いまや家庭になくてはならない装置になったWi-Fi(無線LAN)ルーター。パソコン、スマホ、ゲームマシンやTV、防犯カメラまで。Wi-Fiを必要とする機器は増える一方です。
最近は各種映像サービスもフルHDや4K映像が主流になりつつあり、家族4人で同時に再生したりすれば、一瞬でルーターの限界に達するほどのデータ量となりました。
家中にしっかりと電波が届き、さらに家族全員で高画質動画を楽しめる余裕がほしい・・・そんなルーターが必要とされているのです。
12月1日に発売されたばかりのTP-Link「Deco X95」はWi-Fi6対応のトライバンドアンテナを装備。4804Mbps + 2402Mbps + 574Mbpsを実現するAX7800の超高速通信を実現。
さらにLANポートにも高速な2.5GbEを装備し、高速インターネット回線の実力を強力に引き出します。
まさに、データ爆発状態の家庭にうってつけのルーターと言えるでしょう。
もちろんDecoシリーズの特徴である「カンタン メッシュ機能」も搭載。複数ユニットを組み合わせることで手軽に電波を増幅し、家庭内のあらゆる場所で安定・高速・シームレスな通信を楽しめるのです。
メーカーから体験機を提供いただきましたので、さっそくその実力をレビューしていきましょう!
- インテリアになじむシンプルなカタチ
- 複数台で手軽にメッシュを構築可能
- わかりやすい設定アプリ
- 超高速 AX7800相当 (4804Mbps + 2402Mbps + 574Mbps)
- 新規格Wi-Fi 6に対応したトライバンドアンテナ
- 2.5GbE LANポートを装備
デザイン
今回入手したのは2台セットのパッケージです。他には1台のみのパッケージがあります。
最初は1台を設置し、電波が足りなければ買い足していく、という使い方も可能です。
トライバンドアンテナを採用しているので、1台でもミドルグレードのルーターより広い範囲をカバーできるはずです。
本体デザインを見ていきましょう。
色はスッキリとした明るいホワイト。まるで紙を丸めたような形になっているデザインが、モダンな印象です。外部アンテナなどが飛び出していないので、設置場所を選びません。
ロゴも小さく控えめ。落ち着いた雰囲気です。
公式の寸法は130(幅) × 123(奥行き) × 210.5(高さ) mmとなっています。900mlのちょっと大きなペットボトルを想像していただければ近いです。
中身が詰まっているのか、意外にずしりとした重さを感じます。重さは約717g。この重量のおかげで、下にすぼまっていくデザインですが、安定しています。
背面に3つのLANケーブルコネクタ、ACアダプタのコネクタを装備。
LANポートは2.5Gbpsポート×1、1Gbpsポート×2という構成。
2.5GbEポートは理論上1Gbpsポートの2.5倍の高速通信が可能です。1Gbps以上のインターネット回線には、必ず2.5GbEポートで接続するようにしましょう。
多数のLEDがチカチカと光りまくるルーターも多く存在しますが(というか大半がそんな感じですが)、Deco X95は本体下部にふんわり光るLEDが1つのみです。
LEDは青、赤、黄、緑で状況を知らせるのみで、アクセスごとに点滅したりはしません。落ち着いた印象を与えます。
詳しい状況はアプリから詳しく見られるので、これで十分なのです。
スマホアプリでカンタン設定
設定はスマホアプリ「TP-Link Deco」から行います。
設定はウィザード形式で流れにそって進めれば、一般的な家庭用回線なら初めてでもすんなりと設定できそうです。
むずかしい専門用語はほとんど出てこず、ルーター設定経験がなくても混乱する部分は少ないでしょう。
複数台のDeco X95がある場合は、設定の流れのなかでメッシュに参加させることができ、なにもむずかしいことなくカンタンにメッシュを構築することができます。
このカンタンさは、長年Wi-Fiルーターをさわっている人ほどびっくりするはず。
通常、複数台のルーターを連携させるには、ブリッジ切り替え、固定IP設定、電波が重なる場合はバンド設定などなど、専門的な知識と設定を必要とします。しかしDeco X95はすんなりと複数台が連携し、しかもSSID(ネットワーク名)がたった1つにまとまります。
SSIDが1つにまとまると、利用者には非常にベンリになります。
Deco以外のルーターでは、中継器や複数台連携をするとSSIDが分かれてしまいます。
- router-A-2.4G
- router-A-5G
- router-B-2.4G
- router-B-5G
などと多数のSSIDが発生し、電波が弱い場所に来たら自分で切り替えなければなりません。慣れてもけっこうめんどうですし、機械に弱い家族はずっと「電波 1本」の状態でイライラしながら使っていたりします。
Deco X95なら一切切り替え操作は必要ありません。移動して電波が弱まると、最も電波が強いルーターに自動的に電波を切り替えます。しかも切り替え中に接続が切れることもありません。
家中どこにいっても強い電波を拾うことができるのです。
遠距離からでも高速通信
2階建ての住宅で、1Fと2Fに設置してみたところ、1台だけではアンテナアイコンが2~3本をさまよっていた部屋でも、常にアンテナが3本(MAX)立つようになりました。
家の中でどれだけ動いても常に3本立ち続け、まったく不安感がありません。
公式サイトでは1ユニットで最大カバー範囲288m²、200台もの子機に対応できると表示されています。面積を坪数にすれば87坪。かなり大きな家をサポートできます。
複数台のメッシュをすれば、三階建ての家、マンションの上下などでも電波を通せそうです。(※住宅構造で影響を受けるので、断言はできませんが)
ミドルグレードモデルDeco X60 1ユニットではアンテナアイコンが1本減ってしまう距離でも、X95ではアンテナが3本のままでした。1台だけでも電波強度は上がっていると感じます。
ベンチマーク
便利な機能満載のDeco X95ですが、高速化を目当てに購入する人も多いでしょう。
さっそく速度を比較してみましょう。
比較するのは同じくTP-Linkのミドルグレード・メッシュルーターDeco X60(レビューはこちら)です。
Deco X60はWi-Fi6対応、メッシュ対応、AX3000、ギガビットLANポートを備えたミドルグレードのルーターです。手ごろな価格ながら、一般家庭なら十分すぎるほどの速度と安定製があります。
Deco X95と比較し、どれほどの違いが出るのでしょうか。
インターネット回線のテスト
まずインターネットの速度です。インターネット回線は1Gbps光回線です。
Fast.comにて6回(PC 3回、iPhone 13 Pro 3回)ずつ計測し、平均値を掲載しています。時間帯は同じなので、回線の混雑状況はほぼ同じです。
メインDeco側 (インターネットルーター直結) |
2Fに設置したサテライトDeco側 | |
Deco X95 | 890Mbps | 310Mbps |
Deco X60 | 710Mbps | 200Mbps |
インターネット回線は1Gbpsなので、X60でも限界まで引き出している・・・と思っていましたが、X95の上げ幅がすごい!
2.5GbEポートに接続したので、LAN側も十分な帯域でボトルネックが解消されたのでしょうか?それともWi-Fiが強化されたためでしょうか?実測数値としては100Mbps以上アップしています!
ときには900Mbpsを超えるほどの速度を示し、高速なDeco X60でも何らかのボトルネックがあったのだと感じさせます。
サテライト側(2F)でも明らかにDeco X95の速度が上がっています。Deco対Deco間の速度が非常に速まっているからでしょう。
1GBのファイルをNASに転送
次にNASに接続し、ファイルの転送速度を見てみます。NASは10GbEに対応した超高速NAS Synology DS1621xs+に接続しています。
DS1621xs+(10GbE) → Deco X95(サテライト / 2.5Gbポート) → Wi-Fi → Deco X95(メイン / 2.5GbEポート) → PC(Wi-Fi 6)
ちょっと複雑ですが、上記のような接続になります。要はNASから2.5GbEで送り出し、Deco X95をWi-Fi経由し、PCで受け取る、と理解していただければ大丈夫です。
1GBのファイル転送 | |
Deco X95 | 平均51秒 |
Deco X60 | 平均1分28秒 |
ほぼ半分といってもいいほどの転送時間になりました。
Deco X60は5Ghz帯が最大2402Mbpsに対し、Dexo X95は4804Mbpsと倍の速度に引き上げられています。
メッシュ全体の速度が底上げされたといっていいでしょう。
動画の遅れに悩んでいたら、光回線の契約をアップするより、まずルーターをDeco X95に変えてみるというのも有効かもしれません。
WTS的まとめ
家の見える場所においてもうるさくないシンプルな形に、最新技術を詰めこんだ超高速ルーターでした。
高速ルーターはアンテナが何本もつき出たちょっと不気味な形のものも多いのですが、Deco X95ならうまく設置すれば、家の景色にとけ込むことができます。
簡単な操作でDeco X95複数台を連携させメッシュを作り、家全体をカバーする電波を広げることができます。電波の弱かった部屋にもしっかりと電波を届けることができるのもポイント。
高速、メッシュ、シンプルなカタチを求めるなら、Deco X95はかなりおすすめできるルーターです。
コメント
はじめまして。こちらの商品を検討しているのですが、2.5Gbのポートの使い方がよくわかりません。
素人的に考えると、WANから2.5Gbで入ってLANで2.5Gbで出ていかなければ、優先でつながる機器は2.5Gbの恩恵にあずかれないのでは?と思ったのですが、違うのでしょうか。
(2.5Gbポートが一つしかないと考えると、WAN、LANのいずれを2.5Gbに接続するのがよいのでしょうか。)
構成としては、光回線(現在は1ギガですが、10ギガに変更を検討中)→x95→スイッチングハブ(2.5Gb対応)→NAS(2.5Gb対応)+PC(2.5Gb対応)を考えています。
ろくさん
コメントありがとうございます!
ご認識はあっています。
WANから2.5GbE以上で入ってきても、X95の他のポートは1Gbpsですので、有線接続では1Gbpsになります。Wi-Fi 6で接続したほうが速くなる場合があるでしょう。
次にご提示の環境の場合です。
X95は2.5GbEのポートは1つしかありませんので、X95を中継してハブにつなげることはできません。2.5GbEで入り、1Gbpsで出てしまいますので1Gbpsになります。
光回線をハブで分岐する場合、ルーター、X95、PC、NASをすべて並列につなげる方法になります。
その場合、光回線側のONUがONU+ルーターのホームゲートウェイタイプ(以下ホームゲートウェイ)である場合、ホームゲートウェイとX95がそれぞれIPを発行してしまい、有線側とWi-Fi側でセグメントが分かれて通信できなくなる可能性があります。
有線もWi-Fiも2.5GbEの恩恵にあずかれ、さらに全員が相互に通信したい場合は、X95を「ブリッジモード」にすると良いでしょう。Decoのアプリから設定できます。
要はX95を単なるアクセスポイントとして利用し、IPはすべてホームゲートウェイからもらうようにします。そうすれば高速通信と家庭内の相互通信が可能になります。
X95をブリッジモードにしますと、X95のいろいろな便利機能が使えなくなります。
逆にホームゲートウェイをブリッジモードにすることも可能ですが、光回線の調子がおかしい場合に調査ができなくなったり、インターネットTVや電話が使えなくなったりします。
私としてはもったいない感じもしますが、X95をブリッジモードにすることをおすすめします。
大急ぎで書いたのでちょっとわかりづらいですが、イメージ図です。
どうもありがとうございます!よくわかりました。
せっかくDecoX95を購入するのであれば、おっしゃる通りブリッジモードで使うのはもったいない気がするので、2.5GbポートがないXe75で検討してみようかと思います。
それもいいですね!