手のひらサイズの小ささで6ベイを実現する小型NAS Synology DS620Slimレビュー

こんにちは、太田アベル(@LandscapeSketch)です。

今日はちょっと変わったNASをご紹介。

手のひらサイズ(と言うにはちょっと大きいか?)に、なんと2.5インチ ディスクを6台も登載でき、さらにNASとしては高性能な デュアルコア Intel Celeron J3355を登載するという、体格と機能がアンバランスなNAS「Synology DiskStation DS620slim」がやってきました!

「小さめのNAS」と言うと、たいていは機能を絞り込んだライトユーザー向けというのが通例ですが、DS620Slimは上記の通りビジネスにも使える本格機能を搭載

さっそくその内容をレビューしてみましょう!

  • わずかなスキマにも設置できる小型サイズ
  • 6ベイを登載し本格的なRAID環境を実現
  • Intel CPUで高速な応答
  • 静かな動作音

デザイン

デザインを見ていきましょう。

3.5インチを登載するNASは、4ベイで約25cm四方の大きさになります。それに対しDS620Slimは 121 mm x 151 mm x 175 mm(高さx幅x奥行き)という小ささを実現。

手のひらより少しだけ大きい程度。

 

Synology DS920+と比較してみます。DS920+は3.5インチの4ベイタイプ。6ベイを実現しているのに、こんなに小さいのです。

右 DS620Slim

 

コロンとした見た目で、かわいさすら感じます。何というか、子犬感?

本体は梨地加工された黒のプラスチック製。質量は約1.4kgと、ディスクを組み込んでも2kg付近で、移動はラクラク。

 

前面はディスクベイと電源スイッチ、各種LEDインジケータだけのシンプルなもの。

 

側面にはおなじみSynologyのロゴ。DS920+では文字が通気口になっていましたが、DS620Slimはエンボスだけの加工ですね。それほど熱も高くないのでしょうか。

 

背面には80mmタイプの静音ファンを登載しています。

機能をチェック

DS620Slimは、この小ささでも本格機能を実現しているのが大きなポイント。

背面には1Gbps LANポートが2つ、USB 3.2 Gen 1ポートを2つ装備。

もちろんLANはリンクアグリゲーションやフォルトトレラントなど、チーミング機能も備えます。

底面ケースを外せば、4GBのメモリも増設できます。(標準2GBと合わせ合計6GBまで)

ディスクの選定ポイント

ディスクは2.5インチ専用となります。

2.5インチハードディスクは、大容量でも2TBまでのものがほとんど。探せば4TB、5TBなども見つかりますが、非常に高額な上に流通量も非常に少なく、入手性に問題があります。

総合的に考え、1~2TBで選ぶのが妥当でしょう。6ベイもあるため、2TBでも最大12TBを実現することができ、容量的には十分ではないかと感じます。

 

さて銘柄ですが、容量・グレード・メーカーとも豊富な3.5インチに対して、かなり制限があります。

NAS用高耐久HDDとして定番の「ウェスタン・デジタル WD RED」は、最大容量が1TBまでとなっています。(2021/5/1現在)

 

SeagateのNASシリーズ「IronWolf」には、そもそも2.5インチのラインナップがありません。コンシューマーグレードの「BarraCuda」には5TBまでラインナップされています。ただ、Seagateは僕と非常に相性が悪いためほとんど使ったことがなく、評価はできておりません。(笑) あ、別にディスっているわけではありません。あくまで相性です。

 

そのほかではNAS用とは銘打っていないものの、耐久性で定評のある東芝のHDDになります。こちらはMQ04ABD200が2TBとなっており、2TBで僕がおすすめできそうなのは、ほぼこれ一択となります。

 

それ以上の容量を求めるなら、もはやDS620Slimではなく、3.5インチのDS920+やDS1621+などを選んだ方が対容量コストは低くなるはずです。

 

すべてをSSDにすれば、このサイズでオールフラッシュNASを構築することも可能です!

ただし、NASはあまりデータを転送しなくても、裏側でかなり読み書きを行っています。コンシューマーグレードのSSDでは短い期間で寿命に達してしまう(TBWに到達する)可能性がありますので、ご注意ください。

同社の販売するエンタープライズグレードSSD SAT5200なら耐久度は折り紙付きですが、価格が非常に高額なので考えもの。ほかにはWD RED SSDも選択肢になりそうです。

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WD RED SSDの500GBなら、1台10,000円前後。コスト的にも許容範囲では。

または、4台の2TB HDD、2台のSSDを組み込み、SSDをキャッシュに回すという使い方もいいでしょう。コストとスピードのバランスが最良になりそうです。この使い方なら、コンシューマーグレードのSSDでもかまいません。

Synologyでは、NASに互換性のあるハードディスク、SSDのリストを公開しています。互換性のあるストレージを選んでおけば、保証の際に原因の特定が容易になります。ぜひ参考にしてください。

Synology ハードディスク・SSD互換リスト

ディスクの組み込み

ディスクの組み込みは非常にカンタン。

ベイのフタを押すと、カチッとハンドルがはね上がります。

 

そのままトレイを引き出し、HDDをネジ留めし、本体に戻します。ちなみにトレイは全体プラスチック製でした。

 

6台作業しても10分程度で終われるのではないでしょうか。

静音性

2.5インチHDD 4台を組み込み起動してみましたが、音は非常にささやか。ファンもかなり静音で、静かな事務所での運営でも問題なさそうです。

SSDでオールフラッシュにすれば、さらに無音に近い動作も実現可能ではないでしょうか。

 

ただし試験時の機能はファイル共有のみです。仮想PCなど重い処理を使用した場合、ファンは高回転になる可能性もあります。

機能は上位グレードそのもの

専用の設定画面「DSM」を一通り見渡してみましたが、機能は上位グレードそのまま

 

iSCSI LUNを作成し、ディスクとしてマウントしたのち、ベンチマークを取ってみました。シーケンシャルアクセス、ランダムアクセスとも十分な速さです。

DS620Slim ベンチマーク

 

Hyper Backup、cloud Backup、Photo Stationなど、専用アプリはもちろん全て使用可能。dockerやMySQLサーバも起動可能です。

さらにIntel CPUを登載しているので、仮想PCも構築可能です。

小さくても性能の妥協は必要ありません。

とはいえ仮想PCは、デュアルコアCPUと最大でも6GBのメモリでは、機能を絞ったLinuxサーバーぐらいまでが実用範囲。Windows系はかなりきびしい動きとなります。

とにかく小さな本体が魅力

ざっと性能を見てきましたが、このサイズで十分に「本格的」と言える機能を実現しています。

設置場所を選ばず、最小面積で最大の効果を狙えるNASです。机の片隅でも余裕で置けます。

とはいえ、2.5インチディスクのみの対応という点は、ディスクの銘柄や容量などに制限が出てきます。面積的な余裕があるのなら通常サイズのDS920+などを選んだ方が、ディスク選択の自由があるでしょう。

設置場所、望む容量を考え、選びたい機種です。

WTS的まとめ

とてもかわいい大きさのNASです。DS920+のミニチュアといった感じで、置いておくだけでも楽しい。何というか、ガチャガチャで出てきそう。(笑)

でも中身はしっかりと本格NAS。複数人で大量の写真を共有するデザイン事務所だとしても、十分に役立ってくれそうです。

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