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SPARKLE Intel Arc A310 ECO 実機レビュー – 久しぶりに登場した”最新”の1スロット ロープロ グラフィックカード

太田アベル

・ 更新 ・ 11分で読めます

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目次

本当に「お久しぶりです!」 と語りかけたくなる商品です。

今日は1スロット&ロープロファイル仕様のグラフィックカードの新製品「SPARKLEIntel Arc A310 ECO」を買ってまいりました!

SPARKLE SA310C-4G パッケージSPARKLE SA310C-4G パッケージ

1スロット・ロープロファイルカードのジャンルは、新品で購入できる製品は存在するものの、数世代前のローエンドがいまだに現役。

GeForce系は、かなり古いGT 1030や、めちゃくちゃ古いGT 710/730などがメイン。かなり投げやりなラインナップです。しかも、いまだに同じチップの新製品が発売されます。

Radeon系はかろうじて一世代前のRX6400を出している状態。それ以外はRX 550など数世代前です。

超弩級の性能を競い合うNVIDIAとAMDには、需要も利益も少ない末端チップを新開発しているヒマなんてないのでしょう。

そんなジャンルに今回参加してくるのがインテル Arcシリーズです。

地球上の何割かを占めるほどのCPUを製造していながら、単独GPUに関しては最後発となってしまった不思議な立ち位置のインテル(途中に何度か手を出したことはありましたけど)。

新GPUブランドとなる「Intel Arc」はネームバリューはほぼなく、絶対性能もドライバの熟成も、先行するNVIDIAとAMDにはまだまだ距離があると言わざるをえないところ。

絶対性能で追いつくのは一朝一夕には無理。ならば、まずはとにかくArcのブランドを広めたいというのが本音でしょう。

どんな理由であれ、1スロット・ロープロジャンルへ最新チップがやってくることを素直に喜びたい。

もちろんこのジャンルは小規模な上に低価格も望まれるところ。筆者購入時は15,880円(2024-3-20時点 Amazon)で、他の数世代前のカードと大きな差がない点もうれしい。

「少し古いスリムパソコンを安価にパワーアップしたい」といったシチュエーションにしっかり応えてくれます。

さて毎度余分な話が長くなりましたが、さっそく実機レビューに入りましょう!

  • めずらしい1スロット、ロープロファイルの新製品
  • IntelのGPUシリーズ「ARC A310」を搭載
  • 静音性は良く、スリムPCでもそれほど目立つ騒音は感じない
  • ゲームはライトゲームまで
  • AV1などの最新エンコーダに対応し、動画変換用としても期待できる
  • ブラケットの付け替えにかなり問題あり
  • ファンがうるさめ

SPARKLEというメーカー

Intel ArcはNVIDIA、AMDと同じように本体チップのみを提供し、ボードは各メーカーが独自にアセンブリする形。今回の製品は「SPARKLE(SPARKLE Computer)」からの発売となります。

「SPARKLE」という名は、恥ずかしながら筆者は初耳でした。

SPARKLE公式サイトSPARKLE公式サイト

台湾の電子部品会社で、公式ページには「Since 1982」とあり、40年余の歴史があるようです。ヒストリを見ると「グラフィックカードは1994年に参入」とあります。若い会社ではないので、製品品質は安心できそうです。(が、このあといきなり裏切られる)

ボードの確認

濃いブルーのカバーでおおわれた、薄型のカード。カバーはプラスチック製で、内側にヒートシンクと、冷却ファンを1つ装備。

SPARKLE SA310C-4G の外観写真濃いブルーのヒートシンクケースにおおわれている

サイズは公称 156 x 69 x 15 (mm)とされ、最新グラフィックカードでは最小に近いサイズです。最近はローエンドでも2スロット厚が増えており、1スロットに収まるのは貴重な存在。

SPARKLE SA310C-4G のサイズ写真SPARKLE SA310C-4G のサイズ

搭載できるカードが極めて限られるNEC Lavie DTにも入れられるかもしれません。これは別の機会に検証していきたいと思います。(以前のレビューではギリギリNVIDIA T600、T1000まで入ることを確認。)

補助電源は必要ありません。

出力ポート

出力ポートはMini DisplayPort x2、HDMIポート x1となっています。」

出力ポート。ケーブルは付属しない。出力ポート。ケーブルは付属しない。

Mini DisplayPortは最大7680 x 4320@60Hzの8K映像。HDMIは2.0bで4096 x 2160@60Hzの4K映像を出力可能。

※ケーブルは付属しません。Mini DisplayPortの変換コネクタも付属しないため、別途用意する必要があります。

スペック

チップはIntel ArcシリーズのローエンドとなるIntel Arc A310。

インテル Xe HPGアーキテクチャを採用し、TSMC N6で製造されます。メインエンジンとなるXe-Coreは6基。メモリはGDDR6の4GBを搭載。消費電力は公称値50Wとなっています。

DirectX 12 Ultimate、Vulkan 1.3、OpenGL 4.6など、主要テクノロジーの最新バージョンに対応しているほか、レイトレーシングやOpenVINOといったこれからのテクノロジーにも対応しているのが見どころ。

それよりも、H.265(HEVC)、AV1といった現在主流のビデオエンコードサポートがあるのが強み。

IntelのCPU内蔵グラフィックでのエンコード「Intel Quick Sync Video(インテル クイックシンクビデオ=QSV)」は、品質に定評があります。ほぼ同じ仕様のA310も、ビデオエンコーダ用カードとして期待できます。

ロープロファイル変換・・・が保証切れになる!?

標準ではフルハイトブラケットが付いてきますが、ロープロファイル変換ブラケットも付属し、自分で交換することができます。

しかしここでとんでもない設計が発覚!

普通はネジ2本ぐらいでカンタンに交換できるブラケットですが、SA310C-4Gはなんとヒートシンクの下にネジが入ってしまっており、ヒートシンクごと外さなければ交換が不可能 なのです!

ヒートシンクの下にブラケット取り付けネジがある! 上から見るとちょうどこの辺りにネジがある。

さらに、肝心のヒートシンクのネジには、なんと「これをはがすと保証が無効になる」 シールが!いろいろな角度から見たものの、ヒートシンクがずらせるわけでもなく、シールをはがさず交換することは不可能。

はがすと保証無効になるシール。はがすと保証無効になるシール。

どうすりゃいいんだ!

これを設計したやつはブラケットを交換してみなかったのか?

「テスト品はカバーが付いていないから交換するのはカンタンだった」・・・とか言わないよね?

そこで代理店のアユートのページを見ると・・・たぶん同様のクレームがたくさん入ったのでしょう。ブラケット交換についての専用ページとマニュアルが公開されていました。

そして問題のシールについては、「この機種に限っては、はがしても保証は大丈夫」とのメッセージが・・・。やっぱりはがさないと無理なんだ。

なんだかな。

ということではがしました。

保証無効シールをはがす保証無効シールをはがす

では、ロープロファイルブラケットへの取り替え方法です。

裏のネジを4本外す裏のネジを4本外す

少しひねってからゆっくり持ち上げると、はがしやすい少しひねってからゆっくり持ち上げると、はがしやすい

カバー側にはファンのケーブルがつながっています。ひっぱらないよう注意!カバー側にはファンのケーブルがつながっています。ひっぱらないよう注意!

ヒートシンクをはがしたところ。グリスがすこし途切れてしまっていますし、メモリ側の熱伝導シートもはがれています。きれいに貼り合わせないと高熱になるかも。

熱伝導グリスもはがれてしまう。 はがしたところ

SPARKLE SA310C-4G ヒートシンクをはがしたところの写真グリスがかなりはがれてしまう。たっぷり塗布されているので、再利用は問題なさそうだが、できれば平らにならしたい。塗り直しできれば安心。

交換自体はさほどむずかしくはないですが、ヒートシンクを外して再度付けた場合、熱伝導グリスの性能が低下しないか不安になります。グリスがやわらかい新しいうちに交換するか、もしくは交換時に塗り直した方が安心でしょう。

次にブラケットの交換です。

ブラケットのネジを外すブラケットのネジを外す

端子部分のネジも忘れずに端子部分のネジも忘れずに

逆の手順で締めれば完了。ロープロファイル化できました。

ロープロファイル化完了ロープロファイル化完了

ちなみに兄貴分のArc A380を搭載したSA380G-6Gも、やっぱりヒートシンクを外さなければならないようです。なかなかとんでもない。

もし「納入するまで気づかなかった!」というならテストと品質検査に問題があるし、「知ってたけどだまっておこう」というなら企業の態度に問題があります。どちらにしろ、代理店からは要注意メーカーに指定されるのは間違いなさそう。

次のページからはゲームやビデオエンコーディングのベンチマークを行っていきます。

ベンチマーク

ではベンチマークを取っていきましょう!

ドライバはちょうど当記事の執筆直前に公開された、バージョン31.0.101.5379(2024-3-22公開)を使用しています。インテル公式サイトから入手できました。

テストマシン

CPU:Core i7-11700/メモリ:32GB/SSD:1TB NVMe 4.0

3DMark

ゲームベンチマークとして、ほぼ業界基準となっている3DMarkにてテストをしました。

ベンチマークスコア
Night Raid34104
Wild Life18771
Wild Life Extreme5199
Fire Strike7199
Fire Strike Extreme3302
Fire Strike Ultra1542
RayTracing Test5.95fps

ざっくりと、GeForce RTX 3050の半分ぐらい、GeForce GTX 1650より少し下、GeForce GTX 1050 Tiと同程度と言えるでしょうか。

軽量のNight Raidなどはスムーズでしたが、Fire Strikeなどではコマ落ち、カクツキが見えました。Extreme、Ultraではコマ送り状態になってしまうことも。

レイトレーシングテストはこの値段と小ささで実行できるだけでも立派ですが、やはり苦しい。レンダリング中のざらついた表示も常に出ていて、ゲームでの実用は不可能でしょう。

ファイナルファンタジー XV (FF15)

ファイナルファンタジー15は最新技術を多数使っており、重めのゲームです。最新技術のサポートがどのくらいあるのかを確かめることができます。

設定スコア快適度
フルHD / 高品質1823動作困難
フルHD / 標準品質3326普通
フルHD / 軽量品質4489普通
HD / 標準品質5168やや快適
HD / 軽量品質7192快適

フルHDでは軽量品質でもコマ落ちが目立ちました。多くのキャラが出てくる場面ではカクツキが多く、操作はかなりラグがひどそう。高品質になるともはやパラパラと画面が変わる状態で、ゲームは成り立たないでしょう。

HDに落とし、軽量品質に下げればなんとかスムーズになりましたが、やはり画像の荒さが目立ちます。文字を読むときにはザラツキで目がつかれてしまいそうな感じです。

ドラゴンクエスト X

オンラインゲームのドラゴンクエスト Xのベンチマーク。比較的軽量なゲームのベンチマークです。

設定スコア快適度
フルHD / 最高品質20095すごく快適

DQ10は全く問題ありません。最高品質でも処理落ちなどは感じられませんでした。

重い拡張機能を入れなければ、マインクラフトもプレイできます。

H.265エンコード

Davinci ResolveにてCPUとエンコード速度を比較しました。

CPUは少し以前のものになりますので、最新世代よりも遅いと思われます。

およそ1分の4K動画を、FULL HD(1920×1080)に縮小します。コンテナはmp4としました。

SA380G-6GCPU(Core i7-11700 – Intel Graphics UHD 630)
H.26445秒1分49秒
H.26546秒2分15秒
AV11分14秒対応せず(選択不能)

Intel Arcは、同価格帯の他社製品では搭載していないH.265、AV1のビデオエンコーダを搭載しています。CPUとの比較は歴然で、半分以下の速度でエンコードを終了しました。

低価格なビデオエンコード・アクセラレータとしても活躍できそうです。

ファンの音

ファンの音は比較的静かめです。テスト機のCPUファンの音でかき消される程度に収まっています。

ただ、アイドリング時はなぜか非常に短い間隔で動いたり止まったりを繰り返すのが気になります。

温度が低い場合にファンを止める「ゼロデシベル」モードを持っているカードもありますが、止まったらしばらくの間動かないのが普通です。

SA380G-6Gはそういう便利機能とは関係ないようで、アイドル時でも動く3秒→停止1秒をくり返し続けるのです。

なので「ウィーン・・無音・・ウィーン・・無音・・ウィーン・・・」と周波数的な回転をしています。「いや、まず落ち着こうか」 と思わず言いたくなるファンコントロール。いったいどういう意図なのか。

音は多少出てもいいから、ずっと回しておいてくれませんかね。>SPARKLEさん

ベンチマーク時は当然ずっと回りますが、ケースを閉めてもある程度聞こえる音量。「シュイーン」という小型ファン独特の音ですが、それほど高音ではないので音としてはソフトな方です。

WTS的まとめ

1スロット・ロープロファイルのジャンルで久しぶりの新製品でした。

Intel Arcは出たばかりのシリーズですが、さすがにIntelだけあって基本性能はしっかりしています。グラフィック性能も古い他社のシリーズを上回り、ビデオエンコード速度も古いミドルクラスGPUを超えるほどです。

さらに1万円半ばの価格もうれしい。古いPCのちょっとしたパワーアップや、ビデオエンコードマシンとしての生まれ変わりに、気軽に選ぶことができます。

IntelはもちろんNVIDAとAMDを追いかけていくのでしょうが、このジャンルを忘れず続けてくれれば、切り捨てられたファンをがっちりつかめるのではないでしょうか。

でもSPARKLEさんは、カードをもう少し真面目に作ってください。

太田アベル

太田アベル

パソコンを7歳からいじり始めて40年。とにかくパソコンが好きです。気になった商品をほぼ自腹で買いまくってレビュー中!良かった点、悪かった点をズバズバ書きます。

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