先日グラフィックボードを増設しようとGTX 1050 Tiを用意したものの、物理的に入らず失敗に終わったNEC Lavie DT。
今回はGPUのクラスを下げ、より小型のボードで再挑戦したいと思います!
さて購入してきたのは2機種。
GeForce 7シリーズのローエンドチップ GeForce GT 730搭載ボード
「ELSA GeForce GT 730 LP 1GB GD730-1GERL」
そしてGeForce 10シリーズのローエンドチップ GeForce GT 1030搭載ボード
「Palit GeForce GT1030 2GB NEC103000646-1082F」★
です。
同じような大きさ、同じような見た目にもかかわらず、その実力は大きく差があった!(GT 1030のほうが圧勝!内容は後述)
NEC Lavie DTのスペック
今回テストするNEC Lavie DTのスペックです。
2017年モデルとなりますので、現在販売中の後継機とは多少違う部分がありますのでご注意ください。最新機種についてはNEC Directをご覧ください。
項目 | スペック |
---|---|
OS | Microsoft Windows 10 Home (x64) |
CPU | Core i7-7700 |
CPUコア/スレッド数 | 4コア / 8スレッド |
メモリ | 8 GB |
メモリスロット (空きスロット) | 4 (2) |
ストレージ 1 | 1TB HDD |
光学ドライブ | DVD+R DL |
ポート類 | USB 3.1(Type-A)×2、USB 3.0×2、USB 2.0×4、DisplayPort×2 、ミニD-sub15ピン×1 |
サイズ | 89(W)×291(D)×340(H)mm(スタンドなし) |
重量 | 約 5.3kg |
NEC Lavie DTが搭載できるカードサイズ
まずは前回の記事のあらすじ。
スリム型で拡張性が高いデスクトップPC NEC Lavie DT。標準ではグラフィックボードは非搭載で、オプションでGT 730を選ぶことができます。
でも僕はさらに強力なグラフィックボードを積んでみたいという衝動にかられ(笑)、アッパーミドルクラスである「GeForce GTX 1050 Ti」を搭載した、デュアルファンのグラフィックボードを購入!
意気揚々と組み込もうとしたものの・・・なんとカードがフレームに衝突!
ケースのフタどころか、ドライブシャーシすら閉めることができない完全なオーバーサイズと判明!あえなく撃沈したのです。
だが私はあきらめなかった!(急になんだ)
標準オプションと同等のGeForce GT 730を搭載したボードを探しつつ、さらに10シリーズや20シリーズで入るものはないのかと、あらゆるメーカーのボードサイズを確認して回ったのです。
そして唯一”入りそう”だと確信したのが、「Palit GeForce GT1030 2GB NEC103000646-1082F」なのです。
今回はこの2種類のボードを両方とも購入し、サイズ感や性能を比較していきます。
ELSA GeForce GT 730 LP 1GB GD730-1GERL
さて最初はGT730を搭載した「ELSA GeForce GT 730 LP 1GB GD730-1GERL」。
GeForce 700シリーズは現在最新のGeForce 20(2000)シリーズから考えると、実に5世代も前の機種になります。
とはいえ、ボード自体が小型でスリム型にも対応できる上、長く作られているチップなので、メーカーへの卸価格はかなり安価なはず。そんな事情もあり、このGT 730は最新機種でもたまに搭載しているものがあるのです。
長さはわずか135mm。Lavie DTに搭載してみますと・・・まさにピッタリ!ジャストサイズです。
ELSA GeForce GT 730 LP 1GB GD730-1GERLのスペック
機能 | スペック |
---|---|
GPUプロセッサ | GeForce GT730 |
コアベースクロック | 902MHz |
CUDAコア | 384 |
メモリ | DDR3 SDRAM |
メモリ容量 | 1GB |
メモリクロック | 1,600MHz |
メモリバンド幅 | 64bit |
出力系統 | DL-DVI-D×1、VGA×1、HDMI×1 |
外形寸法 | 130×68.5×17.9mm |
ELSA GeForce GT 730 LP 1GB GD730-1GERLのベンチマーク
ゲームベンチマークを取ってみましょう!
3DMark
グラフィック機能やゲームベンチマークとして、ほぼ業界標準となっている3DMarkにてテストをしました。
テストの前に警告情報を見てみましょう。
重量級テストのFire Strikeなどは「グラフィックメモリが不十分、実行不可能」という警告があり、Direct X12世代のTime Spyでは「互換性なし、実行不可能」という状態になっています。
GT 730が発売された当時はまだDirect X12は存在もしていませんでしたから、これは当たり前と言えますが、現在はCPU内蔵GPUでも対応している機能にも対応できない、という点に注意です。
ベンチマーク | スコア |
---|---|
Ice Storm | 59118 |
Ice Storm Extreme | 37531 |
Cloud Gate | 6795 |
Sky Diver | 4027 |
Night Rade | 実行不可能 |
Fire Strike | 実行不可能 |
Ice Stormの軽量テストは特に問題ありません。Cloud Gate、Sky Diverは少々カクツキ、コマ落ちが見られました。
Cloud Gate、Sky Diverは全体的に動きに余裕がなく、かなりのコマ落ちで紙芝居状態になることもしばしばありました。
ドラゴンクエストX
オンラインゲームのドラゴンクエスト Xのベンチマーク。軽めのソフトのジャンルとなります。
テスト | スコア | 評価 |
---|---|---|
1280×720/標準品質 | 11601 | すごく快適 |
FULL HD/標準品質 | 5334 | 快適 |
標準品質ならばFULL HDでプレイができる速度です。全体になめらかで、画質にこだわらなければ、軽量ゲームなら困ることはなさそうです。
バイオハザード6
テスト | スコア | 評価 |
---|---|---|
標準 / FULL HD | C 1883 | 普通 |
多数のキャラが表示される場面では顕著な処理落ちが見られます。FULL HDは苦しいですね。解像度、画質ともに調節の必要アリです。
GeForce GT 730の総評
描画性能は5世代前のボードとしては妥当な実力でしょう。
ごく軽いゲームならたまにカクつきも見られるものの、なめらかな映像で楽しめます。が、現在のローミドルクラスのゲームから余裕がなくなり、アッパーミドルクラスですでに限界が見えます。
Adobe系のグラフィックソフトなども支援できます。Photoshopなどは画像の回転や移動が速くなります。とはいえ、動画の編集などは厳しいでしょうね。
総合的な性能としては最新CPUの内蔵GPU(iGPU)と大きく変わりません。
グラフィック処理中にCPUに負荷をかけない、という目的ならいいのですが、CPUより強力なグラフィックが必要という場面では、あまり意味がないかもしれません。
そしてもう一点の問題は「ファンノイズ」。
電源を入れたと同時に「シューン」という音が発生し、ケースを閉めていても聞こえるぐらいです。ベンチマーク中はさらに「ブーン」というような、うなり音に近い音が出ています。
Lavie DTはケースのサイドに吸排気口がないため、カード付近のエアフローは良くありません。CPUファンの音も大きいため互いに共振し、最高潮では音楽のジャマになるほどの騒音が発生してしまいました。
僕の買ったものが”音が大きなハズレの個体”だった可能性もありますが、けっこう気になる騒音が発生する可能性がある、という点には注意したいところです。
Palit GeForce GT1030 2GB ドスパラ限定モデル
さてお次は新しめのチップ“GeForce GT 1030”を搭載した「Palit GeForce GT1030 2GB NEC103000646-1082F」です。
他社のGT 1030ボードは150~180mmの長さが平均でしたが、この製品のみがわずか135mmとなっていて、ロープロファイル&ショートボードとして、唯一無二の存在となっています。
Palit GeForce GT1030 2GB NEC103000646-1082Fのスペック
機能 | スペック |
---|---|
GPUプロセッサ | GeForce GT1030 |
コアベースクロック | 1151MHz |
CUDAコア | 384 |
メモリ | DDR4 |
メモリ容量 | 2GB |
メモリクロック | 2100MHz |
メモリバンド幅 | 64bit |
出力系統 | DL-DVI-D×1、HDMI(2.0)×1 |
外形寸法 | 135×69×20mm |
GT 730と比較してもほとんど長さは変わりません。
Lavie DTへ搭載してみます。こちらもピッタリ!問題なく収まりました。
ドライブシャーシとは指1本(1.5cm)ほどのスキマを確認できました。あと1cmほど長いカードでも、なんとか収まりそうですね。
ただグレードの高いGTX 1050搭載ボードになると、長さ170~200mmサイズ、もしくはフルハイトカードのみとなり、収まりそうなものは見つかりませんでした。
さてベンチマークです。
3DMark
グラフィック機能やゲームベンチマークとして、ほぼ業界標準となっている3DMarkにてテストをしました。
GeForce GT 1030はDirect X12世代も完全にサポートしていますので、どのテストも実行可能です。ここがGeForce 730と大きく変わります。やはり新しいものは心強いですね。
ベンチマーク | スコア | GT 730比 |
---|---|---|
Ice Storm | 69792 | 118% UP |
Ice Storm Extreme | 52136 | 138% UP |
Cloud Gate | 8851 | 130% UP |
Sky Diver | 6931 | 172% UP |
Night Rade | 7946(動作可能) | (GT730動作不可能) |
Fire Strike | 1678(動作可能) | (GT730動作不可能) |
Ice Storm、Cloud Gateまではかなりなめらかです。そしてGT 730では動作すら不可能だった上位のテストでは、カクツキが大きいものの完走し、スコアが記録できました。
どれもGeForce 730と比較し大幅なスコアアップを果たし、上位のテストに従って差は開いていきました。
バイオハザード6
テスト | スコア | 評価 | GT 730比 |
---|---|---|---|
標準 / FULL HD | B 3952 | 快適 | 209% UP |
多数のキャラが表示される場面ではカクツキが見られるものの。プレイは可能な感触です。多少の画質ダウンで、FULL HDプレイは可能です。
GeForce GT 1030の総評
GT 730もGT 1030も、世代は違えど両方ともローエンドに属するカードですが、実力はだいぶ差が付きました。GT 1030が圧勝です。
世代の違いはもちろん、グラフィックメモリが1GBと2GBで2倍の差があるのもポイントでしょう。
大量のキャラクタが表示される場面では、1GBはすぐにあふれてメインメモリから送らなければなりません。
車でたとえれば、高速道路から一般道へ降りて荷物(データ)を運んでくるようなもの。描画速度に大きな影響が出ます。
そしてノイズ。
Palit GeForce GT1030はファンもかなり静かで、ベンチマーク中も音はしますが、許容範囲です。CPUのほうが目立つ音でした。
通気性の悪いスリムケースでもこれなら取り付けても大丈夫だろう、と感じます。
Palit GeForce GT1030一択!
ということで、総合性能、ノイズ、あらゆる面で「Palit GeForce GT1030 2GB NEC103000646-1082F」が圧勝です。
NEC Lavie DTのグラフィック性能をアップさせたいのなら、このボード一択と言っていいでしょう。
販売価格も8,800円(レビュー時点)という手ごろなもので、グラフィックソフトやCADソフトなどを扱いたいと考えるなら、最初から購入しておいてもいいぐらいです。
WTS的まとめ
電力効率が高く、静音性に優れたGeForce 10シリーズが使える、というのは非常に大きな発見でした。
スリムケースでも軽いゲームや強力なグラフィック支援が得られるので、Lavie DTを購入する際にはぜひ同時入手をおすすめします!
コメント
ロープロファイルの750
GF-GTX750TI-LE2GHD
とかが中古ですが
ベンチ上で2スロット、長さは短めです
通行人さん
コメントありがとうございます!
この機種は161mmなので、他と比べれば短いですが、Lavie DTに対してはちょっと微妙ですね。
私の予想ですと155mmぐらいがMAXの長さかと思います。
ドラクエ10のスコア FULL HD/標準画質 8870 というのは
CPU内臓GPU(HD630)のスコアではないでしょうか?
Pentium G4560 + GT1030 FULL HD/標準画質で15000以上、
最高画質で12000近くいくようです。
i7 7700 + GT1030であればそれらを軽く超えると思います。
気になったので…さん>
コメントありがとうございます!確かにおかしいですね。GeForce固定を忘れていたと思います。
誤解を与えてしまうため、該当スコアは消去いたしました。
ご指摘ありがとうございました。
こんにちは!
購入検討中で私もいろいろ
調べてみたのですが、
NVIDIA Quadro P1000
はどうでしょうか?
仕様によると145~150mm
くらいのようなのですが。
うえすさん>
コメントありがとうございます。
そうですね、ギリギリ入りそうな感じではありますね。
現物で試していないので、断言はむずかしいですが・・・
もし成功されましたら、製品名をお願いします!
他の方の役に立つと思います。
同じ筐体の初期グラボ(ELSA GeForce GT 730)のファンから異音がするので、こちらの記事を参考にPalit GeForce GT1030に交換しました。
ブラケットのサイズが長かったのは盲点でしたが、なんとか無事交換出来ました。
とても静かで快適になりました。ありがとうございます。
失敗談も勉強になりました。
桐根さん>
うれしいコメントありがとうございます!
記事がお役に立ててなによりです。
Lavieをしっかり使い込まれているようですね!
ちなみにもし購入されたメーカー、品番がおわかりでしたら、お教えいただけるでしょうか。
他の方の参考になるはずです。
なるほど!
PCは2018年に購入したNEC LAVIE Direct DT PC-GD368ZZDBです。
あ、購入時オプションで付けてもらった初期グラボ(PC-G-GRQ422)は、よく見たらLenovo GeForce GT 730でした。前回のコメントでメーカー名間違えてすみません。
購入したグラボPalit GeForce GT1030(NEC103000646-1082F)はドスパラではもう取り扱いが無く、中古で買いました。
ブラケットが長かったので、ロープロファイル用を楽天で購入しました。
ブラケットを止めている皿ネジが硬くて苦戦しましたが、ネジザウルスバズーカで外せました。
これから交換する方の参考になれば幸いです。
桐根さん>
さっそく教えていただき、ありがとうございます!
そうなんですよね。このグラボはもう終了になってしまっていて、どうやって購入されたのかな?と疑問でした。
中古を見つけられたのですね!
型番もありがとうございます。
購入を検討されている方は、ご参考にされてください。
こんにちは、とても興味深く拝見させて頂きました。
私が所有しているPCはGD348ZZA9 / Core i7-6700 3.4GHz / メモリー24GB / SSD 1000GB / Windows 10 HOME 64bit / 電源ユニット210Wでグラボは非搭載です。
グラボが搭載出来ないかと調べていくうちにGeForce GTX 1650 4GBが搭載されている中古PC(某有名工房 /売り切れ)を発見。
調べると、おそらくZOTAC GeForce GTX 1650 LP GDDR6だと思われます。
GeForce® GT 1030と比べると消費電力が20W→75Wに跳ね上がってしまいますが実際に売られていたことを考えると可能なのか?と悩んでおります。
また、サイズが160mm x 111.15mm (70mm LP) x 34mmと表記おり、搭載可能かどうかギリギリな感じです。
3万円以上するグラボを購入しても使えなければ辛いので、よろしければ皆様のご意見を賜りたいです。
わが青春のアルカディアさん
コメントありがとうございます😊
まず160mmというサイズで、すでに無理だと思われます。
ものすごくギリギリまで攻めて、入るのはたぶん150mmまでです。
また電力も厳しそうですね。
Lavie DTは、一般的なスリム筐体タイプよりも、内部の前後長が短いです。注意が必要です。
太田アベル様
早いレスポンス有難うございます。
実寸だとやはり厳しいというご指摘、電力も不足気味ということでご指導ありがとうございました。
うーむ、どうしたものか。諦めるしかないのか。。
と筐体(Zガンダムの可変ギミックを連想させる色々動かさないと変形しない内部)を眺めていて閃きました。
SSDに換装したときに3.5インチHDDベイが寂しいことになっていて、このベイを外せば長さ問題は解決するんじゃないか?と。
問題はネジ止めではなく金属圧着接合なので物理的に破壊しなければ外せないこと。ガス溶接技能取得済ですが、3000℃のバーナーをPCにあてる勇気はないので金ノコで枠部分を切除してみようと思案中。
長さ制限がかなり緩和されるので選択肢が広がりそうです。SSD自体はスペーサーに固定してても小さいので適当なところにインシュロックか半田かで固定すれば良いかと。
電源も元々210Wしかなく不安なので、同サイズで500Wのものと交換しようかと思っています。(FSP210-20TGBAA→FSP500-20TGBAB)
※おそらくメーカー的に保障対象外
知人から譲ってもらったPCですが、せっかくまだまだ現役で使えるスペックなので、どうせならゲーミングPCクラスまで昇華してやろうと妄想しています。
※排熱問題も出てきそうで筐体側面にスリットも入れようかな
※改造は自己責任!!
なかなかすばらしい改造になりそうですね!
確かに3.5インチベイを取り去れば、かなりの長さのボードまで入りそうです。
ぜひ完成しましたらご投稿いただきたいと思います。