こんにちは、太田アベル(@LandscapeSketch)です。
PCケースは、自作PCでもっとも自己主張ができる部分。
いかついデザイン、透明ガラス、LED電飾、さまざまなボディカラー、水冷対応などなど、各社競い合うようにオリジナリティあふれるケースを登場させています。
しかし逆に、「余った部品を置いておくのももったいないから、もう一台作っておくか」みたいな、自作マニアにありがちな状況では、ケースの優先順位は最下位。とりあえず組み付けられればなんでもいいから、安くてシンプルな”箱”がほしい、となります。
とはいえ、激安ケースはクセが強いものが多く、「なんでもいいから」と適当に選ぶと痛い目に遭うことも。
- 塗装がすぐハゲる
- 固定ネジ(スタンドオフ)の位置がおかしい
- 鉄板が薄すぎてしっかり閉じない&押すと曲がる
- バリ処理が適当で手が切れる
- 配線がやたら短くて、マザーに取り付けるとピンッピンになる
などなど、これらは過去に筆者が出会ったアンタッチャブルなケースたちの実例です(笑)。いくら安くてもこれでは困るわけです。
そんなときにオススメしたいのが、今日紹介するPCケース「Thermaltake Versa H17」。
micro ATX搭載可能なミドルタワーのくせに実売3,000円という、価格からして”地雷確定”、”在庫処分的なヤバさ”を感じるケースですが、これがとんでもないダークホース!
原価いくらなんだよ!マジで神。
と思わずうなるほどのデキだった!
- 異様な安さわずか3,000円!(セール中ならこれ以下!)
- 価格からは考えられないほどしっかりとしたフレーム
- この安さなのにケースファン付属
- 組み付けやすい各種プレート類
- 水冷対応、電源カバー、裏配線まで至れり尽くせりの装備
デザイン
さて届きました!Versa H17。
Micro-ATXまで対応の、ほどよい大きさ。高さは約390mmとなっていて、ラックなどにも納めやすい。
いきなり話がズレますが、この大きさを見て疑問になるのは送料。
僕が買ったときはアマゾンで3,009円というアホみたいな安さだったわけですが、これで送料込みなんですよ。
このサイズだと普通、送料だけでも1,000円ぐらいかかりますよね?じゃあ本体はいくらなの?
・・・
まあ余分な疑問は置いておいて、中身をチェックしましょう。
ごくごくシンプルな見た目で、カラーはオーソドックスなブラック。大きさは205x390x380 mm(幅x高さx奥行)という、400mm以下の大きすぎないミドルタワー。
ThermaltakeはPCケース界隈では一流と言ってもよいメーカーなので、塗装はきれい。塗装が波打っているとか、最初からハゲているとか、塗り残しがあるとか、そういった低次元な問題はありません。
前面はフラットなパネル。両側に吸気スリットがあり、右下にThermaltakeのロゴが小さく付いています。シンプルでスッキリした見た目。
前面パネルはプラスチックながら細かなヘアライン加工がされ、無表情ではありません。値段からすれば望外の質感。
サイドパネルもフラットですが、内側にはしっかり曲げが入っていて、ペラペラしていません。取り付けもカチッと素直にはまる。
ただし両サイドパネルともパンチホール(通気用メッシュ)がまったくありません。サイドからの吸排気は一切不可能です。いわゆる「窒息ケース」とも呼ばれるタイプ。
クーリングは上面・下面・背面でまかなうことになるため、非常に熱くなるハイエンドCPUやGPUの搭載時は、エアの流れに気をつけたい。個人的にはミドルクラスまでの装備で押さえるのがベストだと思います。(Core i5 / Ryzen 5 + GeForce **60 ぐらいまで)
上面には吸/排気穴あり。なんとマグネット式のメッシュ付き!
背面もブラック塗装。PCIeスロットは4本です。
下面にもしっかり塗装が!(そろそろしつこい?)鉄板むき出しではありません。
電源ボックス部分にはこれまたご丁寧にメッシュ付き!取り外して掃除可能。
ついでに4つの足は個別のスタンドで、さらにゴムのインシュレーター付き!
なんだこの品質・・・
内部をチェック
内部を細かくチェックします。こちらも信じられない充実度!
まず、背面ケースファン付き!
背面ケースファン付きです!!
おいおい、いくら自社ブランドのファンだってタダじゃあない。いったいいくらなんだよこれ。
Thermaltakeのファンと言ったら単品でも販売されている商品。もちろん付属品はローエンドのファンでしょうけど、たった3,000円のケースに付属させるか?
無くてもだれも文句は言わないであろう価格帯ですが、この執念。
下部には電源ボックスを包み隠すメタルカバーまで!
電源ボックスのブランドが見えるようにホールもしっかり開けられています。鉄板は厚みもあり、曲げ加工もあり、がっちりとしています。叩くとコンコンと堅めの音がします。
さらに、カバー上には2.5インチドライブを2基載せられるネジ穴とケーブルホールまで!
カバー内には電源ボックスのほかに3.5インチドライブも搭載できます。大きくて目立つドライブや配線を、カバー内に格納できるので見た目もスッキリし、空気の流れも多少良くなるでしょう。
ただここに3.5インチHDDを搭載するときは、L字コネクタのSATAケーブルと電源ケーブルがあったほうがいいですね。ストレートタイプではサイドパネルとの間でかなりギリギリできつく曲げることになり、コネクタに悪影響が出そうです。
裏配線にだって対応しちゃう!(言葉遣いがおかしくなってきた)
マザーボードプレートには適切な位置にホールが開けられ、キレイに裏配線へ回せます。穴の位置は自然で組みやすい。
ベースプレートのCPU裏側は大きくカットされ、CPUファンを取り替えるときも部品の取り外しは最小限で済みます。
ちょっと見づらいですが、前面にもさまざまな場所にネジ穴があり、最大280mmサイズの水冷ラジエータが搭載可能。下部には吸気ファンも取り付け可能ですね。
電源スイッチは上面。
USBポート、ヘッドホン端子もあり便利です。ついでに最近は省略されがちなリセットボタンも装備。3000円なのに・・・
ざっと組んでみる
Core i5、Mini-ITXマザー、GeForce RTX 2060、ATX電源で軽く組んでみようと思います。
内部は広く、また左右と前面パネルが取り外せるので、全体的にラクに手が入りました。ネジ位置もゆがみやズレはなく、最初から最後まで違和感なく組み付けできます。
Mini-ITXを使うと、かなりガランとした空間になります。拡張し放題ですね!
Micro-ATXで複数グラフィックボードを搭載するときも問題は出ないでしょう。拡張ボードは最大350mmのロングボードも対応。どんどん大型化していく最新のGeForce RTX 3000シリーズでも、ほぼ全て入ります。安心。
配線類は余裕があり、「うわー届かない!どうしよう」という場面はまったくありませんでした。
総じて自然。むしろ自然すぎて怖いぐらいの完成度。3000円なのに・・・
静か!
起動させてみると、サイドホールがないためか非常に静か!
付属のケースファンは安いものでしょうが、特に音が大きいことはありません。回転速度があがってきても、耳障りなほどの騒音は発生しませんでした。
Core i5ぐらいまでなら温度も騒音も落ち着いています。
で、原価いくらなんですか?
最初から最後まで違和感なく使える、非常に良いケースです。
付属品にも足りないものはなく、何度かの組み直しでも塗装がパラパラとハゲることもなく、全体的に強度感もあり安心です。
なぜこれを在庫処分でもないのに3,000円で売れるのか、本当に不思議。
素材の鉄板を切って曲げて塗装して、組み上げて、スイッチと配線を付け、ついでにファンまで付けて(笑)、袋とダンボールに入れるわけです。
素材としての鉄板だけでも500円を超えません!?
さらに作っているのは中国。つまり海外で作り、日本に輸入し、各店舗に運び、各店舗でも利益を出した上で、手元に来るのが3,000円なわけですよ。
しかもサイズが大きいから送料もバカにならないはず。原価500円を切るんじゃないか?とすら思える。
日本で3,000円でやれと言われても、そうとうきびしい戦いになるはず。いや無理だろ。
本当に赤字じゃないんでしょうか?教えて中の人。
ところでこのVersaにはバリエーションあり、LEDパーツで”光を魅せるPC”を目指す人むけに、サイドパネルが透明アクリルになっている兄弟ケース「Versa H18」があります。
左パネルにアクリル板が装備され、前面デザインもメッシュ状のちょっと手の込んだデザインになっています。
こちらはさすがに少し高い。
なんと91円アップの3,100円 っておかしいだろ!!!
原価どうなってるんだよThermaltake!!!
WTS的まとめ
価格から考えて「途中で絶対何か起こる」と待ち構えていたのに、何も起こらない。ネタにならない(笑)
目立つ点はないものの、それゆえに基本に忠実でベーシック。限られた価格の中でも一切手を抜いていない、お手本のようなPCケースです。(某J社に見せたいわ)
余った部品を活用したい自作マニアはもちろん、初めての自作にもおすすめできるほど、しっかりとした構造。
信じられない価格のケースです。
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