SPARKLE Intel Arc A310 ECO 実機レビュー – 久しぶりに登場した”最新”の1スロット ロープロ グラフィックカード

3.5
★ 当レビューの商品は筆者が自己購入したものです。

ベンチマーク

ではベンチマークを取っていきましょう!

ドライバはちょうど当記事の執筆直前に公開された、バージョン31.0.101.5379(2024-3-22公開)を使用しています。インテル公式サイトから入手できました。

テストマシン

CPU:Core i7-11700/メモリ:32GB/SSD:1TB NVMe 4.0

3DMark

ゲームベンチマークとして、ほぼ業界基準となっている3DMarkにてテストをしました。

ベンチマーク スコア
Night Raid 34104
Wild Life 18771
Wild Life Extreme 5199
Fire Strike 7199
Fire Strike Extreme 3302
Fire Strike Ultra 1542
RayTracing Test 5.95fps

ざっくりと、GeForce RTX 3050の半分ぐらい、GeForce GTX 1650より少し下、GeForce GTX 1050 Tiと同程度と言えるでしょうか。

軽量のNight Raidなどはスムーズでしたが、Fire Strikeなどではコマ落ち、カクツキが見えました。Extreme、Ultraではコマ送り状態になってしまうことも。

レイトレーシングテストはこの値段と小ささで実行できるだけでも立派ですが、やはり苦しい。レンダリング中のざらついた表示も常に出ていて、ゲームでの実用は不可能でしょう。

ファイナルファンタジー XV (FF15)

ファイナルファンタジー15は最新技術を多数使っており、重めのゲームです。最新技術のサポートがどのくらいあるのかを確かめることができます。

設定 スコア 快適度
フルHD / 高品質 1823 動作困難
フルHD / 標準品質 3326 普通
フルHD / 軽量品質 4489 普通
HD / 標準品質 5168 やや快適
HD / 軽量品質 7192 快適

フルHDでは軽量品質でもコマ落ちが目立ちました。多くのキャラが出てくる場面ではカクツキが多く、操作はかなりラグがひどそう。高品質になるともはやパラパラと画面が変わる状態で、ゲームは成り立たないでしょう。

HDに落とし、軽量品質に下げればなんとかスムーズになりましたが、やはり画像の荒さが目立ちます。文字を読むときにはザラツキで目がつかれてしまいそうな感じです。

ドラゴンクエスト X

オンラインゲームのドラゴンクエスト Xのベンチマーク。比較的軽量なゲームのベンチマークです。

設定 スコア 快適度
フルHD / 最高品質 20095 すごく快適

DQ10は全く問題ありません。最高品質でも処理落ちなどは感じられませんでした。

重い拡張機能を入れなければ、マインクラフトもプレイできます。

H.265エンコード

Davinci ResolveにてCPUとエンコード速度を比較しました。

CPUは少し以前のものになりますので、最新世代よりも遅いと思われます。

およそ1分の4K動画を、FULL HD(1920×1080)に縮小します。コンテナはmp4としました。

SA380G-6G CPU(Core i7-11700 – Intel Graphics UHD 630)
H.264 45秒 1分49秒
H.265 46秒 2分15秒
AV1 1分14秒 対応せず(選択不能)

Intel Arcは、同価格帯の他社製品では搭載していないH.265、AV1のビデオエンコーダを搭載しています。CPUとの比較は歴然で、半分以下の速度でエンコードを終了しました。

低価格なビデオエンコード・アクセラレータとしても活躍できそうです。

ファンの音

ファンの音は比較的静かめです。テスト機のCPUファンの音でかき消される程度に収まっています。

ただ、アイドリング時はなぜか非常に短い間隔で動いたり止まったりを繰り返すのが気になります。

温度が低い場合にファンを止める「ゼロデシベル」モードを持っているカードもありますが、止まったらしばらくの間動かないのが普通です。

SA380G-6Gはそういう便利機能とは関係ないようで、アイドル時でも動く3秒→停止1秒をくり返し続けるのです。

なので「ウィーン・・無音・・ウィーン・・無音・・ウィーン・・・」と周波数的な回転をしています。「いや、まず落ち着こうか」と思わず言いたくなるファンコントロール。いったいどういう意図なのか。

音は多少出てもいいから、ずっと回しておいてくれませんかね。>SPARKLEさん

ベンチマーク時は当然ずっと回りますが、ケースを閉めてもある程度聞こえる音量。「シュイーン」という小型ファン独特の音ですが、それほど高音ではないので音としてはソフトな方です。

WTS的まとめ

1スロット・ロープロファイルのジャンルで久しぶりの新製品でした。

Intel Arcは出たばかりのシリーズですが、さすがにIntelだけあって基本性能はしっかりしています。グラフィック性能も古い他社のシリーズを上回り、ビデオエンコード速度も古いミドルクラスGPUを超えるほどです。

さらに1万円半ばの価格もうれしい。古いPCのちょっとしたパワーアップや、ビデオエンコードマシンとしての生まれ変わりに、気軽に選ぶことができます。

IntelはもちろんNVIDAとAMDを追いかけていくのでしょうが、このジャンルを忘れず続けてくれれば、切り捨てられたファンをがっちりつかめるのではないでしょうか。

でもSPARKLEさんは、カードをもう少し真面目に作ってください。

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