10GbEを備え非常に静かに動く!最新4ベイNAS TerraMaster F4-422レビュー

どうも、太田アベル(@LandscapeSketch)です。

大容量のデータ置き場として、また多人数で共有するファイルサーバとして、とても役立つNAS(ナス / Network Attached Storage)。

当サイトではSynology、QNAPのNASについて特集をしてきましたが、今回はさらに新たなメーカー TerraMaster(テラマスター)のNASを使ってみようと思います!

まだ新しいブランドではあるものの、コストパフォーマンスに優れ、また他メーカーにはない明るいデザインでファンが増えているようです。もちろん見た目だけではなく、最新の10Gbps LAN(10GbE)にも標準対応するなど、機能面もぬかりがありません。

4ベイNAS TerraMaster NAS F4-422 の実機を入手しましたので、さっそくレビューしていきましょう!

  • 明るいシルバーの筐体
  • 10Gbpsの最新超高速LANを標準装備
  • 使いやすいGUIのTOS
  • 非常に静かな動作音

デザイン

まずはデザインを見ていきます。

NASのボディカラーといえばブラックが大多数ですが、TerraMaster F4-422は明るいシルバーのメタル筐体が特徴。表面はさらっとした梨地加工がされ、やさしい雰囲気です。メタルボディなので放熱力が高そうです。

光が当たると白っぽく見える明るさ。

 

ブラックのNASは隠して設置できればいいのですが、机の上の置くとなるとどうしても暗い雰囲気になり、気にする人もいます。そんなとき、TerraMaster F4-422のシルバーカラーは、貴重な選択肢になるでしょう。

 

前面に4つのドライブベイを装備。カバー部分もシルバー塗装とメッキ加飾がされモダンな雰囲気。家庭内はもちろん、オシャレなオフィスにもマッチしそうです。

 

側面は排気口などはなくフラット。メーカー名が印刷されただけのシンプルなデザインです。ファン部分はフラットではなく、横から見るとファンの部分だけ出っ張ったような感じになっています。

 

背面はファンが2基、LANポートが3ポート(1GbE x2、10GbE x1)、USB 3.0 Type-A 2ポート、電源ポートを装備。

スペック

TerraMaster F4-422のスペックを記載いたします。

項目 スペック
OS TOS
CPU Intel Celeron J3455
CPUコア/スレッド数 4コア / 4スレッド
メモリ 4GB(最大8GB)
メモリスロット (空きスロット) 1(1)
ポート類 USB Type-A x2, HDMI x1
無線LAN(Wi-Fi) 802.11 ac 802.11 ax Wi-Fi6
有線LAN 10Base-T x2、10GBASE-T x1(RJ45)
サイズ 227 x 225x 136 mm
重量 本体のみ 2.35Kg
RAID RAID 0、RAID1、RAID 5、RAID 6、RAID 10、JBOD
内蔵ストレージの最大容量 64TB (16TB x4) (容量は使用するRAIDタイプにより異なります)
ドライブホットスワップ 対応
対応フォーマット EXT4, BTRFS
ノイズレベル 19.8dB(A)
電力消費量 46.6W (読み取り/書き込み時)
保証 2年

より詳しいスペックは公式サイトをご覧ください。

 

TerraMaster F4-422はコンシューマ用NASとしてはまだ珍しい10GB/s(10GbE)のLANを標準装備。他社製品では10GbEはオプション、もしくはまったく装備できない場合が多く、大容量データをNASで管理したいときには大きなアドバンテージとなります。

そもそも最近ではコンシューマー用のSSDですらリード 500MB/sを超えることも珍しくなく、さらにSSD 4基をRAID 6で動かした場合、シーケンシャルリードは2000MB/sを超えることもあります。

そんな中で10年前から変わらない1Gbps(およそ125MByte/s)のLANは、もはや時代にそぐわない速度であり、完全にボトルネックとなっています。ストレージをいくら早くしても転送は遅いままで、かなりもったいない状態です。

TerraMaster F4-422が装備する10Gbpsは理論最大転送 670MByte/sを実現するとされ、アクセス速度を求める環境では、非常に価値ある機能といえるでしょう。

※10GbEを使うためにはPC、ハブやルータが間にあればそれら全て、さらにケーブルが10GbEに対応している必要があります。1カ所でも対応できていなければ、最も遅い速度に制限されてしまいます。ご注意ください。
またそれを支える本体機能として、IntelのクアッドコアCPU、4GBという比較的大容量のメモリを搭載している点にも注目。ネットワークへの送り出しでもたつかない性能を備えています。

ドライブと接続機材

今回は10GbE環境ということで、HDDではなくSSDを使用します。

 

SSDはSamsungの860 EVO(500GB 最大読込速度550MB/s、最大書込速度520MB/s)を4基使用し、BTRFSにてフォーマットします。(BTRFSはTerraMasterおすすめのデフォルトフォーマット)

組み立ては非常にカンタン

組み立ては非常にカンタンです。まずドライブベイのロックを外し、トレイを引っ張り出します。

 

トレイに3.5インチもしくは2.5インチのドライブを設置。2.5インチは裏側に取り付け位置が書いてありますのでわかりやすい。ネジ留めしたら元通りに戻し、カチッとレバーをロック。必要台数分繰り返すだけです。

 

ドライブを入れたらあとはLANケーブルとACアダプタをつなぎ、電源を入れるだけ。

最初にピッという音がして、しばらくあとに少し長くピーッという音が鳴ったら、接続準備完了です。初めてでも迷うところはほぼないでしょう。

インストールと実用性

初回の接続には専用クライアントツール「TerraMaster TNAS」が必要になります。これはWindows用、Mac OS用の2種類が用意されています。TerraMasterのウェブサイトからダウンロードしてください。(※NASのIPを固定してあるなど、IPが分かっている場合は、直接ブラウザに入力すればアクセスできます)

 

TNASを起動すると、NASがネットワークに正しく接続されていればすぐに検索されます。もしも表示されないときはネットワークの設定(サブネットなど)や、LANケーブルそのものの接続を確認しましょう。

同じネットワークセグメントにあれば数秒で検索されるはずです。

 

 

初期化ウィザードが表示されますので、進めていきます。

 

ディスクの初期化、TOS(NAS用OS)のインストールが進みます。TOSはインストール時に最新版がダウンロードされるため、インターネットの接続を維持してください。

ところでなぜ背景画像がパグのような犬なのでしょうか?(笑) 万人受けを狙うとなると、もう少しクセがないものがいいような気がします。

 

ディスクの初期化、RAIDの設定などを行います。

 

セットアップが成功すると、ログイン画面になります。さっそくTOSにログインしてみましょう!

TOSは使いやすい

専用OS「TOS」はブラウザからアクセスでき、Windowsのデスクトップのような画面。各機能はウィンドウとして表示され、とても使いやすいGUIになっています。

最初は「はじめに」などのヘルプが表示され、初めてNASを扱う場合はこちらを読めばスムーズに設定できるでしょう。

TOSのデスクトップ画面

使用ユーザーの作成

最初に使用者ユーザーを作成します。自分一人で試すだけの場合は管理者ユーザー(adminなど)でもかまいませんが、実運用する際は絶対に使用しないようにしましょう。セキュリティ上、大変大きなリスクとなります。

また社員みんなで同じアカウントを共有するのではなく、個人ごとに一つずつアカウントを作成するのが最も安全です。(誰がファイルを編集したか?などの記録を取ることもできる)

  1. コントロールパネル
  2. ユーザー
  3. 作成

と押していき、ユーザーを作成します。多人数の社内で設定するときはグループを作成してから作っていくと、グループごとに一括して権限を変更できるため、のちの変更が非常に楽になります。

ActiveDirectoryドメイン、LDAPによる統合認証にも対応しています。Windows Serverツリーへの参加ができるので、大規模ネットワークへの設定もカンタンです。

共有フォルダの作成

つぎに共有フォルダを作ってみましょう。

  1. コントロールパネル
  2. 共有フォルダ
  3. 上のメニューから「作成」を押す

この手順で共有フォルダが作成できます。権限や暗号化など、非常に細かな設定が可能。もちろん日本語でもOKです。

今回は「画像」という共有フォルダを作りました。

 

これだけでもう複数人から同時に見え、変更できるフォルダができあがってしまいました!Windowsに比べ権限の管理がわかりやすく、非常にカンタンです。

Windowsから開いてみましょう。

共有フォルダを開く

共有フォルダを作るとTOS上では「file://xxx.xxx.xxx.xxxへ接続してください」とヒントが出ますが、実はこの時点では指示された方法では接続できません。(※ xxx.xxx.xxx.xxxは192.168.0.10のような実際のNASのIPアドレス)

Windowsから接続する場合、「SMB」ファイルシステムを起動しなければなりません。(file://の形式は、内部的に SMBの「\\xxx.xxx.xxx.xxx」の形式でリダイレクト <変換> して接続しようとしてしまうため、アクセスできない)

僕も説明通りにfile://xxx.xxx.xxx.xxxに接続しようとしましたが、何度やっても接続できず、SMBの起動に気づくまで少し詰まりました。

 

安全のために初期状態ではSMBを止めているのか?と思うと、なぜかMacで使うAFPやFTPはデフォルトで起動していたりします。SMBはWindowsでは標準で利用するプロトコルですので、デフォルトで起動していてほしいところ。(またFTPはポートアタックを受けやすいので、むしろ止めておいてほしいところ)

SMBの起動はTOSの画面に入り、

  1. コントロールパネル
  2. ネットワーク
  3. ファイルサービス
  4. SMB/CIFSファイルサービス

とたどります。

その中の「SMB/CIFSファイルサービスを有効にする】にチェックマークを入れ、「適用」を押せば完了。これでWindowsから開けるはずです。ワークグループ名が必要な場合は適宜変更してください。

 

一度SMBを設定すれば、NASを再起動しても停止することはありません。

共有フォルダと権限

ここまで来れば、普通のネットワークフォルダとしてアクセスすることができます。

「\\xxx.xxx.xxx.xxx」としてエクスプローラーに入力すれば、TerraMasterのNASで共有されているフォルダが一覧されます。ファイルの移動、コピーは自在に行えます。

 

共有フォルダはそれぞれで権限や暗号化を設定でき、アカウントともにしっかり設定すれば、重要でセンシティブなデータ(個人情報など)も安全に保存できるでしょう。

快適なアクセス速度

次にアクセス速度を確認しましょう。

10GbEがどれほどの速度が出せるのか、非常に楽しみです!

※今回はPC環境が10GbEに整っておらず、2.5GbEでの接続になります。あらかじめご了承ください。ベンチマークはF4-422が発揮できる最大速度の1/4となります。

 

下がF4-422の共有フォルダをネットワークドライブ設定し、ベンチマークをかけたスコアです。

10GbEポートでの接続はシーケンシャルアクセスがリード/ライトともしっかりとアップしています!2.5GbEでの接続となりますが、数値通りにおよそ2.5倍にアップしています。10GbEフルスピードの環境を整えればさらに高いスコアも期待できます。

ただ、細かなファイルへのアクセス速度はどちらも大差ありません。細かなファイルは転送速度よりもディスクのランダムアクセス性能に比例するため、妥当な数値です。この数値で十分キビキビと動き、快適そのものです。

 

この事から、10GbEは動画ファイルや巨大な写真データなど、大容量の単一ファイルのアクセスに高い効果を発揮します。動画編集、プロフォトグラファーなど、メディアクリエイターには必須ともいえる性能ではないでしょうか。

アプリケーションが豊富

単なるファイルサーバではなく、アプリストアから、ワンタッチでさまざまな専用アプリケーションを入れ機能を拡張することが可能です。

 

非常に数が多いので一部を紹介しますと、

  • Amazon S3へのアクセス
  • Apache Tomcatサーバ
  • BackBlazeへのバックアップ
  • Docker
  • iTunesサーバ
  • Google Drive、OneDriveなど各種クラウドストレージアクセス
  • WordPressなどWebアプリケーション

こんなアプリケーションが揃っています。多機能なメディアサーバとして使うことも可能。

4GBメモリと4コアのCeleron J3455を搭載しているため、少人数イントラネット内のウェブサーバとしては、十分な性能になるはずです。

すばらしい静粛性

さてしばらく使ってみたところ、ファンが驚くほど静かです。

生活音があるなかでは、耳をはりつけるほど近づけてようやっと風の音が聞こえる程度。また、温度が低いときにはファンが止まっていて、さらに静か、というか無音です。

テスト時は気温20℃ほどでしたが、多少アクセスしたぐらいではほとんど止まっています。音がないSSDを使っているため、LEDが点いていなければもはや動いているかわからないほどの静けさです。家庭内で24時間動かすときは非常にうれしいポイントです。

SSDは温度が低いので、相乗効果もあるでしょう。HDDの場合、HDD自体の駆動音があり温度もSSDより少し高めです。騒音はもう少し感じるようになるはずです。

翻訳があと一歩

TOSは非常に使いやすくまとまっていますが、ところどころの単語が日本語としては違和感を感じる部分があります。

例えばフォーマット時に「畫面を再読込」というなじみのない言葉があったり、暗号化が「暗號化」になっていたり、「有効された」と直訳的な文章があったりと、あと一歩丁寧さがほしいところ。

またできれば各所のフォントを、日本語のウェブ標準フォント(ヒラギノなど)にしてほしいと感じます。長い説明はガタガタしていて読みにくい部分があります。

なじみのない漢字が・・・

 

とはいえ、文字化けしていたり、何を言っているかさっぱり分からないというほど、ひどい部分はありません。普通に使う分には大きな問題にはならないでしょう。ただ、直してもらえればさらにクオリティが高く感じるはずです。

表示部分の細かな点を除けば、全体的にわかりやすくまとまっており、使いやすいと感じます。

WTS的まとめ

SynologyやQNAPに比べコストパフォーマンスに優れ、それでいながら4コアCPU、4GBメモリ、さらには最新の10GbEを搭載しているなど、非常に戦略的なパッケージになっています。

細かな点を言えば、いくつかアラを上げることはできますが、致命的な問題は見当たりません。操作もわかりやすく、初めてでも扱いやすいNASだと感じました。

家庭内で使用するにあたって、驚くほど静かな点もうれしいポイントです。

初めてTerraMasterのNASを使いましたが、オススメできるNASの一つになりました。

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