今日は僕が愛用しているクラウドバックアップサービス「BackBlaze B2」について、詳しいシステムや使い方を説明していきます。
サイトはほぼ英語で、機能ごとの「CAP(キャパシティ)」などという設定がありわかりづらいですが、数回かけてていねいに使い方を解説していこうとおもいます。
僕が実際に1TB近く使っていて、その結果を示していきますので、使用や料金感覚もわかると思います。
まずはBackBlaze B2の料金システムから。
BackBlaze B2とは?
BackBlazeは2種類にわかれていまして、
サービス | 内容 |
---|---|
(無印) BackBlaze | PC1台のデータを丸ごとバックアップ(専用クライアントソフト) |
BackBlaze B2 | どんなファイルでもOK。API経由またはコマンドラインツール |
となっています。日本でよく知られているのは「PC1台無制限バックアップ」を謳う(無印) BackBlaze サービスですね。専用クライアントを入れると、パソコン内の変更や削除があったファイルを自動で記録していってくれます。
感覚としてはGoogle DriveやMicrosoft OneDriveなどに近いです。ただ、BackBlazeはバックアップに特化していますので、ちょこちょこ引き出したりファイル共有をしたりする使い方はできません。回復が必要になったときに初めて操作する、という感じです。
(無印) BackBlazeは入れたパソコン1台しかバックアップできません。いろいろなパソコンの一部を保存したり、NASデータを保存する目的には「BackBlaze B2」というサービスになります。
BackBlaze B2はAPIやコマンドラインツールなど、柔軟なバックアップ方法を提供してくれます。
BackBlaze B2の料金システム
BackBlaze B2はAmazonやGoogleと同じような従量課金制となっています。入れた容量しだいで料金が変わるわけです。
それに加え、ファイルを引き出し(ダウンロード)、APIでアクセスするという場面でも別途料金が必要になりますので注意です。下記で解説します。
うれしいのはその料金の安さ!
公式サイトからの引用になりますが、
プロバイダ | ストレージ料金 (1GBごと/月) |
ダウンロード料金 (1GBごと) |
---|---|---|
BackBlaze | 0.575円 | 2.3円 |
Amazon S3 | 2.415円 | 5.75円 |
Microsoft Azure | 2.07円 | 5.75円 |
Google Cloud | 2.3円 | 9.2円 |
($1 = 115円と計算。決済はすべてドル建てとなります。クレジット決済可能)
有名どころのストレージサービスよりも、半額もしくはそれ以下の金額となっています。仮に100GB預けても、月にたったの58円ほど。個人用途でも安心して使うことができます。
APIアクセスの料金は、2,500回までは無料、それ以降は5,000回ごとに$0.01 = 1.2円ほどです。
API料金はBackBlaze公式のコマンドラインツールが用意されていて、これを使うことで使用量を激減させることができます!使い方は後述します。
APIで同期するには?
BackBlaze B2は基本はAPI経由でやり取りを行います。
QNAP、SynologyなどのNASでは、標準でBackBlaze用のバックアップシステムがあり、アカウントや同期フォルダを指定しておけば自動でやりとりをしてくれます。
下図はQNAPのNASで使用できる「Hybrid Backup Sync」というアプリケーションです。BackBlazeが含まれていますね。
注意したいのは、これらのソフトが実際にどれだけAPIを利用するかわからないという部分です。
大きなフォルダを同期して、自動でやってくれるからいいや~と放っておいたら、月に何ドルも請求が来た・・・ということになりかねません。必ず少量で試し、管理画面をチェックしておく必要があります。
また、この後の「CAP」システムを使えば予算の設定ができます。
CAPとは?
BackBlazeでもう一つ重要な単語が「CAP」です。
これは「キャパシティ」の略称で、ストレージ、APIなどが1日最大どれだけ使用できるか?を指定するものです。説明も少ないので理解するまでに数日かかりました・・・
BackBlaze管理画面の「Caps & Alerts」という画面にあります。
大きく4つの項目があり
- Daily Storage Caps(最大容量)
- Daily Download Bandwidth Caps(ダウンロード帯域使用料)
- Daily Class B Transactions Caps(Class B API料金)
- Daily Class C Transactions Caps(Class C API料金)
となっています。
右上の「Edit Caps」をクリックすると、それぞれの「最大使用量」を金額ベースで決められます。たとえばDaily Storage Capsに「$0.2」を指定すると、容量が1,210GBとなります。(2018/1/9現在)
なんのこっちゃ?と思いますが、要は1日に$0.2ドル払うなら、最大1.2TB預けることができますよ、という意味になります。
ここでの設定はあくまで「最大」であって、$0.2と設定したら常に$0.2を課金されるわけではありません。1GBしか預けていなければ請求はゼロです。(10GBまでは無料!)
ファイルを追加していくとだんだんとゲージが増えていき、僕の場合は900GBで1日 $0.15と表示されています。これが実際にかかる金額です。1日に18円ほどということですね。安い!
Daily Download Bandwidth Caps(ダウンロード帯域使用料)はダウンロードするときにかかる料金です。1GB以上ダウンロードしたいときは課金が必要です。
Daily Class B Transactions Caps、Daily Class C Transactions CapsはAPIの使用料です。実はClass BとCがどういう違いか僕はわかっていません。NASからアクセスするとClass Cばかり消費されます。APIの種類でしょうか?
CAPの最大容量に達すると?
各CAPの最大容量に達すると、容量ならそれ以上ファイルが入らなくなり、APIならエラーが返り、使用できなくなります。某クラウドシステムのように勝手に拡張されて高額になることはないので安心です。
設定しておけばメールも来ますので、システム管理者は必須です。
CAPは1日ごとにリセットされます。
APIは1日2,500回まで無料、それ以上はお金がかかります。2,499まで使っても、翌日になれば0に戻ります。毎日2,500以下にすればずっと無料で使うことができます。
実際どのくらいかかってる?
では僕が実際にかかっている料金を出してみます。料金は10日ごろに締められ、カードに課金されます。
12/9~1/9までは約800~900GBを使っていまして、APIなどはほとんど使っていなかったので0です。回復する場面もなかったのでDownloadも0となっています。
合計$4.49 約517円!($1=115円計算)
900GBも預けて月に500円ちょっとというのはかなり安いのではないでしょうか。
機能が違うので完全には比べられませんが、Google Driveは1TB借りると月に1,300円です。OneDriveは1年で12,000円なので約1000円ぐらいですね。
APIを削減するにはコマンドラインツール
大量のファイルをバックアップするとAPI料金がばかになりません。そこで公式のコマンドラインツールをお勧めします。
公式ページはこちら:https://www.backblaze.com/b2/docs/quick_command_line.html
環境づくりにちょっと手間がかかるのでまた詳しく解説しますが、追加バックアップ、同期バックアップなどがかなり細かく指定できます。
1000ファイルをツールで同期しても、API仕様は50回ほど。これなら大量の初期バックアップも安心していけます。
一回同期コマンドを作れば、バッチファイルなどで定期実行も可能です。NASや共有フォルダのバックアップはむしろコマンドラインツールの方が便利なはずです。
速度は?
サーバーが米国にあるということで速度も気になるところです。
数年前まではけっこう遅かった(1MByte/Sぐらい)のですが、最近はかなり改善されていて、10MByte/Sほど出ることもあります。1GBのバックアップに5分ほどで終わるのが普通です。(回線はコミュファ光 ホーム1ギガ)
WTS的まとめ
WTS的まとめ
BackBlazeの料金や基本設計などを説明しました。
BackBlazeは全体的に良心的な料金で、ほんと助かります。ほとんど動かさないけれど絶対になくせないというファイルは、BackBlazeおすすめです。
次回はコマンドラインツールをインストールして、実際にコマンドで同期してみたいと思います!