NEC Lavie DTにNVIDIA T600は入るのか!?グラフィックカードサイズの限界に挑む!

5.0
★ 当レビューの商品は筆者が自己購入したものです。

過去数回にわたって、NECのスリムデスクトップPC「LAVIE Direct DT」のパワーアップテストを書いてきました。

NEC LAVIE Direct DTの改造をやってみた
「LAVIE Direct DT」の記事一覧です。

 

LAVIE Direct DTはその構造上、カードの長さに非常に厳しい制限があります。

本体前後長が他社スリムデスクトップPCよりも短く、さらに鋼鉄のドライブシャーシがPCIe部分まで覆っているため、ムリに入れることすら不可能なのです。

PCIe部分までドライブシャーシがつながっている

 

プラスチックやワイヤー類なら、入れるときだけムリに曲げて「よっこいせ」で入れたり、最終手段としては「切る」とか「けずる」とか、見た目を問わなければ方法はあります。

が、鉄の加工はさすがに素人では無理。切るはもちろん、ピンポイントで曲げるなんてことも不可能です。

過去にはGTX 1050 Tiを入れようとしましたが、こんなふうにドライブシャーシに引っかかって閉じることすら不可能に!少しでも当たったらアウトなのです。

おもいっきり干渉したGTX 1050 Tiカード

 

そんな試行錯誤をくり返し、先日150mmの短さですんなりと入るカード「MSI GeForce GT 1030 2GD4」を発見し、無事に取り付けることができました

NEC LAVIE Direct DTとMSI GeForce GT 1030 2GD4

ローグレードのGeForce GT 1030なのでそれほどのパワーアップは望めなかったものの、CPUよりは少しパフォーマンスがアップし、軽い3D CADぐらいなら助けになるかな、という結果でした。ディスプレイ数が増やせるのもポイントですね。

 

そんなこんなで、「Lavie DTには150mm以下のカード」が自分の中の結論となっていました。

テスト機スペック

第10世代CPUCore i7-10700を搭載したモデル(2020年秋冬モデル)での実験になります。

記事執筆時点での最新型は第12世代CPUを搭載したものですが、どの世代も内部設計はほとんど変わっておらず、カードの制限はほぼ同じだと思われます。

LAVIE Direct DT(最新版は公式サイトへ)

項目 スペック
OS Microsoft Windows 11 Home (x64)
CPU Core i7-10700
CPUコア/スレッド数 8コア / 16スレッド
内蔵グラフィック Intel UHD 630
メモリ 8 GB
メモリスロット (空きスロット) 4 (2)
ストレージ 1 1TB HDD
光学ドライブ DVD+R DL
ポート類 USB Type-C x1、USB 3.1(Type-A)×2、USB 3.0×2、USB 2.0×4、DisplayPort×2 、ミニD-sub15ピン×1
サイズ 89(W)×298(D)×336(H)mm(スタンドなし)
重量 約 4.7kg

ワークステーション用カードなら入るのか・・・!?

あれからまた時間がたちまして、「GT 1030ではやっぱりCPUとは大差がないな」と感じていました。

GT 1030のCUDAコアは384 基、グラフィックメモリも2GBと必要最低限です。それ以外にもさまざまな機能が制限されており、目立つものでは「NVENC」。いわゆる動画エンコード用のエンジンが搭載されていないのです。

LAVIE Direct DTで軽い動画編集を・・・と考える人もいると思いますが、GT 1030では全くと言っていいほど支援にはならないのです。

もう少し上のカードで入るものはないか・・・と探し続けたところ、GeForceやRadeonのようなゲーミング用ではなく、ワークステーション用のカードならどうか?と思い当たりました。

(入るかわからないけど)NVIDIA T600をいきなり買ってみた!

グラフィックカードにはゲーム目的のものと、CADや映像編集などのプロ用途を想定したものが存在します。(他にはAI専用カードなんてものも存在します。)

NVIDIAでは、Quadroシリーズ、Quadro RTXシリーズ、Tシリーズ、RTX Aシリーズなどがそれです。(名前がコロコロ変わるので非常にわかりづらい)

AMDはRadeon Proシリーズ、FireProシリーズがあたります。

スペックを調査したところ、NVIDIA T400、T600、T1000が長さ6.6インチ(およそ156mm)のカード長となっており、ギリッギリ入るかもという気分(?)になってきました!

 

ただ、前回の記事で確認した通り、計測では153mmぐらいが限界と見えます。数ミリの差で入るかどうかの明暗が分かれるのです!これは怖い!

定規では153mmのところを示している

 

しかも、ワークステーションカードは普通に高額

T400はCUDAコア384基、4GBメモリで30,000円ほど。このスペックは現状搭載しているGT 1030と大差がありません。なのに価格は約2.5倍!

T600はCUDAコア640基、4GBメモリで35,000円ほど。T400と比較してコア数はおよそ倍になります。パワーアップを確認するならこちらの方がよさそう。が、なかなか重い価格。

T1000はCUDAコア896基、4GBメモリで48,000円ほど。もちろんこれがベストとなりますが、いかんせん高すぎる。個人が手軽に買える金額ではありません。

 

入るかどうかもわからないカードにどれほどつぎ込むか・・・としばらく悩みましたが、ここは記事のためネタのため!自爆覚悟でNVIDIA T600を買ってみることにしました!

ようやく本題。カード到着

相変わらず前置きが長くてすみません。

小遣いを使い果たして購入したNVIDIA T600がやってきました!

 

長さは・・・約156mm。これが6.6インチサイズなのでしょう。

想定限界の153mmより3mmもオーバーです。

およそ156mmのカード長

 

前回正常に取り付けできたGT 1030カードと比較すると、ファンカバーがおよそ4mmほど長い。

 

こ、これはヤバいか・・・。

LAVIE Direct DTに取り付け!

とにかく取り付けてみる!

まずはカードを合わせてみると、本気でギリギリだ!

後ろがシャーシに当たって擦れる!

 

軽く差し込んでみると、後ろのケースが少しスレている感触だ!ちょっと抵抗感がある。

そのまま入れていこうとすると、ケースの後ろ側がつっかえて、カードがナナメになってしまう。ぐぐぐ・・・いやな予感が・・・。

カードに傷が付くのはいやなので、ドライブシャーシを上げて入れてみると、もちろん入る。そこからゆっくり閉めていくと・・・カチャッ(ロック音)

あれ?普通に閉じた!?なんで!?

接触しない・・・?なぜ?

 

GTX 1050 Tiのときのように衝突して終わるかと思いきや、抵抗なく閉まったのだ!

横から見たところ、カードの後ろ側は微妙なカーブがかかっており、なんと、ちょうどそのカーブの短い部分にドライブシャーシの出ている部分が重なったのだ!上から見るとほぼ接触しているが、横から見ると1mm程度のスキマを残し、当たってない!!

シャーシのへこんだ部分にちょうど丸みが収まっている!

 

うおおおおおお!当たってないぞ!!!

 

正常に搭載できたーーーーーー!(ガッツポーズ)

 

一応の注意書きです。

当ページで試しているカードが、お持ちのLAVIE Direct DTに確実に入るかどうかの保証はできません。筆者は手持ちの機種しか確認できませんので、他のグレードではシャーシの形が違う可能性もあります。ご了承ください。

次回ベンチマークをお届けします!

ということで超ギリギリでしたが、接触せずに搭載することができました!

少しでも接触していると端子に負荷がかかったり、カードがゆがんだりなど、長く使う上で問題が出てきます。

まずは正常に搭載できてよかった!!

次回はベンチマークを行い、どれほどのパワーアップになるのかお伝えします!

ご自身で搭載してみたい方へ。どのメーカーのT600をい購入すれば良いのか?

NVIDIAのワークステーションシリーズには、GeForceのような”オリジナルファンモデル”というものが存在しません。

これは、全世界でまったく同じサイズ、同じ性能、同じ耐久性のものを販売したいというNVIDIAの戦略です。

ワークステーションPCは本体が特殊な設計になっているものが多く、メーカーごとに形が違うGeForceの場合、「グラフィックカードが壊れたので急いで取り寄せたら、大きくて取り付けできない!」という事態が起こりえます。

止まってはならない場所で使われるワークステーションシリーズは、どこで買っても(違う国で買っても)同じものが入手できるよう、統一されているのです。

Amazonなどで販売されているものを見るとわかりますが、カードサイズからファンの形から、どのメーカーのものでも同じです。基本的にどこからNVIDIA T600を購入しても、筆者とまったく同じものが届くはずです。

ただ、LAVIE Direct DTの設計は変化しますので、発売時期やグレードによっては搭載できない可能性があります。それほどギリギリです。この点だけご了承ください。

WTS的まとめ

LAVIE Direct DTにはGeForce GT 1030が限界かと思われましたが、意外なところに搭載できるカードがありました!

お金に余裕ができたら(笑)、NVIDIA T1000、A2000も試してみたいと思います。でもA2000は形状としてかなり無理だな。

次回はベンチマークをとってみます!けっこういい感じですよ!

コメント

  1. やひと より:

    記事を大変興味深く拝見させて頂いてます。
    こちらではNVIDIA T600の半値程で購入可能のRD-RX6400-E4GB/LPを試してみました。
    これはメーカーHPでは長さ152mmとありますが、153mmのLavie DTの内部空間ではわずかに干渉して入りませんでした。
    おそらくブラケット抜きの基盤長さが152mmであって、ブラケット分を入れると154mmほどになっていると思われます。
    結局、金のこでHDDドライブシャーシを切削する羽目になりましたが、今のところ問題なく動いてます(笑)
    以上。人柱報告です。

  2. 太田アベル より:

    やひとさん > コメントありがとうございます!
    なかなかハードな改造で取り付けされていますね。(笑)
    最近のグラフィックカードはどんどん大型化していますので、 Direct DTも次のバージョンはもう少し空間を空けてほしいところです。