どうも太田アベル(@LandscapeSketch)です。
先日DeskMini A300にRyzen 5 3400Gを搭載し、”省電力モード(35W)”でどれほどのパフォーマンスが出るのか、をベンチマークを取りながら確認しました。
今日はもう少し細かく電力の違いによるRyzen 5 3400Gの挙動を見てみます。
Ryzen 5 3400Gのマシン構成
パーツ | パーツイメージ | スペック |
---|---|---|
ベアボーン | ASRock DeskMini A300 | |
CPU | AMD Ryzen 5 3400G | |
CPUファン | アイネックス Intel&AMD用 薄型CPUクーラー IS-40X | |
メモリ | Team DDR4 SO-DIMM 16GB (8GB x2) | |
メインSSD | Samsung 970 EVO (NVMe 500GB MZ-V7E500BW) |
DeskMini A300の組み立て記事はこちら > DeskMini A300 + Ryzen 5 3400Gで片手サイズの超高性能マシンを作る!【購入~組み立て編】
システム電圧はかなりの変化
まず定格電圧(65W)と、最低電圧(35W)に調節した場合のシステム電圧を見てみます。
計測は「ラトックシステム Bluetoothワットチェッカー REX-BTWATTCH1」にて行っています。
ワットチェッカーの詳細レビューはこちら。
計測結果
全く同じ内容のOSを動かして、数時間のデータを取りました。
それぞれの計測グラフを見ていただければよくわかりますが、電力設定はかなり動作に影響を及ぼすということが見て取れます。
定格ではアイドル時でも25W付近にとどまり、それ以下に落ちることはほとんどありません。たまにちらっと19Wが見えるぐらいで、ほとんど25~35Wを示しています。
常にすばやく反応が返せるように、電力を保っているような印象があります。
重い処理をかけた場合は50~70Wぐらいを消費し、処理が終わるとすばやく30W付近に戻ります。
35Wモードでは、単にコア電圧を下げるだけではなく、よりアクティブに省電力を目指す動きをしています。
少しでもアイドリングが発生すると、なるべく早く電圧を下げようとします。先読みで電圧を保っておくような動きはありません。
システム電力は15W前後まで頻繁(ひんぱん)に落ち、重い処理をかけた場合でも30~50Wで制限されました。
電力制限は単なる目標値ではなく、可能な限り枠内におさめるように動いていることがわかります。
APUのクロックと電力と電圧
APUの電力の傾向をざっくりまとめます。これもまた同じOSです。
- アイドル時は大半のソフトを終了し、マウスから手を離して10分放置した数値
- 高負荷時はベンチマークの3DMarkを実行している最中の数値
となります。
数値は最低値~最大値となっています。ログはHWINFOにて取りました。
ちなみにRyzen 5 3400Gの基本スペックでは、定格クロック3.7Ghz、最大ブーストクロック4.2GHzとなっています。
実際の動作を見てみましょう。
定格(65W) | 省電力モード(35W) | |
APUクロック(アイドル時) | 1.3GHz~4.0GHz | 1.3~2.8GHz |
APUクロック(高負荷時) | 3.0GHz~4.1GHz | 2.4~3.5GHz |
APUパッケージパワー(アイドル時) | 5.5~10.4W | 2.96~4.53W |
APUパッケージパワー(高負荷時) | 11.4~30.45W | 9.136~17.90W |
APUコア電圧(単一コア/アイドル時) | 0.91~1.36V | 0.85~0.91V |
APUコア電圧(単一コア/高負荷時) | 0.92~1.37V | 0.90~1.23V |
APUのクロックはもちろん、電圧にも大きな差が出ています。
省電力モードではアイドル時は1.3Ghzというかなり低い状態でとどまり、最大でも3.5GHzまでしか回しません。単一コアだけに負荷がかかるような操作をしても、3.5Ghzで止まりました。
これはCore i5-8400Tの1.7GHz~3.3Ghzというクロック範囲に非常に似ています。35Wでの4~6コア駆動は、必然的にこのレベルのクロックに落ち着くと見られます。
省電力ーどでは電力の削減はもちろん、熱の抑制にも効果がありそうです。
定格では少しでも思い処理が入ると、すぐに電圧とクロックをMAXまで引き上げ、可能な限り速く処理を終わらせようとします。
このおかげで全体の動きがキビキビして感じるのかもしれません。
APUの温度
熱の話が出たので発熱もチェック!
定格(65W) | 省電力モード(35W) | |
APU温度(アイドル時) | 38~78℃ | 38~62℃ |
APU温度(高負荷時) | 55~83℃ | 55~78℃ |
予想通り、最大16℃も差がつく結果となりました。
定格では、瞬間的ではありましたが83℃という高い温度を計測し、DeskMini A300の狭い筐体では冷却に余裕がない状態です。
CPUファンはIS-40Xという、ヒートパイプと92mmファンを備えた100W対応ファンですが、ベンチマーク中はかなりの風切り音が聞こえました。(ファン回転数は標準モード)
35Wモードではベンチマーク中でも中速ぐらいに収まり、風切り音はするものの、耳につくほどではありません。サイレントモードに切り替えても+5℃ぐらいで収まります。
インターネットブラウジングや軽い写真編集程度に使うなら、省電力モードのほうが静かに使えるでしょう。
WTS的まとめ
Ryzen 5 3400Gは省電力から定格まで、自在に変化できるAPUです!
省電力モードは、24時間サーバーなど特殊な用途でしか使わないかもしれませんが、電力ごとに区分けされて単体製品となっているIntelのCPUよりも、応用範囲が広いですね。
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