NASでGoogle DriveやDropBoxのようなクラウドストレージは実現できる?またメリット・デメリットは?

どうも太田アベル(@LandscapeSketch)です。

NAS(ネットワークエリアストレージ)のビジネス活用を解説しています。

今日は、NASでGoogle DriveやDropBoxのようなクラウドストレージを構築する概要と、そのメリット、デメリットを解説します。

クラウドストレージ イメージ

Google DriveやDropBox、Microsoft OneDrive、Amazon Driveなど、クラウドストレージ(以下 商用クラウドストレージ)は非常に便利です。

ファイルをいちいちUSBメモリなどに入れて持ち運び、会社に帰って同期というやり方では、手間がかかります。

さらに上書きや編集を繰り返すと、「最新見積り」とか「最終見積り」とか、「見積り確定最終」だとか、いったいどれが最新なのかさっぱりわからないゴミの山になります。

どれが最新なんだどれが!

 

クラウドストレージはファイルの変更を随時オンラインと同期するので、コピーする手間がなくなり、どちらが最新なのか比較する時間も省けます。またロールバック(以前のファイルの回復)ができるストレージもあります。

 

とはいえ、商用クラウドストレージは言ってみれば他社のサーバ

預けたデータは検索できるよう、「インデックス」と呼ばれる検索データ化が行われます。ファイル名やファイルの中身を検索するために、機械がファイルを見ているわけです。

インデックス化は人を介さず機械的に行われますが、データは「人間にも見られる可能性がある」と考えたほうがいいでしょう。

絶対に漏れてはならない社外秘のデータや個人情報は、商用クラウドストレージに入れるのは避けるほうが安心です。

そこでNASです。

自社にNASを置いてクラウドストレージ化すれば、データは安全に自社のNASに残ったままで、利便性は上がります。

Synologyでは「Synology Drive」、QNAPでは「QSync」という機能名になります。

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動作の仕組み

Synology Driveの構築方法です。

まずNASの管理画面DSMに入り、パッケージセンターから「Drive」をインストール。

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インストールできたら共有するフォルダを設定します。

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次にSynologyから提供されているクライアントソフトをインストールし、ログインや共有フォルダの設定を行えば、一般的なクラウドストレージのように動作します。

 

クライアントソフトはWindows、Mac、iOS、Android用が用意されています。

また外部への公開も、Synology IDというサービスが提供されていて、NAS直通のURLを無料で発行してくれます。公開もカンタンです。またこの場合、ポートの公開も必要ありません。

もちろんVPNを組んで、さらにセキュリティを高めるほうが好ましいですね。

構築と利用はかなりカンタンです。

メリット

メリットとデメリットをまとめてみましょう。

まずはメリットです。

料金が割安

商用クラウドストレージは1TB=2,000円/月 ほどが相場(2019/4/19現在)ですが、NASならいったんHDDを購入すれば、あとは電気料金しかかかりません。(細かく言えば、外部と接続するなら回線料が必要)

RAID 1で運用すると仮定しますと、

容量イニシャルコスト年間コスト
商用クラウドストレージ1TBなし1年 24,000円
NASNAS本体
(Synology DiskStation DS218j

1TB HDD x2
(WD RED 1TB)

本体 20,000円

HDD
15,000円

毎月の電気料金のみ

クラウドストレージは常に同じ維持費がかかりますが、NASはイニシャルコストはかかるものの、HDDが壊れない限り電気料金だけで維持できます。

長く使えばコストの差はどんどん大きくなります。

容量が広大

NASなら容量は数十TB、16ベイや24ベイモデルなら100TB単位まで拡張できます。

クラウドストレージで10TBなんて借りようものなら、月にかなりの額の支払いになります。ちなみにGoogle Driveは、10TBで月額13,000円(年額156,000円)となっています。

1か月分の料金で3TBのHDDが買えますね。

細かな権限や削除設定

NASは非常に細かなファイル権限が適用できます。

また、同期したデバイスで削除したものでもNASからは削除しない、などこだわった設定も可能です。

他人に見られない

データは自分のNASと、同期したデバイスにしか存在しません。セキュリティに気を付ければ、知らない間に他人に見られることはありません

冒頭に書いた通り、商用クラウドストレージは”なんらかのシステム”が中身を見ている可能性があります。また、悪意をもった社員がデータを勝手に閲覧・抜き出す可能性や、悪意のある攻撃で流出するということも、可能性は非常に低いもののゼロではありません。

商用クラウドストレージに預けたデータの取り扱いについては、運営各社の規定にゆだねられています。

しかも規約は相手の任意で変更することができ、いつのまにか自分では想像をできない利用法をされているかもしれません。法律で縛られている部分ではないのです。

絶対に社外に出してはならないデータは、自社でしっかりと管理できるNASにすべきでしょう。

デメリット

次にデメリットを考えていきます。

完璧な動作維持は非常にむずかしい

クラウドストレージは常に使える状態にしておきたいものです。

商用クラウドストレージは、だいたい99%以上のサービス稼働保証(SLA)がつけられています。よほど大ごとが起こらない限り、24時間365日使えるわけです。これが利便性の基礎の基礎となります。

しかしこれをNASで実現しようとするとかなり難しいことがわかります。最低でも動作していなければならないポイントは、

  • NAS本体(本体とHDDが正常な状態か?)
  • 電源(停電に耐えられるか?)
  • ネットワーク(LANケーブルからルータ、電信柱までの物理配線、その先のプロバイダまでが正常か?)

大きく見ても3つあります。

NASがいくら正常でも、電気工事で電気が止まったらどうでしょうか?UPSでバックアップしても、数時間の停電となった場合、持つかどうかはわかりません。

ネットワークも同様です。自宅の回線は正常でも、プロバイダ側のメンテナンスによる停止や、電信柱の工事中に光回線を引きちぎった(笑・・・でも本当にありました)という事故があり得ます。

 

どこか一つが故障しても、ストレージは使用不可となります。特にネットワークは自分では手に負えない予想外の故障があるでしょう。

お客様にいますぐカタログを見せたい!というときに、ストレージが止まっていてはどうしようもありません。

大手のサービスはここに莫大な投資を行い、実現しているのです。

いつでも必ず通じる!という動作の保証が非常にむずかしいということがわかるはずです。

維持管理に人が要る

NASなので管理人が必要となりますが、たとえば社内データを多数取り扱うクラウドストレージを作った場合、営業中はもちろん、時によっては営業時間外の問題に対処しなくてはなりません。

夜10:00に重役から「今すぐ見たい書類が同期されない!」と怒りの電話が入ることもあるでしょう。(笑)

クラウドストレージはスマホでも見られるため、使われる範囲がかなり広くなります。当然管理者のサポート範囲、サポート時間も広がってしまいます。

人的リソースも検討しなければならないポイントです。

WTS的まとめ

企業で社内クラウドストレージを実現する場合の基礎を触れてきました。

一人で個人的なデータを使う分には便利な機能ですが、ことビジネス環境で活用するとなると、かなり手間とリソースが必要だとお分かりいただけると思います。

便利なサービスは裏側のバックボーンこそが重要というわけですね。

それでも軽いデータなら、社内のみに確保しながら簡単に公開できますので、ぜひ活用していきたい機能です。

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