こんにちは、太田アベル(@LandscapeSketch)です。
もうすでに”伝統”といってもよいぐらい、長くシリーズが続いているThinkPad X1 Carbon。
今回のマシンは”Gen 9″ということで、実に9代目を数えます。
初代から続く薄さ、軽さ、頑丈さという大きな特徴は9thとなってもまったく変わりません。いつも通りに薄く、軽く、頑丈、そして使いやすいです。
ただし受け継がれるのはあくまで使い勝手の部分のみ。内部システムはしっかりとアップデートされ、第11世代の最新CPUを採用し、高速かつ長いバッテリー持続時間を実現しています。
さらに今回は、従来の16:9画面の上下をわずかに広げ、16:10のディスプレイに変更。画面が広く感じされます。
既存ユーザーが安心して乗り換えることのできる、王道の仕上がりとなっています!
- 高機能はそのままにわずかに軽く
- 16:10の新型14.0インチディスプレイ採用
- 4K UHDよりもわずかに解像度が高いWQUXGA(3840×2400)を選択可能
- Core i7でもファンの音が静かに
Gen 9の見どころ
9世代にわたって人気を保っているThinkPad X1 Carbon。
14インチクラス、軽量、薄型、頑丈という基本コンセプトはそのままに、毎年のように何らかの変更を加え、使い勝手を上げ続けています。
すでにいじるところはないのでは?と思ってしまいますが、モデルチェンジのたびに「あ、この新機能は使いやすい!」と驚くことばかり。
Gen 9でまず気づくのは16:10の新しいディスプレイ。
従来の16:9よりもわずかに上下が広がりました。エクセルでいうと1~2セルほど多く見えるだけなのですが、これが意外に大きな違い。妙に広々と感じられます。
Gen 9をしばらくさわったあとに旧モデルに移ると、「あれ?画面がこんなに細長かったっけ?」と違和感すら感じます。
旧モデルまでは画面の下に3cmほどの空間がありましたが、Gen 9では上下がほぼ均等のベゼル幅となり、パネルのほとんどが画面となる、モダンなデザインになりました。
比率変更に伴い、Gen 8と比較し本体は1cmほど横幅が減り、縦幅が4mmほど増えました。Gen 8までを使ってきたのなら、少しコンパクトに感じられるはずです。
モデル | 横幅 | 縦幅 | 厚さ |
---|---|---|---|
Gen 9 | 314.5 | 221.6 | 14.9 |
8th Gen | 323 | 217 | 14.95 |
(単位はmm)
CPUは第11世代に変更。第10世代よりも省電力性能があがっていて、バッテリー持続時間はCore i5(通常ディスプレイ、FULL HD)でなんと最長26.0時間。
8th Genではi5-10210Uの最大値で19.8時間でしたので、大幅なアップです!充電せずに安心して使える時間がさらに伸びています。
(JEITA2.0にて計測した公称値)
打ちやすいキーボードはそのまま継続。8th Genでほとんどの不満点は解決されていましたので、むしろ大きくいじらない方が安心です。
Wi-Fiは最新のWi-Fi 6に対応、オプションのWWANは4G/5Gに対応。
リモートワーク、オンライン会議、ウェブセミナーなどなど、通信の安定性と大容量化は非常に重要になっています。
Wi-Fi 6、5G通信はその両方をかなえるための最新規格。いつでもどこでも常に最大速度で仕事をこなすため、いち早く対応してきました。
もはや不満点が少なすぎて、「使いやすいPCが欲しいなら、これを選んでおけばまず間違いない!」と言える一台に上り詰めていると感じます。
それでは、細かなテストや使い勝手を書いていきます。
ディスプレイ
ディスプレイは14インチ IPSディスプレイ、基本解像度は WUXGA (1920×1200ドット)となり、通常のFULL HDよりも上下に少し広がっています。
エクセルやブラウザの表示が上下に広がるため、今までよりも広さを感じる場面が多くなるでしょう。
他にも下記のようなディスプレイを選択可能です。
ディスプレイ |
---|
14.0型 WUXGA 液晶 (1920×1200) マルチタッチパネル (10点) |
14.0型 WUXGA 液晶 (1920×1200) Privacy Guard |
14.0型 WQUXGA 液晶 (3840×2400 IPS 500nit) |
閉じた状態は、いつも通りのThinkPadブラック。マットな質感で、すべりくく、持ちやすい。
ディスプレイは180度開くことができます。複数人でのぞき込むような使い方でも、とても見やすい。
薄さ、軽さ
薄さはわずか14.9mm、軽さは1.13kgと、強靱なボディを備えているとは思えないほど薄く、軽い。
片手で持ち上げるのもラクラク!フチに近い部分を持ってもミシリとも言いません。強度は非常に高い。
キーボード
ThinkPadの注目点はキーボード。長年ビジネスで鍛えられた非常に打ちやすいキーボードです。
キーの配列は自然で、大きさも十分。タイピング時の反発力も適度で、たくさんの文字を打つ作業でもなんなくこなせます。タタタッとすばやく打ってもしっかりと追従します。
キーは下側が丸くなっている独特な形で、表面もわずかにへこんでいて指にフィット。すっと押し下がり、タンッとしっかりした反発があります。ノートパソコンでは最高の部類のタッチ感です。
キーはアイソレーションタイプ。フルサイズのキーピッチでさらに一つ一つのキーが間隔を持って並んでいるので、爪が長い女性でも上のキーに引っかかったりすることがありません。キーのスキマにゴミやホコリが入ることもありますが、間隔があるので簡単に掃除できるのも良い点でしょう。
またホコリや湿気の多い場所でも実働に耐え、さらには多少水をこぼしても平気という強靭さも備えます。
タッチパッド、トラックポイント
ThinkPadのトレードマークでもある、キーボードの真ん中にある赤いトラックポイント。人差し指でわずかに力を入れると、その方向にカーソルが動きます。
タッチパッドしか使ったことない人は「いまいち使いづらい」と言うことが多いのですが、ThinkPadを長年使っている人の中には「トラックポイントのためにThinkPadを買っている」という人もいます。
トラックポイントの最大の利点はキーボードのホームポジションから手を動かさなくてもマウス操作ができること。使ってみるわかりますが、腕の動きが他のパソコンに比べて半分以下になります。
書類を作るときの操作を考えてみてください。
文字を打つ → マウスを持つ → 文字を打つ → マウスを持つ・・・
という感じでけっこう手を動かしています。
これでは手を動かすたびに思考が途切れ、集中力が途切れがちになります。
そこでトラックポイントです。
キーボードのホームポジションに手をおいたままで操作できるので、腕を一切動かさずにすべての操作が行えます。キーボードを主に使う人にとって、トラックポイントは非常に使えるデバイスです。
トラックポイントは操作に多少の慣れが必要ですので、一般的なタッチパッドも搭載していますのでご安心を。
タッチパッドは1プレートタイプ。左下/右下を押し込むことで左/右クリックが可能です。タッチパッドも同色で、統一感があります。
指紋認証が電源スイッチに一体化
従来はタッチパッドの隣などにあった指紋認証部分ですが、Gen 9では電源スイッチに一体化!
見た目もスッキリし、電源を入れながら認証まで済むので、ログインもラクラク。
カメラにも安心を
内蔵カメラはノーマルのHD 720p カメラ、顔認証のできるIRカメラが選択できます。
HD 720p カメラは物理的なシャッターを備え、ハッキングによる盗撮を防ぐことができます。
ポート類
薄型ながら、実用に耐えるポート数が装備されています。
Type-C USB 4 (Thunderbolt4 対応)x2、USB 3.2 Gen1 (Powered USB) x 1、USB 3.2 Gen1 x 1 Type-A、HDMI x 1。
本体だけでも複数の機器の接続、HDMI外部ディスプレイへの出力ができます。最新規格のUSB 4に対応した機器なら、さらなる高速通信、映像出力が実現できます。
それ以上のポートを求める際は、別売りのThinkPad Thunderbolt 4 Workstation ドックを使えば、さらに大量のポートを追加可能です。
静粛性
今回のモデルはミドルクラスのCore i5を搭載しており、性能は中クラスとなりますが、その分バッテリー消耗や発熱が抑えられています。
軽量作業時は、耳を近づけないとファンの音が聞こえないほどです。
テストで高負荷をかけたときにファンの風切り音が出てきますが、最高潮でもファンの音は低音で、耳障りな高音はほとんどありません。
スペック
今回紹介しているモデル:ThinkPad X1 Carbon Gen 9 [20XWCTO1WW] (ThinkPad X1 Carbon Gen 9)
機能 | 詳細 |
---|---|
CPU | Intel Core i7-1165G7 |
CPUコア/スレッド数 | 4コア / 8スレッド |
ベース周波数 / ターボブースト周波数 | 2800 MHz / 4700 MHz |
メモリ | 16 GB |
メモリスロット (空きスロット) | 0/0 |
グラフィックス | Intel Iris Xe Graphics (CPU内蔵) |
ストレージ | 512GB NVMe SSD |
OS | Microsoft Windows 10 Home |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 14.0インチ |
解像度 | 1920 x 1200ピクセル |
ポート類 | Type-C USB 4 (Thunderbolt4 対応)x2、USB 3.2 Gen1 (Powered USB) x 1、USB 3.2 Gen1 x 1 Type-A、HDMI x 1 |
有線LAN | なし |
サイズ | 約 314.5×221.6×14.9mm |
重量 | 約 1.13kg |
ベンチマーク
3DMark
ゲームベンチマークとして、ほぼ業界標準となっている3DMarkにてテストをしました。
ベンチマーク | スコア |
---|---|
Night Raid | 17649 |
Wild Life | 12945 |
Wild Life Extreme | 3616 |
Fire Strike | 4853 |
Time Spy | 1759 |
Time Spy Extreme | 821 |
CPU内蔵グラフィックながら、意外に強力な能力を備えています。
CADや3D CGの軽いものならこなせるほどの実力です。息抜きに軽いゲームをプレイしても、遅さのストレスを感じないほどです。
CineBench R15
CPUとOpenGL能力を計測するCineBench R15で性能テストをしました。
テスト | スコア |
---|---|
OpenGL | 94.76 fps |
CPU | 927 cb |
事務処理はもちろん、軽いグラフィック作業でも能力を発揮してくれるスコアです。
CineBench R20
3DCGをCPUでレンダリングする速度を計測するCineBench R20で性能テストをしました。
テスト | スコア |
---|---|
CPU | 2196 pts |
事務処理はもちろん、軽いグラフィック作業でも能力を発揮してくれるスコアです。
WTS的まとめ
世代ごとに大きく性格が変わってしまうPCが多い中、ThinkPad X1 Carbonは基本コンセプトがブレず、ひたすら不満点をつぶしていく進化をしています。
今回もまた「分かる人には分かる」アップデートが多く、ブレがありません。ですが、一つ一つの変更に意味があり、実用性が確実にアップしています。
1kg前半の軽さで、14インチサイズという条件ならば、ThinkPad X1 Carbon Gen 9は筆頭候補に入れるべき1台です。
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