さて、先日モバイル用Ryzen 7 7745HXを組み込んだmini-ITXマザーボード「MINISFORUM BD770i」と、”完全無音”のファンレスグラフィックカード「ドスパラ GeForce RTX 3050 KalmX 6GB 」をそれぞれレビューしました。
MINISFORUM BD770i(アマゾンで現在セール中)
GeForce RTX 3050 KalmX 6GB (ドスパラ専売)
Ryzen 7 7745HXは8コア/16スレッドを内蔵し、11世代のCore i9に並ぶほどの実力ながら、フルロードでも実質100W付近に収まる省電力が魅力。モバイル出身のCPUならではです。
もちろん最新Zen 5を採用したRyzen 9000シリーズのほうが省電力で速いとは思いますが、値段が全然違います。MINISFORUM BD770iはマザーボードに組み付けた状態で57,580円(執筆時/セール価格)、Ryzen 7 9700Xは単体CPUで73,000円(執筆時/BOX平均価格)と、数万円の開き。マザーボード代金を入れればさらに差が開きます。
MINISFORUM BD770iはCPU交換やCPUクーラー(ヒートシンク部)を交換することはできませんが、かなり魅力的な価格だと言えるでしょう。
加えて、特殊な専用ファンではなく、ごく普通の12cmファンが使えるところも美点。こだわりのファンを選ぶことができるのです。
GeForce RTX 3050 KalmX 6GBは完全にファンレスというかなりめずらしいグラフィックカード。
ファンレスカードは超低性能のカードがほとんどですが、GeForce RTX 3050 KalmXはその名の通りGeForce RTX 3050を搭載し、DirectX 12ゲームもけっこう動いてしまう実力派。その上どれだけ回しても完璧な無音です。
この2つをメインに、お気に入りのJonsbo T8コンパクトケースに組み付け。
2ヶ月使用した経験をお伝えします!
CPUファンはNoctuaを選択
MINISFORUM BD770iはCPUに大きなヒートシンクがかぶっている状態になります。
もちろんこのヒートシンクだけでの冷却は無理です。この上に12cmファンを取り付け、CPUクーラーとします。
12cmファンは特殊な形状ではなく、ごく普通のケースファン用を使えます。豊富なメーカーから選ぶことができますので、こだわれますね!
ただ、ヒートシンクは目が細かく、ましてや8コア/16スレッドを搭載したCPU。しっかりと冷やしたいところ。前回のレビューではXPG VENTO PRO 120 PWMを使いましたが、風力は合格だったものの、騒音がけっこう大きく感じられました。
エアを押し込める静圧性能にくわえ、静音性もほしいとなると、やはりNoctuaに行き当たります。
購入したのは「Noctua NF-A12X25 PWM chromax.black.swap」。
全体ブラックで、目立たせず搭載したいときにベストチョイス。ツートンブラウンのNoctuaカラーがどうしても気に入らないときはこれです(笑)。
4隅には防振ゴムがついています。これは取替え可能で、赤・青・黄・緑・白・黒が付属。軽くおしゃれ(?)を楽しむことができます。黒だけでいいから安くして
他のファンが1000~2000円程度の中、4500円近い高価格がネックです。
ケースはJonsbo T8
ケースは小型ケースJonsbo T8。
上部にハンドルが付いていて、ちょっと場所を移動したり掃除したいときにとても便利。サイドは両面ガラスで、LEDの演出も可能です。空気は底面から上面へ抜ける煙突タイプです。
mini-ITXケースですが、2スロットの拡張ができるのもうれしい。今回のGeForce RTX 3050 KalmXは幅がギリギリですが、入ります。
むちゃくちゃ静かに!
さて起動してみると・・・なんだこの静けさは!
起動時こそ軽いファンの音が聞こえますが、アイドル時になると生活音と聞き分けがむずかしいほどの音量に。
CPU温度はHWiNFO読みで49~53℃付近。重いアプリケーションを開くと83℃付近を示しますが、処理が終わればすぐに戻ります。温度に問題はなさそうです。
仮想マシンや重いアプリケーションを使う仕事もこなしてみましたが、応答速度はとても速く、ファンが大きな音を出すこともありません。
少し前のCore i9クラス(Core i9-11900K)付近のベンチマークを出せるのに、この静かさ。非常に集中でき、快適です!
ゲーム(Apex、ストリートファイター6)などを遊んでみましたが、フルHDまでなら十分になめらか。Apexの射撃場ならフレームレートは100 fps越えも見られます。
高画質にこだわらなければ、GeForce RTX 3050で満足できる人は多いのではないでしょうか。
何より、ゲームが盛り上がっている最中もPCの音がほとんど気にならないのはうれしい。コンシューマーゲーム機などと変わらない扱いです。
AIイラストにも挑戦できる!
話題の生成AI。
GeForce RTX 3050なら、独自のイラストを生成できるStable Diffusionも動かすことができます。こんな写実的なAIイラストも生成可能!
いろいろなソフトが出ていますが、その中でも「Stable Diffusion WebUI forge」は、GPUのメモリが少ない場合でも比較的短時間で出力できるので遊べます。(今回のGeForce RTX 3050 KalmXは6GBのメモリなので、「少ないメモリ」に相当します。)
たとえば上記のイラスト(1152 x 896ピクセル)は、高画質なSDXLモデルを使い、およそ1枚40秒ほどで出力できました。小さくすればさらに短時間で出力できます。(ただし絵がおかしくなる確率が上がります。)
話題の生成AIを体験することができます。
WTS的まとめ
軽いゲームしかプレイしないから、とにかく静かなゲーミングPCがほしい!といった場面では、今回の構成はかなりオススメ。
性能にはそれなりに制限がありますが、主要な騒音源であるグラフィックカードが「無音」というのは大きい。「制限」と言っても、AAAクラスの最新ゲームを高画質で動かせないぐらいで、画質や解像度を調節すればほとんどはプレイ可能です。
Jonsbo T8では83℃という比較的高めの数字も出ていましたが、サイドメッシュのケースにすればさらに温度を下げることは可能でしょう。
静音とゲーミングは両立できる時代になってきました!
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