高速2.5Gbps LANにも対応した,堅牢でフル装備な4ベイNAS ASUSTOR Lockerstor 4レビュー

こんにちは、太田アベル(@LandscapeSketch)です。

いままでSynology、QNAP、TerraMasterなど有名どころのNASをレビューしてきました。(NASカテゴリの記事一覧はこちら

今日はASUSTOR(アサスター)のNASの体験機をメーカーより提供いただきましたので、さっそくレビューしていこうと思います!

ASUSTOR LOCKERSTOR 4 (AS6604T)」は4つのドライブベイと2つのM.2キャッシュスロットを備え、CPUにクアッドコア Intel Celeron J4125を搭載。さらにUSB 3.2 Gen 1ポートを3つ、最新の2.5Gbpsの高速LANポートを2ポートも装備。

安定した高い応答性、2.5Gbpsの高速転送力と、PCサーバー並みにさまざまな機能を実現できる汎用性がポイント。

さっそく詳細を見ていきましょう!

  • クアッドコア Intel Celeron J4125による軽快な操作感
  • 2.5Gbpsの高速アクセス
  • 堅牢な作りのボディ
  • HDDアイドル時17.6dBという静音設計
  • M.2 SSDを使ったキャッシュを構成可能
  • USB 3.2 Gen 1 ポートを3つ装備

ASUSTORとは?

まず、現在あまり知名度が高くはない(?)「ASUSTOR」という会社について軽く紹介。

自作PCを楽しむ人にはおなじみのASUS社がありますが、ASUSTORはASUS内でNASを主に扱う別会社にあたります。(よく見ると名前の先頭がASUSになっていますね!)

ASUSならよく知ってる!という人も多いのではないでしょうか。ゲーミングPCパーツのROGシリーズ、スマートフォンのZenFoneシリーズの会社といえば、「ああ、あの!」と思うはず。

ASUS 公式オンラインストア「ASUS Store Online」

NASの会社としての知名度はこれからですが、バックボーンの会社は非常に強力。ASUSで培った高耐久技術、高精度な製造技術を投入しているので、NASにも信頼がおけそうです。

ASUSTORのNASシリーズ

ASUSTORのNASは

  • おしゃれな外観を目指した家庭用の「Drivestorシリーズ」
  • 高速ライブストリーミングを強化し、ゲーミング対応をうたう「Nimbustorシリーズ」
  • パワーユーザー、小~中規模組織をサポートする高速・堅牢性を備えた「Lockerstorシリーズ」

に大きく分かれます。

今回レビューするのはLockerstorシリーズになります。企業内で多人数からアクセスされることを前提に、高応答性、高耐久性を目指して設計されています。

デザイン

デザインを見ていきましょう。

フロント側は、同クラスの他社製品よりもメカメカしい外観です。といっても、無駄な装飾が付いているわけではありません。

まずこの価格帯(4~6万円台)のNASでは搭載していることの少ないLCDパネルは、NASに接続せずとも、さまざまな状態を確認することができます。

LCDパネル

 

複数台のNASを運用している際、IPアドレスを確かめたいときがよくあります。その場合はPCかスマホでログインし、ネットワーク項目から確認しなければなりません。しかしLockerstor 4なら、LCDパネルですぐにIPアドレスを確認できるため、非常に便利。

ディスクの故障、ネットワークエラーなども文字で表示されるため、インジケーターの色をマニュアルで確認するよりも、すぐに行動に移せそうです。

 

4つの操作ボタンは表示ステータスの切り替え、ワンタッチバックアップ、簡易的なNASの状態変更など、多彩な操作が可能。地味に便利です。

簡単な操作はパネルのみで済むことも多い

 

ほかにはそれぞれのストレージの状態を示すLED、電源ボタンにUSBポートと、無駄なものはありません。ちなみに電源ランプなどは初期状態ではけっこう明るいですが、設定で暗くすることも可能。夜だけ消灯、といった細かな設定も可能です。

M.2 SSDスロットを装備

内部にはM.2 SSDを2本搭載できるライザーカード(NVMe 2280タイプ)があります。

 

ここにSSDを搭載すると、超高速ストレージまたはキャッシュとして動作します。

NVMe SSDを装着したところ

 

ストレージとすれば純粋なSSDによる超高速領域になりますが、容量はSSDの容量に限られます。大容量のSSDはまだまだ高価なため、置いておくデータとコストのバランスを考えなければなりません。

 

キャッシュとして設定すれば、HDDへの読み・書き前にキャッシュがすべて受け付け、空いた時間でHDDにゆっくりと書き込んでいくので、ユーザー側からは高速でファイルをやりとりしているように見えるのです。大量の細かなファイルを送った場合などに、威力を発揮します。

キャッシュへの出し入れは完全自動のため、SSD、HDDを意識せずにアクセスできるハイブリッドな領域となるのもポイント。また250GB程度のSSDでも十分な効果を得られるため、費用対効果も高くなります。

M.2 SSDはほとんど同形状でSATA、NVMeの2種類があるのでご注意ください。AS6604Tは「NVMe」タイプのみ対応します。後日、別記事でSSDキャッシュの登載と設定方法を詳しく書いていきます。

 

組み立て

組み立てはとても簡単。

まずはHDDの組み付けです。HDDベイからトレイを引き出し、4つのネジでHDDを固定します。そして本体に戻すだけ。機械いじりが苦手という人でも、問題なく作業できます。

 

HDDのフレームは全体が金属でできており、強度が高い。熱の伝導性も良さそうです。同価格帯のNASでは、全体がプラスチック製のものが多いです。ディスクの安定的な動作を目指し、しっかりとコストがかかっている設計です。

 

4つのベイにHDDを組み付ければ完成です。

 

もちろん1台、2台など、少ない本数から始めることも可能ですが、あとからHDDを追加すると「同期」という非常に時間がかかる作業が行われ、その間は速度が低下します。

最初から余裕ある容量を使うことをおすすめします。

さっそく起動

Lockerster 4を起動すると、自動で初期設定が始まります。起動時は電源ランプ下の状態ランプが、オレンジに明滅します。

初期設定が終わりネットワークに接続されると、ブザーが鳴り、LCDパネルにREADYの文字が表示されます。

 

ここからはPCもしくはスマホからの設定をします。今回はPCから設定します。

ACC(ASUSTOR Control Center)というソフトをASUSTORのサイトからダウンロードし、インストールします。

スキャンをすると、すぐにLAN内のLockerstorが検出されます。この時点で検出されない場合は、NASのエラーが出ていないか、LANコネクタが外れていないか、PCと同じアドレス内にあるか、などを確認しましょう。

もしくはLCDに表示されているIPを直接ブラウザでたたいても、ログイン画面にたどりつけます。

 

一通り初期設定画面が終わると、ログイン画面となります。

ログイン画面

 

ログインするとLockerstor 4の設定画面「ADM(ASUSTOR Data Master)」(OS名)に入れます。グラフィカルな画面で迷いなく進められるはずです。

 

初めてのNASではちょっとわかりづらいのが「ボリュームの作成」の部分でしょう。これはハードディスクにデータを保存する「領域」のことです。

まっさらなディスクにはいきなりデータを書き込むことができません。ボリュームという領域を設定し、そこに書き込むのです。

ボリューム作成

 

「静的ボリューム」を選び、あとは領域全てを割り当てれば大丈夫です。ちなみに、何も指定せず進んだ場合、RAID 5で初期化されました。

もしRAIDタイプにこだわりがある場合は、初期化後に一度ボリュームを削除し、やり直す必要がありそうです。最初に選択項目が出ると良いなと感じました。

グラフィカルでわかりやすい画面

ファイルの共有、権限の管理など、あらゆる操作がサクサクと動き、忙しい仕事中でも設定を変えるのはラクラク。

ユーザーを作り、共有フォルダを作り、そこにユーザーの権限(読み込み可能、書き込み可能など)を設定します。

 

それだけでもう、複数台のパソコン、スマートフォンなどからファイルにアクセスできます!複数人が同時にフォルダを見ることも、編集ももちろん可能です。

大型ファイルも小型ファイルも速い2.5Gbps LAN

USB接続の2.5Gbps対応LANアダプタ「ASUSTOR AS-U2.5G2」を利用し、2.5Gbpsにて接続します。

 

まずはその実測値を見ていきましょう。

 

転送データはfsutilコマンドで10GBの大きなファイルを生成し、それをcompactコマンドで圧縮します。するとディスク上の容量は「0」となり、実質メモリから転送されるため、正確なネットワーク速度を測ることができます。

 

Lockerstor4の通常の共有フォルダへ転送してみますと、平均180MB/s付近の高い転送数値が出ています。10GBのファイルの転送は、約60秒となっています。

 

つぎにiSCSIでの接続を試してみましょう。

Lockerstor 4にてiSCSI LUNを作成し、Windows標準のiSCSI イニシエータから接続し、通常ドライブとしてマウントしました。CrystalDiskMarkにて内蔵ディスクと同じ計測方法をとってみます。

シーケンシャルアクセス、ランダムアクセスとも、ネットワークアクセスのNASだと言うことを感じさせないほど、高速です。2.5Gbpsの接続というのもポイントですが、多数ファイルのサーチ、転送もかなり快適です。これはCPUも速いためです。

1GiBの転送、4GiBの転送でも大きな差は見られません。2.5Gbps程度なら、まだまだ本体性能の方が上回っています。

1GiBベンチマーク

4GiBベンチマーク

 

iSCSIの場合、10GBのファイルをコピーするのにかかる時間は、わずか40秒ほど。平均転送速度は200MB/sに迫ります。内蔵ディスクのような速度を実現しています!

 

動画の素材、音楽素材など大容量データを扱う際には、いままでは直結のUSB、もしくはThunderbolt HDDが選択肢となりました。

しかし2.5Gbps LANなら、ネットワークディスクでも対応できる可能性が非常に高くなったというわけです。

ネットワークディスクなら複数人同時アクセスでき、PCから離れたところで運用でき、USB HDDと比較して設置や使用方法に非常に柔軟性を出すことができます。(※iSCSIの場合は、同じ領域へのアクセスは1ユーザーのみとなるのでご注意ください)

PC側の準備や拡張、ハブの2.5Gbps化など、多少のコストがかかりますが、高速で柔軟なネットワークディスクを実現できるとあれば検討の余地がありそうです。

WTS的まとめ

Lockerstor4は、2.5Gbpsの高速LANを搭載した高機能NASとして、非常に魅力ある一台です。

実売価格は7万円前半(2021/5/17から希望小売価格 69,800円 税込に改訂予定)と、企業用途としても個人用途としても導入しやすい範囲に収まっています。

YouTube用の動画素材の共有、大量の写真の共有など、USB HDDでは扱いにくい状況に悩んでいたら、導入を検討してみていかがでしょうか。

 

現在ASUSTORの公式サイトでは、ASUSTOR NASを購入しレビューを書いた人に、オリジナルグッズやAmazonギフトカード、4GB RAMなど豪華な賞品が当たるキャンペーンを開催中。購入したらぜひ見てみてください。(購入は国内正規取扱店ならどこでもいいようです)

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