Jonsbo D30 PCケース実機レビュー【ケースチェック編】 | MicroATXで最小クラス 350mm級GPUを搭載可能

中国のPCパーツメーカー「Jonsbo(ジョンスボ)」。

当サイトをお読みになる強者の方々でも、このメーカーの製品をスッと思い出せる人は、なかなかいないのではないでしょうか。

ケース、CPUクーラー(空冷/水冷)、ケースファンなど、けっこういろいろなものを取り扱っているのですが、なぜか日本に導入されるパーツはごく一部。ケースにいたっては数えるほどしか販売されていません。

ですが本国ではMini-ITXからE-ATXまで、メタリックでシンプルなPCケースを幅広く取りそろえています。

 

今回メインPCを改造するにあたり、僕のニーズにピッタリときたのが、Jonsboのミニタワーケース「Jonsbo D30」。

あいかわらず日本で取り扱いがないので中国から直輸入しました!!

3週間かけて手元に届きましたので、さっそくチェックしていきましょう!

現在のメインケース MetalicGear Mini V2

現在僕が使っているメインケースは「MetalicGear Mini V2」というもの(公式サイト)。MetalicGearも日本での取り扱いはなく、これもまたアメリカからの直輸入品です。

というか、僕が「ほしい!」と思うケースは日本ではまったくニーズがないということがよくわかりますね。(孤独感)

Metalicgear NEO mini V2

 

Mini V2はアルミパネルを多用し、シルバーとブラックのコントラストで引き締めた、洗練されたデザインのケースです。

大きさは190 x 380 x 355 mm(幅、奥行き、高さ)。

マザーボードはMicro-ITXまで、電源はATXを使用可能。グラフィックスボードの最大長は345mmまで搭載可能。前面240mmラジエター、裏配線にも対応しています。

こんな感じに、ソリッド感のある仕上がりになっています。(Ryzen 7 3700X / AORUS B550i / Zotac RTX 3080 Amp Holo / NZXT Kraken X53)

 

ただ、PCIeスロットから下方向への空間があまりなく、3スロット厚(60mm)は本当にギリギリ。現在はZotac RTX 3080 AMP Holo(厚さ59.6mm)を搭載しているのですが、スキマは3~5mmほどしかありません。RTX 3090など、60mm越えはたぶん入りません。

Metalicgear NEO mini V2 グラフィックスカードがほぼ下のフレームに隠れるぐらいギリギリ

 

またボードの最大長は345mmとなっているものの、これまたラジエターを付けるとギリギリ。ナナメにグラフィックボードを入れながら、ラジエターを少し上にズラして付けるという荒技で、ようやっと収まりました。

NCase M1と比べると広いのですが、ハイエンド構成はけっこういっぱいいっぱい感があります。(まあこういうのをムリに納めてニヤニヤするのも醍醐味ではあるんですけども)

今回のニーズ

MetalicGearで満足していたのですが、最近もう1枚追加したいPCIeカード(10GbEカード)ができたのです。

Mini-ITXはスロットが1本なので、搭載は不可能。マザーの大きさをMicro ATXもしくはATXに上げるしかなくなりました。

半年しか使ってないのにMetalicGearからお別れです!😅

 

デザインはできればMetalicGear Nano V2のような、シルバー+ブラックのものがほしい。再度MetalicGearから選びたかったのですが、1つ上のサイズ「Micro」になると、高さが410mmになり、置きたい場所に大きすぎる。

物理的に厳しいのは分かってていても、できれば高さ350mm付近を目指したい。

ニーズをまとめると、こんな感じになりました。

・Micro ATXが搭載できる
・高さ 350mm付近、380mm以下は絶対
・シルバー(できれば塗装ではなくアルミなどの金属がいい)
・ATX電源が使いたい(SFXの高容量モデルは高い!)
・240mmラジエターを使いたい
・サイドパネルはガラスがいい

まったくない

こんな条件で調べてみると、まったくない!

とにかくまずシルバーがない。黒か白のケースばかりなのです。(Cooler Master、NZXT、Fractal Design、Lian-liなどなど)

妥協してホワイトならどうか、と悩みましたが、部品やケーブルもホワイトに統一しないとチグハグになるので、コストがかかりすぎます。(統一するまで突っ走るタイプ)

ケースを探して全世界のメーカーのサイトを回りまくり、ついに今回のJonsbo D30にたどり着いたのです!

ケーススペックとデザインチェック

2週間以上かけて、ようやっと手元に到着!コロナ禍で輸出入がかなり遅くなっているのも影響しています。

まずはスペックをチェック!

項目 スペック
サイズ(幅 x 奥行き x 高さ)mm 204 x 401 x 325
カラー ブラック / ホワイト / シルバー
ドライブベイ 2.5インチ x 3
3.5インチ x 1(もしくは2.5インチ x4)
マザーボード M-ATX / DTX / Mini-ITX
PCIeスロット 4
フロントポート USB3.2 Gen 1 Type-C*1(5Gbps)
USB3.2 Gen 1 Type-A*1(5Gbps)
電源ボックス ATX(170~220mm)
※170mmを超えるとカード長は305mmまでとなる
カード長 330~355mmまで
※電源ボックスの大きさによる
水冷/空冷ファン トップ:120mm x2 もしくは 140mm x2
背面:120mm x1
底面:120mm x3 もしくは 140mm x2

 

まず高さがうれしい!

なんとMicro ATX対応なのに、Mini-ITXのみ対応のMetalicGear Mini V2の355mmを下回る!高さ325mmでとてもコンパクトになっています。

 

多くのMicro ATX対応ケースが350~450mm付近だと考えると、非常に低い。なぜか。それは電源ボックスの位置がポイント。

通常、電源ボックスは上部もしくは下部に納めます。ということは、電源の高さは必ず確保しなければなりません。Jonsbo D30は電源を縦につるすことで解決しています。

電源用フレーム

 

この吊るし方式は、小型ケースのNCase M1と同じアプローチですね。下記写真はNCase M1。右上を見ていただくと、電源が縦向きについているのがおわかりになると思います。

NCase M1内部(上から見たところ)。ごちゃごちゃしていますが、写真右上の電源の位置にご注目。

 

ただその分、前後長がすこし長くなっています(Metalicgear Mini V2の380mmに対し、D30は401mm)。今回は高さ優先なのでこれは完璧!

 

シンプルな前面。これこれ、こういう潔い(いさぎよい)ノッペラ感が好き!LED装飾は一切なし。共感はあまり得られない。(笑)

ただしスリットもパンチホールもないため、前面からの吸気は絶望的。これが熱対策にどれほど影響するでしょうか。

 

右下にスイッチとポート類が整然と並んでいます。ポートはUSB 3.2 Type-C(5Gbps)、USB3.2 Type-A(5Gbps)、3.5mmオーディオジャック。

 

両サイドともガラス製。色は軽いブラックスモークで、透明度は中身が苦労なく見えるぐらい。ガラス厚は3mm。

左サイド

 

正面右側は真っ黒に見えます。これはガラスの裏側が全部鉄板になっているためです。つまり左側はガラスの質感ですが、中身は見えないということになります。

右サイドは真っ黒に見える

ガラスの内側が前面プレートになっている

 

両サイドとも穴がないので、横から空気を抜くことができません。底面から吸い上げ上と背面に抜けるように、うまくファンを配置したい。

前述したように正面も吸気口がないため、サイドフローのCPUではフレッシュエアの導き方がむずかしそう。後ろ半分ですべてのエアを処理しなければいけません

底面ファンが重要になってくるでしょう。

エアフローの概要図。メーカーサイトより転載

 

背面。高さは低くても、M-ATXの4スロットすべてが使えます。背面ファンは12cmファン、もしくは12cmラジエターが装備可能。

 

1点気になるのが、かなり大きな字で主張する「MADE IN CHINA」(笑)。

もっと小さくてもよくない?別に中国製品に偏見があるわけではないのだが、そんなに主張するほどでもないなと。

やけに大きなMADE IN CHINA

 

上面はプラスチック製。全体が斜めのスリットになっていて、広い面積で排気することが可能。スリットは大きすぎず、細かすぎず、ちょうどよい密度感。見た目もオシャレです。

素材の薄さ、エッジ処理が少し気になる

気になったのは金属パネルの薄さ。ちょっとペラいです。

特に背面のPCIe付近が、最初からたわみがあり残念。加工精度というよりは、プレート自体の薄さで自然にたわんでしまっているように見える。曲げを入れたが、アルミの弾力で戻ってしまったかのような見た目。うーん。

バックプレートあたりが少したわんでいる

 

公式では1.5mmパネルとなっていますが、この面積ならせめて2mm厚、できれば3mm厚がほしいところ。日本で普通に買える「Jonsbo T8」のパネルは厚さ3mmで、かなりガッシリしていて、D30よりもクオリティが高い。

Jonsbo T8のレビューはこちら。

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金属価格高騰が原因だとは思いますが、デザインを引き立たせるためにも、ここはしっかりコストをかけてほしかった。

また、ホールや金属切断面がけっこうザラザラしています。バリ取りの丁寧さがいまいち。

表面処理が比較的目の粗いサンドブラスト加工なのでこうなってしまうのかもしれませんが、エッジにもう少しなめらかさがほしい。

裏からさわると、わずかにヒフに引っかかるような感覚もある。

内部チェック

内部をチェックします。

内部は適度なコンパクトさ。前後に広いのでフルレングスのグラフィックボードでも心配なく入ります。ただし前後長が長いATX電源を積むと干渉します(上からつるすため)。電源は長さ150mmぐらいまでを推奨。

ここがATX電源吊り下げフレーム。うまくサイドパネルに隠れるように設計されています。

電源用フレーム

 

目隠しのプレート。2.5インチディスクを設置することもできる。

 

裏配線にも対応。

 

底面にはディスク設置用のグロメットがはめ込まれています。ファンを設置するときには取り外す。

分解して感じたのは、ネジの精度もイマイチな点。特にガラス用のネジはけっこうグリグリ締め込む感じ。ガラスを押さえながら回せば少しスムーズ。

このあたりの品質が、代理店が日本導入に二の足を踏むポイントでしょうか。

WTS的まとめ

今回はケースをざっとチェックしました。

次回は組み立てをしてみます!が、けっこう細かな問題が発生!

お楽しみに!

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