40代ゲーマーが心から欲しかった!時代を築いたクリエイターのインタビュー本「若ゲのいたり」

若ゲのいたり表紙写真

どうも、太田アベル(@LandscapeSketch)です。

MSXやApple IIなどといういにしえのPCゲーム、ファミコン、メガドライブ、スーパーファミコン、初代プレステ、アーケードゲーム・・・

僕が小学生のころは「不良の遊び」とまでいわれていた”TVゲーム”は、いまや文化産業とまで呼ばれるほどになりました。

オリンピックの入場行進でゲームミュージックが流れるなんて、あの頃の誰が想像したでしょうか?

 

そんなルールも規格も存在しなかった時代の”初代”ゲームたちは、誰がどんな想いで作っていたのか!?いまや生きる伝説とまでなった大物ゲーム制作者にインタビューし、楽しいマンガにまとめられたのが「若ゲのいたり ゲームクリエイターの青春(1,2巻)」です!

若ゲのいたり ゲームクリエイターの青春 若ゲのいたり2 ゲームクリエイターの青春

 

ウェブでけっこう長く連載していたマンガだったのですが、実は今日の今日まで知らなかった!!うかつ!!

書籍はウェブマンガのまとめになります。速攻電子版を買って、食い入るように読んでいます!!

もう最高!!

40代、50代あたりの古きゲーマーたちは即買いでおk!!!!ソンはしない!!!!

いまや伝説となったゲームの初代たち

ファイナルファンタジーⅦ(7)、アクアノートの休日、mother、星のカービィ、バーチャロン、プリンセスメーカー。

ここに上げたタイトルだけで、この本が何を言わんとしているのか察するものがあるでしょう。何度も書きますが、ピン!とキタなら即買いです。

それぞれの時代で、一つのジャンルを切り開いた珠玉の作品達です。

 

レトロゲーム自体の解説本ならけっこう出ていますが、当時にどんな人が、どんな紆余曲折を経てゲームを完成させたのかを書いた本は、あまり見たことがありません。

もちろん当時の雑誌をめくればクリエイターのロングインタビューなどもあるでしょうが、当時の空気感が思い出されるだけ。のちのちどんな影響を及ぼしたのかという視点は、当然ながら書かれてはいません。未来の話ですから。

若ゲのいたり」はゲームクリエイター本人に直接インタビューという形で、現在から見てあの瞬間はどういう”事件”が起こったのか、そしてそれがいま、どんな実を結んだのかまでもまとめてくれています。

 

motherの話には糸井重里さんはもちろん、宮本茂さんが出てきますし、その後のmother 2になればHAL研究所の岩田聡さんが出てくるのです。

ファイナルファンタジーのプログラマとくれば、そりゃもうナーシャ・ジベリは出てきますよ。神よ!

アクアノートの休日なら飯田和敏さんで、飯田さんといえば64DDの巨人のドシンで、友人とくればDの食卓の飯野賢治さんは出てくるのはあたりまえですよね。

プリンセスメーカーとなればガイナックスですよね~!エヴァの源流のひとつがこんなところにもあったなんて、いまの10代、20代の人は思いもよらないでしょう。

当時は「へー、あのクリエイターたちが新ゲームだすのかー」とぼんやりと眺めていただけでしたが、こうしてまとめられると、(陳腐なフレーズですが)まるで神がそこに配置したかのように出会う人間達の、絶妙な縁を感じられます。

伝説はこんなところから始まったのか!と。

ゲーム以外にも

ゲームだけではなく、ゾイドなんかも特集されています。いやーなつかしいー。

ダンゴムシみたいなやつ持ってた。グスタフだったっけ?すっごいお気に入りだったんだけど、ことあるごとに弟が”殻”を分解するので悲しかったわ。

ゾイドって「子供の想像力の余地を大いに残すおもちゃ」、として企画されたようなのです。

確かに当時、アニメからおもちゃへ、おもちゃからアニメやマンガにという対流がほとんどで、単独でかっこいいおもちゃってほとんどなかったんですよね。

自分で物語を作る派(書くのが恥ずかしいなこれ)の僕にとっては、なんの物語も付いていないゾイドがすごく好きでした。

だってどっちが「悪者」かが決まっていないので、弟と「いいもの」の取り合いにならなかったんです。代わりにガンダムとザクが置かれていたらあなたならどうしますか、ってやつですよ。

ゾイドには共和国、帝国という別れはあるものの、どちらにも同じくらいカッコイイ恐竜ロボットが揃っていたし、どちらも等しく強そうだった。そんな物語性のなさを「狙って作っていた」というのが、この本で初めて分かったんですね。

「ああ、僕は間違っていなかった」(何がだ)とひとりニヤついて読んでいて、嫁さんに不気味がられました。

 

ちなみに僕が同じ価値観だな、と思うもう1つのおもちゃはレゴです。

1作品わずか12ページ

1作品ごとにページはわずか12ページ。サクサクと読めます。それでも、要点がしっかりと凝縮され、人物が生き生きと描かれていてとても読みやすい。

逆に何度も何度も読んでしまいます。

 

なによりもステキなのはそれぞれの締めの言葉。

ゲームに対する作者の愛にあふれるセリフが、とても心に残ります。

これは読んでみてのお楽しみ。

辛口のコメントもあるが・・・

ただ、アマゾンのレビューには、誇張した話だ、脚色が強い話だ、と指摘もあります。

内部事情に詳しい人から見れば、そう思われる部分もあるでしょう。それでも記憶とは勝手に美化されるもので、初代の開発という大変なことだったのならなおさらのこと。そもそもクリエイターだけの視点から見ている話なので、細かな担当の持ち場から見れば違うことも多々あるはず。

さらに話は20年、もしくはそれ以上前の話。それらをふまえて、事件の暴露本という見方ではなく、ひとつの楽しい読み物として読むのが正しい付き合いかたではないでしょうか。

WTS的まとめ

当時の熱気、歴史の流れ、そして現在へのつながり。トリハダが立つような話がてんこ盛りです!

「え?この人が!?」「うそ!このゲームは発売されない可能性もあったの!?」という話が、本人の談として出てきます。今だから言える話というのも多いんじゃないでしょうか?これこそ時の経過のありがたみ!

作者の締めがステキで、読後感もさわやか。

熱い人たちの作品と歴史を見て、自分自身はなにをしたかったのか、これからどうするのか、そんなことを考えならが見るのも有意義ではないでしょうか。

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