NASの入門としても最適!オシャレだが本格機能の小型NAS QNAP TS-130レビュー

こんにちは、太田アベル(@LandscapeSketch)です。

NAS(Network Attached Storage / ナス)は、家庭内や社内のファイル共有に非常に便利です。

NASを使えば同じファイルを複数人で同時に見ることができ、また全員のファイルを1台に集めることで、データやセキュリティの一元化を図ることができます。

今日はシングルドライブで、初めてのNASとしても最適な「QNAP TS-130」をレビューしていこうと思います。

本体カラーはブラックのものが多い中で、ひときわ目を引くベイビーブルーの筐体をまとい、QNAPらしく基本機能をしっかり押さえた機種です。エントリークラスでありながら、NASとして十分な機能と信頼性を確保しています。

さっそくレビューしていきましょう!

  • NASの中では珍しい、明るいベイビーブルーを採用
  • わずか66mmのスリムボディ
  • 組み立てはカンタン
  • 非常に静かなファン
  • NASの基本機能はフル装備

デザイン

NASはウラカタの機材ということで、色はブラックのものが多い中、TS-130は「ベイビーブルー」という、明るくやわらかい色を採用しています。

パッケージも家庭を意識したやわらかなイメージ

 

北欧デザインを感じさせる色合いで、家庭内で目に見える場所に置いても、異質感は少ないですね。

 

正面は電源とインジケータランプ、電源ボタンがあります。濃いブルーのラインがアクセント。

 

側面もシンプルそのもの。完全なフラットで、QNAPのロゴがうっすらとエンボス加工されています。全体プラスチック製ですが、梨地加工がされ、さらっとした触感。安っぽさはありません。

 

上面は斜めのスリット模様が入っています。

 

背面にはファンと各種接続端子があります。ポートはLAN、USB3.2 Gen 1、USB2.0、電源コネクタとなります。

エントリークラスのNASというと、静音性を重視するあまりファンを省いてしまう機種も多いのですが、最近の暑い夏は機械には過酷な環境です。

おしゃれなデザインを採用しながらもしっかりとファンを付けてくるあたりは、むやみな静音性ではなく安定性重視だと感じさせ、さすが長年NASを作っている会社だなと感心します。

 

ACアダプタは小型で、狭い場所にも置けそうです。

組み立て

さて、組み立てをしていきましょう。

TS-130の付属品をチェックします。

  • ACアダプタと電源ケーブル
  • LANケーブル
  • ネジ類

となっています。

 

TS-130にはディスクは含まれていませんので、別途ディスクの購入が必要です。

ディスクは3.5インチハードディスク、2.5インチのハードディスクもしくはSSDが使用可能です。ディスクはSATA(サタ / シリアルアタ)タイプになります。下記商品は一例です。

3.5インチHDD 一例
2.5インチHDD 一例
2.5インチSSD 一例

2.5インチHDDやSSDは、3.5インチHDDより割高になります。ノイズに非常にこだわるのでなければ、安価で大容量な3.5インチHDDをオススメします。

 

組み立ては非常にカンタン!

底面のネジを1本だけ外します。

 

外ケースが外れます。

 

3.5インチハードディスク、2.5インチSSDを接続してみました。ディスクを接続後にサイドからネジ留めしていきます。ぴったりの位置にネジ穴が用意されています。

ネジはサイドから

 

 

ケースを戻し、ネジを締めればもう完成です!

非常にカンタンでした。機械に慣れていない人でも10分もあれば完成できるでしょう。

起動~設定

TS-130を起動すると、自動で初期設定が始まります。

初期設定が終わりネットワークに接続されると、「ピー」という大きめのブザー音が鳴ります。静かな部屋だと、けっこうビックリする音量。(笑)

 

ここからはPCもしくはスマホからの設定。今回はPCから設定します。

QFinderというソフトをQNAPのサイトからダウンロードし、インストールします。

すると、すぐにLAN内のTS-130が検出されます。この時点で検出されない場合は、

  • TS-130のエラーが出ていないか
  • LANコネクタが外れていないか
  • PCと同じアドレス内にあるか

などを確認しましょう。

 

ダブルクリックするとTS-130の設定画面「QTS」に入れます。

 

グラフィカルな画面で、迷いなく進められるはずです。

最初にファームウェアの設定が入る場合があります。これはTS-130自体のアップデートで、再起動が必要になる場合があります。再起動となった場合は、起動後にもう一度QFinderから始めてください。

 

ネットワークの接続設定は、WindowsとMacにチェックを入れておきましょう。もちろんLinuxを接続するならLinuxもですね。

 

その後、管理者ユーザーなどを設定すれば完了。

全ての設定が終わるとWindowsデスクトップのような画面があらわれます。NASのあらゆる機能を、グラフィカルなわかりやすい画面で操作可能です。

 

初めてのNASではちょっとわかりづらいのが「ボリュームの作成」の部分でしょう。これはハードディスクにデータを保存する「領域」のことです。

まっさらなディスクには、いきなりデータを書き込むことができません。ボリュームという書き込むための下地を設定し、そこに書き込むのです。

「静的ボリューム」を選び、あとは領域全てを割り当てれば大丈夫です。初めての場合は、細かくいじらず、全てを割り当てた方がわかりやすいでしょう。

 

転送速度は十分実用的

エントリークラスのNASなのですが、NASとしての機能は上位モデルとほぼ同じものを備えています。

ファイルの共有、権限の管理、自動バックアップなど、すべて実用十分な速度で動きます

家族分のユーザーを作り、共有フォルダを作り、そこにユーザーの権限(読み込み可能、書き込み可能など)を設定すれば、すぐに複数台のパソコン、スマートフォンなどからファイルにアクセスできます!複数人が同時にフォルダを見ることも、もちろん可能です。

 

性能試験もしてみましょう。

TS-130に搭載したディスクはSamsung 870 evo (500GB)です。またLANは1000Base-Tにて、転送用PCと直結しています。

まずFTPでの転送試験です。上記テストの1GiBファイル転送を行い、81~118MB/sの速度が出ています。

ネットワーク速度のほぼ限界値まで出ており、十分に高速です。他メーカーのシングルディスクNASでも平均値が97~100MB/sとなっており、そん色ない速度と言えます。

 

Windowsのファイルコピーでのテストです。こちらも表示上のピークは102MB/sとなっており、操作は快適です。

 

iSCSI接続をし、CrystalDiskMarkにてベンチマークを取りました。こちらはネットワークの信号がさらに最適化されることで、ネットワーク速度のほぼ限界値を引き出しており、内蔵ハードディスクと同等のアクセス速度を出しています。

普段の書類アクセスについては、NASであることを意識せずに使えるだろうと感じます。

※iSCSIは、一つの領域に対して接続できるクライアントは1台に制限され、フォルダも共有できません。特に性能が必要な場合にのみ、使用するのが良いでしょう。

非常に静か

ファンの音は耳をよほど近づけないと聞こえないほど静か。ハードディスクも静かなものを選べば、夜中でも気にならないほどでしょう。

ハードディスクはメーカーによってかなり雑音に差があります。僕のオススメは「ウェスタン・デジタル WD REDシリーズ」。NAS専用に開発された高い耐久性に加え、比較的静かな動作音もポイントです。

 

またSSDなら一切の音を出しませんので、より無音に近い環境を目指せます。ただ、3.5インチハードディスクよりかなり割高になります。音響機器の近くなど、騒音にきびしい場合は検討してみてください。

シングルドライブはデータ保護に注意

TS-130はハードディスクが1台だけ搭載できるシングルドライブNAS。つまり万が一ディスクが故障してしまった場合、全データを一気に失うことになりかねません。

バックアップが非常に重要です。

QNAPのNASには「Hyper Backup Sync 3 (HBS3)」という非常に優秀なバックアップソフトが付属します。定期的なバックアップ、クラウド同期などを、カンタンに自動化できるのです!しかも無料!

 

バックアップ方法は大きく2つ。

USBコネクタで外付けハードディスクと接続し、データをコピーしていく方法。

またはOneDrive、Google Drive、BackBlazeなどといったオンラインストレージサービスと接続し、ウェブ上のストレージに保存する方法です。

どちらでもHBS3は対応できます。

HBS3でバックアップを設定している画面

 

外付けハードディスクは初期投資が必要ですが、月額料金はかかりません。わかりやすく、初めてのバックアップには良い選択です。

 

オンラインストレージは物理的にも、地理的にも切り離してバックアップでき、故障もほぼなく、ウェブからも操作できるので、便利な点も多くあります。ただ、月額料金がかかってくるのが苦しいところ。大容量ですと月に1,000円以上かかってしまう場合があります。

まずは月額料金を気にしなくても良い、USBハードディスクでバックアップ環境を整えるのがオススメです。

バックアップ「なし」で運用するのは、まったくおすすめできません。大切な写真がたくさん入ったハードディスクが、一瞬で消えてしまった例をたくさん見てきました。ディスクはいつ故障するかは誰にもわかりません。ぜひ必要な投資として、バックアップの機材を揃えましょう!

スペック

TS-130の詳細スペックになります。

機能 スペック
CPU Realtek RTD1295 quad-core 1.4GHz processor
CPUアーキテクチャ 64-bit ARM
システムメモリ 1 GB DDR4
フラッシュメモリ 4 GB (Dual boot OS protection)
ドライブベイ 1 x 3.5-inch SATA 6Gb/s, 3Gb/s
Wake on LAN (WOL)
ジャンボフレーム対応
Gigabit Ethernet Port (RJ45) 1
USB 2.0 port 1
USB 3.2 Gen 1 port 1
サイズ (HxWxD) 187.5 × 66.1 × 157.6 mm
重量 (Net) 0.61 kg
重量 (Gross) 1.22 kg
動作可能温度 0 – 40 °C (32°F – 104°F)
電源ユニット 36W Adapter, 100-240V
消費電力: HDDスリープモード 3.45 W
消費電力: 動作モード平均 7.29 W *Tested with drives fully populated.
ファン 1 x 50mm, 12VDC
ノイズレベル 15.2 db(A)
保証期間 2年間

WTS的まとめ

やわらかい色味のボディで部屋にとけこみ、静かに動き続ける理想的なNASです。

NASでは世界的に有名な企業であるQNAP製というのポイント。上位機種で培った優秀なアプリがそのまま使え、価格以上の機能を提供してくれます。

家庭用としても、企業の小さなファイルサーバとしても活躍してくれるでしょう。

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