用できます 6ストリーム デバイスをより多くの帯域幅に接続させます
動作モード ルーターモード ブリッジモード(アクセスポイントモード)

ハードウェア

プロセッサー 1GHzデュアルコアCPU
有線ポート ギガビットWANポート×1 ギガビットLANポート×4
USB対応 USB 3.0ポート×1 対応フォーマット: NTFS, exFAT, HFS+, FAT32 機能: Apple Time Machine FTPサーバー メディアサーバー Samba サーバー (ルーターの利用状況に応じて利用可能なHDDサイズの上限やファイル数は上下します)
ボタン Wi-Fiオン/オフ ボタン 電源オン/オフ ボタン LEDオン/オフ ボタン WPSボタン Reset(初期化)ボタン
電源 12 V ⎓ 2.5 A

大きさ

寸法 (W×D×H) 272.5 × 147.2 × 49.2mm
パッケージ内容 Archer AX72本体 電源アダプター LANケーブル かんたん設定ガイド

より詳しい情報はTP-Link Archer AX72の公式サイト

デザイン

デザインを見ていきます。

上から見るとウロコ模様というか、木目ような模様というか、独特のくり返し模様がめずらしい。公式サイトでは「鎖帷子(くさりかたびら)のような」模様と表現されていますね。

遠目から見ると、ちょっと和モダンな模様だ

独特の模様がすべて通気口となっている

そのすべてが放熱穴となっていて、高速通信の熱を効率的に放熱します。一部分ではなくほとんど全面が放熱穴なので、熱がこもりにくい。

 

アンテナは6本。同時に6ストリームの通信が可能。スマホ、タブレット、Amazon Fire TVまで、多数の機器が同時にアクセスしても余裕を持ったデータ転送が可能です。

またアンテナの向きを調節することで、より的確に電波を向けることができます。

 

ちなみにこのアンテナ、新品では1本1本にていねいに傷防止フィルムが巻いてあります。しかし、これを取るのがなかなかむずかしい!点線部分のフィルムがすぐにちぎれてしまうので、1cmずつはがさなければいけない時も・・・

完全に無傷でうれしいのですが、軽く取れるビニールでも十分だと思います。

すんなり剥がれないフィルム

 

本体はスタンドで立てて使用することもできます。設置面積がだいぶ少なくなりますね。(スタンドは購入時のオプション、もしくはあとから単体で購入することも可能です)

 

正面から見て右側面にはUSB 3.0ポートが一つあります。ここにはUSBハードディスクやUSBメモリなどを接続することが可能です。ルーター経由でデータを読み書きすることができ、簡易的なファイルサーバのような使い方ができます。

 

本体後部にスイッチ類やポート類がまとめられています。

 

左側にはWPSやLEDのON/OFFスイッチがあります。

 

中央、右側には4つのLANポート、1つのWANポート、電源スイッチ、電源コネクタがあります。LANポートは全てギガビット対応です。

多数のLEDで状況が細かく分かる

正面には7つのLEDが備えられており、通信状況、WPS状況、USBのアクセス状況などを細かく確認することができます。

 

もし夜にまぶしいのであれば、裏面のLED OFFスイッチを押すか、もしくはアプリから時間指定で暗くすることも可能です。

上位機種 Archer AX73との違いは?

ArcherシリーズにはAX73と、今回のAX72が存在します。一体何が違うのでしょうか?

通信環境(アンテナ本数、バンド数、ストリーム数)はまったく違いがありません。また、本体の大きさもまったく同じとなっています。

最も大きな違いはCPU。

機種 CPU
Archer AX72(レビュー機) 1GHzデュアルコアCPU
Archer AX73(上位機種) 1.5 GHz トリプルコアCPU

 

AX73はCPUが1コア増えていることから内部処理が高速化し、LANに「リンクアグリゲーション」という機能が付いています。

リンクアグリゲーションとは、複数のLANを束ねて1つとして利用することで、通信の広帯域化、障害耐性の向上が可能。企業用として使う場合に、より信頼性の高いラインとして使えます。

このほかには違いが無いので、リンクアグリゲーションが必要かどうかだけで決めてもよいと思います。

通常でも非常に強い電波

通信状況を確認します。

本体だけでもかなり強い電波です。2階建て、横に3部屋ぐらいなら、Archer AX72の本体だけでも十分に届いています。iPhoneでは、家のほとんどの場所でアンテナが3本でした。

Archer AX72経由で1Gbpsのインターネット(コミュファ光)に接続し、クライアントはWi-Fi 6に対応したiPhone 13 Proを接続。Fast.comにて速度試験を行いました。

なんと600Mbpsを超えるダウンロード速度を記録!

Archer AX72で回線速度を計測

 

もちろんインターネット回線自体の速さは必要ですが、Wi-Fiで速度を落とさず端末に届けてくれるArcher AX72は優秀です。

1Gbpsの光回線をつかっていますが、利用人数の少ない平日の昼間なら、同時に何台のベンチマークをしても400~600Mbpsという非常に高い数値が出ました。(計測はfast.comにて)

OneMesh™を試す!

3階建てや鉄筋コンクリートの家ですと、たとえArcher AX72でも電波が届きにくい場合があります。

そのときは、TP-Link RE600XなどのWi-Fi中継器を使うと、電波をより広範囲に届けることができます。(TP-Link RE600Xについてのレビュー記事はこちら

TP-Link RE600X Wi-Fi中継器

 

さらにArcher AX72とRE600Xは「TP-Link OneMesh™」に対応。

OneMesh™は、本来なら各機器ごとに違うネットワーク名(SSID)を一つにまとめ、移動するごとに電波の強い機器に自動的に切り替える機能。

逆に非対応機器では、電波が届きにくい所に来たら自分で中継器側に切り替えをしなければなりません。

本体が「Home」というネットワークなら、電波が届きにくい場所に来たら設定画面を開き、「Home_Ext」といった中継器を選び直さなければならないということです。通信機器に詳しくない人、ましてや子どもでは設定はむずかしいでしょう。

OneMesh™対応機器なら、どこへ行っても「Home」のまま、切り替えなくても大丈夫!

自動的に、なるべく近くで電波の強いアクセスポイントに切り替わります。

TP-Link Tetherでのスマートコネクト設定

 

SSIDを統合する機能は、もともとはメッシュ対応の機器(TP-LinkではDeco X20など)でしか使えなかった機能ですが、OneMesh™対応機器なら別シリーズであってもSSIDの統合が可能なのです。

 

さっそくArcher AX72とRE600XでOneMesh™に参加させてみます。

Archer AX72の設定が終わったら、RE600Xを起動。RE600Xの設定画面に入り、親ルーターとしてArcher AX72のSSIDを選択。この時、OneMesh™のアイコンが表示されています。

接続すればRE600Xも一つのSSIDに組み込まれ、シームレスに使用することができます!

TP-Link Archer AX72 OneMesh™

 

家の中を移動しても、どこで接続が切り替わったのかは認識できませんが、電波はずっとアンテナ3本が立っています。

VPNアクセスポイントや簡易 NASとしても使える

VPNイメージ

Archer AX72はほかにも、VPNアクセスポイント機能も内蔵。

VPNとは仮想的な専用線を作り、他者からは見えないように通信を行う技術。通常は専用サーバーやルーターが必要ですが、Archer AX72は安価ながらVPNルーター機能を内蔵しています。

たとえば家の外から家の中のパソコンに安全にアクセスしたり、社外から社内のサーバーに安全にアクセスしたりすることが可能です。

 

またUSBポートにUSB HDDを接続すれば、ネットワーク全体の機器からUSB HDDにアクセスできます。

全員で写真を共有したり、動画を入れておけば動画サーバーになったりと、なかなかに多機能。

VPNと組み合わせれば、海外からでも安全にアクセスできるファイルサーバーとしても構築可能です。

WTS的まとめ

それほど高額でないにもかかわらず、便利な機能を満載しているルーターです。

物理アンテナ6本は見た目どおりに強力で、Archer AX72 一台だけでも十分に強力な電波が使えます。

それに加え、OneMesh™によるSSIDを統合した電波の拡張は、すみずみまで電波を広げられ、家族全員が恩恵を受けられる機能だと感じました。

プロバイダのレンタル品からステップアップを考えているなら、ぜひ検討に加えたい一台です。

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