どうも、太田アベル(@LandscapeSketch)です。
薄型コンパクトなデスクトップPC「NEC LAVIE Direct DT」(最新モデルの確認はこちらから)。
薄型ながら複数のPCIeスロットを搭載し、グラフィックボード(通称グラボ)の搭載も可能。見た目以上に拡張性があるのです。
ただし、他メーカーの同型マシンに比べ前後長が短く、内部ドライブシャーシが拡張スロット部分にあるため、カードの長さにきびしい制限がある点に注意が必要。
下写真はDELLの少し古いスリム型デスクトップと比較したもの。前後長が10cm以上短い点に注目。(※DELLの現在のスリムデスクトップはもう少し短くなっています)
2年前にもLAVIE Direct DT(2018年モデル)にグラフィックボードを増設する実験をしておりまして、1回目に買ったGTX 1050 Ti カードは、ドライブシャーシと干渉し搭載不可能!
当時25,000円ぐらいで購入したカードが即日使用不可&返品不可という事態になり、筆者は8時間しか眠れない毎日を過ごすこととなったのです。
その後カードの空間を測り直し、買い直した「Palit GeForce GT1030 2GB NEC103000646-1082F」という135mmのショートカードを採用した製品が、余裕をもって入りました。関連記事はこちら。
しかしこの記事を書いた後しばらくして、無事に搭載できたPalitのカードが、残念ながら販売終了となってしまったのです。
当時の記事にはいまも「記事で使っているカードはどこで買えますか?」といったコメントが寄せられています。販売終了を知るとみなさん落胆されてしまう様子でした。
そこで!
あらためてLAVIE Direct DTに入る、現役で売っているカードを探してまいりました!
新たな適合カードは「MSI GeForce GT 1030 2GD4」です!!
スペック
前回の記事ではCore i7-7700を搭載した2018年モデルで実験していました。
今回は、第10世代CPUCore i7-10700を搭載したモデル(2020年秋冬モデル)になります。
記事執筆時点での最新型は第12世代CPUを搭載したものですが、どの世代も内部設計はほとんど変わっておらず、カードの制限はほぼ同じだと思われます。
項目 | スペック |
---|---|
OS | Microsoft Windows 11 Home (x64) |
CPU | Core i7-10700 |
CPUコア/スレッド数 | 8コア / 16スレッド |
内蔵グラフィック | Intel UHD 630 |
メモリ | 8 GB |
メモリスロット (空きスロット) | 4 (2) |
ストレージ 1 | 1TB HDD |
光学ドライブ | DVD+R DL |
ポート類 | USB Type-C x1、USB 3.1(Type-A)×2、USB 3.0×2、USB 2.0×4、DisplayPort×2 、ミニD-sub15ピン×1 |
サイズ | 89(W)×298(D)×336(H)mm(スタンドなし) |
重量 | 約 4.7kg |
LAVIE Direct DTのスロットを確認
LAVIE Direct DTの内部をチェックします。
手持ちのモデルは
- PCI-Express x16スロットが1本
- PCI-Express x1スロットが1本
- PCIスロットが1本
となっています。
カードの空間を測ってみますと、Max 153mmほど。目測での誤差を入れれば151~2mmと見えます。
GeForce GT 1030 2GD4のチェック
グラフィックカード MSI GeForce GT 1030 2GD4の詳細です。
商品名の通り、NVIDIA GeForce GT 1030を搭載。GT 1030は第10世代GeForce(Pascal世代)の末弟になります。グラフィックメモリは2GB。DirectX 12まで正式対応しています。
(なぜかいつまでも売っている)GT 710/730などを除けば、現在のローエンドカードと言えるでしょう。
付属品はロープロファイル用のブラケットのみの、超シンプルセット。
ヒートシンクは1スロット厚。しっかりとファンが付いているので、今回のPCのような狭い空間でも耐えられそうです。
カードサイズはGT 1030カードで最小クラスとなる150mm。現物をモノサシで測ったところ、ほぼ公称通りの長さでした。
端子はHDMI、DisplayPortが各1ポートです。DVI / VGAはありませんので、古めのディスプレイに接続を考えている場合は注意したい。
また、補助電源は必要ありません。どんなPCでも増設できます。
さて、入るのか・・・!?
LAVIE Direct DTに装着!
前回オススメしていたPalitのカードは135mmだったため、十分な余裕がありました。
今回はLAVIEの空間が153mmに対して、カード長が150mm・・・。入るかどうかは完全に賭けでした。
どうだ!?
はいっっったーーーーーーーー!!!!
見事収まりましたよ!!!!
ドライブシャーシギリギリ!!!!残りわずか2~3mmです。衝突することだけは避けられました。いやーーーよかった!
指の先しか入らないほどのわずかなスキマを残すのみ!
ベンチマーク
ということでベンチマークを取ってみましょう!
CPUのみとGeForce GT 1030を併記してあります。
3DMark
ゲームベンチマークとして、ほぼ業界基準となっている3DMarkにてテストをしました。
ベンチマーク | CPUのみ | GT 1030 |
---|---|---|
Night Raid | 6480 | 8402 |
Wild Life | 3091 | 3525 |
Fire Strike | 1237 | 1678 |
Time Spy | 512 | 751 |
CPUではかなり苦しいのは当然として、GT 1030側もけっこうギリギリ感があります。Night Raid、Wild Lifeではコマ落ちが多いながらもなんとか見られるレベル。それ以上となるとコマ送り状態ですね。
3Dゲーム用としては、期待はむずかしいでしょう。
またCore i7-10700のiGPU「Intel UHD Graphics 630」と比較すると、それほど差が大きくないこともわかります。
PCMark 10
システム全体の性能を計測するテストです。
テスト | CPUのみ | GT 1030 |
---|---|---|
総合 | 4087 | 4800 |
Essentials | 8678 | 9725 |
Productivity | 6945 | 7001 |
Digital Content Creation | 3075 | 4009 |
こちらもCPUとGT 1030では大きな差が生まれませんでした。
GT 1030はNVENCなど、エンコード支援機能が付いていません。なのでクリエイティブ用途としても、メリットは限定的かもしれません。
ファイナルファンタジー XV (FF15)
ファイナルファンタジー15は最新技術を多数使っており、重めのゲームです。最新技術のサポートがどのくらいあるのかを確かめることができます。
設定 | スコア | 快適度 | |
---|---|---|---|
CPUのみ | 1280×720 / 軽量品質 | 1313 | 動作困難 |
GT 1030 | 1280×720 / 軽量品質 | 2056 | 重い |
こちらは多少の差が付きました。が、どちらにしても「遊べる」というレベルではありませんでした。
CPUのほうは1秒に1回画面が変わる程度で、プレイはまったく不可能です。
GT 1030のほうはCPUよりは多少コマ数は多くなりますが、なめらかにはほど遠いところ。高グラフィックスのゲームはきびしいです。
ドラゴンクエスト X
オンラインゲームのドラゴンクエスト Xのベンチマーク。比較的軽量なゲームのベンチマークです。
設定 | スコア | 快適度 | |
---|---|---|---|
CPUのみ | フルHD / 標準品質 | 8382 | 快適 |
GT 1030 | フルHD / 標準品質 | 12802 | とても快適 |
GT 1030なら十分に遊べそうな感じです。軽量ゲームならなんとかなりそうですね。
といっても、やはりCPUとそれほど差がありません。多少ガマンすればCPUでもなんとか遊べそう。
騒音は?
カードにファンが付いているのでどれほどの騒音になるのか気にはなりましたが、筆者としてはまったく気にならないほどでした。
ケースを閉めて耳を近づけると小さく「シュイーーー」といった音を聞き取れますが、1mも離れれば、ほとんど耳に付くことはありませんでした。
というのも、Core i7-10700を搭載した当モデルの場合、CPUファンの音がけっこう大きいのです。ベンチマーク中はCPUファンの「ゴーッ」というこもった音が耳に付くので、カードファンの音はかき消されていました。
結果
ということで、新たなオススメカードは MSI GeForce GT 1030 2GD4に決定いたしました!
まだ新品で販売されていますし、価格も1万円前後で落ち着いていますので、買いやすいモデルです。GT 730と比べれば断然パワフルですから、複数ディスプレイへの出力や、2Dゲームなら余裕を持って対応できます。
ただ、3Dゲームをプレイするのはかなりむずかしいでしょう。ドラゴンクエストXぐらいのごく軽いゲームのみ実用的です。
また、第11世代以降のインテルCPU、AMD Ryzen 5000以降は、CPU内蔵グラフィックスが飛躍的にパワーアップしています。最新世代のCPUを搭載している場合、パワーアップの目的でGT 1030を積んだとしても、体感できるかは微妙な線です。劇的な画質アップは望めません。
WTS的まとめ
ようやっと実験ができました!前回の記事でレビューした、少し前の世代のLAVIE Direct DTにも、このカードが入るはずです。
ですがベンチマーク結果からも明らかなように、第10世代CPUですでに、GT 1030とCPU内蔵GPUにほとんど能力差がありません。パワーアップ目的で搭載しても、あまり効果を感じられない可能性があります。
「出力端子を増やす」「画面の解像度を上げる」といった目的に絞って使うものになりそうです。
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