各社から発売しているトラックボールを多数購入し、比較レビューする企画「トラックボール大比較」です!
トラックボールとは、指でボールを回すことでマウスカーソルを移動させる装置です。マウスのように腕や手首を動かさないので、手首の痛みに悩まされる人などが選択しています。
ただ、メーカーごとに形や大きさがまったく違い、一体どれが自分に合っているのか、判断するのは容易ではありません。
当サイトではあらゆるメーカーのトラックボールを買い集め、一人の人間が平行して使用することで、あなたにピッタリのトラックボールを見つけ出すための手助けとなるレビューを目指しています。
さて今回購入したのは、サンワサプライ社から販売されている「CLINE 静音エルゴトラックボール (400-MAWBTTB190BK)」。
当機種はあらゆる部分で「静音」を重視し、ボタンのスイッチ、ホイールの回転音、トラックボールの回転音に至るまで、ほとんどの部位で音が極限まで抑えられているのが特長。
加えて、54°というかなりの傾斜を付けられたボディは、手首をほとんどひねらず持つことができ、手首や肩への負担を和らげます。
Bluetooth、2.4GHz USBアダプタでの接続に対応し、パソコンからスマホやタブレットまで、幅広い無線接続を実現しています。
さっそくレビューをしていきましょう。
筆者の手のサイズ詳細
参考までに、筆者の手の形と大きさを提示します。
性別:男性。指は細め。手首(付け根の1本目の線)から中指の先まで18.2cm。手のひらの厚みは中指の骨の部分で約3cm。
指の長さ(爪の先から手のひらの付け根部分まで)は、親指・・・約6.2cm、人差し指・・・約7.8cm、中指・・・約8.5cm、薬指・・・7.8cm、小指・・・6.7cm。
トラックボール 操作タイプ
トラックボールには大きく分類して3つの操作タイプがあります。
- 親指ボールタイプ・・・このタイプはクリックボタンがマウスと同じような形になるため、マウスからの乗り換えがスムーズです。ただ、親指でのボール操作は微細な操作がやりにくい場合があります。
- 人差し指ボールタイプ・・・このタイプはボールがやや大きなものが多く、親指よりも微細な操作がしやすいのが特長です。ただ、クリックボタンやホイールが親指操作になるので、マウスから乗り換えは慣れるまで少し時間がかかります。
- 特殊タイプ・・・上記2つに分類しにくいものをまとめています。かなり大きなボールを複数の指で使ったり、ひねり回転を使ったりと、斬新な操作になります。マウスからの乗り換えにはかなり慣れが必要ですが、慣れると手放せなくなる操作感です。
CLINE 静音エルゴトラックボール (400-MAWBTTB190BK)は「親指タイプ」になります。
形のチェック
形状をチェックしていきましょう。
右側になだらかに傾斜したトラックボールはいくつかありますが、CLINEは54°の大きな傾きを付けられており、むしろ「縦型」と言ってもさしつかえない形状。
こちらは正面から。「手を乗せる」というよりは、「左右から挟む」ような形状です。平べったい形が標準的なトラックボールの中では、異色のデザインです。
見づらいですが、正面下側にUSB Type-Cの充電ポートがあります。
右側から。
ボタン類はほとんど”側面”に付いているような感じ。なんだ空間がかねじれたような、異次元的な物体に見えますね。
後ろから。
全体に丸みを帯び、手の形に合わせるように複雑な曲面で構成されています。手首を無理にひねらずにテーブルに自然に置くような状態で、そのまま持つことができます。
左側から。
ボールはくぼみに乗っているような形で、ここもかなり複雑な曲面です。
こんな形では、手の大きさや形をかなり選ぶのではと疑問になりますが、使ってみると驚き!手のひらにピタッとくるような絶妙な曲線で、非常に持ちやすい。親指はちょうどボールの位置になります。
「手ではさむ」ような感じですが、各部の曲線が手のひらをうまく支えており、手がずるずると下がることはありません。力をあまり入れなくてもこの形を保持できます。
平たいマウスで手首をグイグイとひねりながら使っていた人は、手首の自然な形にむずがゆささえ覚えるかもしれません。
ボタンも押しにくいことはなく、操作に不便はありません。
先日レビューしたLogicool M575Sとの比較。CLINEの高さのある形が際立っています。
手の小さな人は大丈夫か?
手の小さな人が使いやすいかどうかを確認します。
10歳の娘に持ってみてもらいました。この小ささでも、ボタンは軽く押すことができ、ボールの回転に問題はなさそうでした。ただ、進む/戻るボタンは、奥側(戻る)が指が届きにくいようでした。
ボール回転のチェック
最も重要なボールの回転をチェックします。
ボールは人工ルビー支持タイプですが、かなりなめらかな部類です。回転のスムーズさはABC段階で「A」です。
他の機種ではわずかに出るボールが擦れるような音が、ほぼ聞こえません。無音に近く、つるつると回るイメージです。なんだか丸い氷をすべらせているような錯覚が起きます。
ボールの回転音はここまで抑えられるのか!と驚きました。他の製品と何が違うのか、教えてほしいものです。
ボールを回転させるときの「コーッ」「シュッ」といったわずかな音も気になるような方は、CLINEはかなりオススメできそうです。
ボールを強めにはじくと2~3回転し、ウルトラワイド画面でも端から端までカーソルを飛ばすことができました。
ボールのチェック
ボールはおよそ34mm。標準的な大きさです。
ボールは下の穴から押せば簡単に取り外せ、ボールや支持部を掃除できます。
ボタンの驚異的な静音性
ボタンは左右クリック、ホイール、進む/戻るボタンがあります。
気づくのは宣伝文句である「静音性」。ボタンすら静かなのです。
クリックは、小さく響かない「コッ」という音が聞こえる程度。進む/戻るボタンも同様です。
ホイールも静か。ゴリゴリ、カリカリといった音は聞こえず、上下にスッスッと回ります。感触としてはカタカタとした節度感があります。
ホイールクリックもクリック音同様、静かです。「コツッ」という音で、わずかにクリック音よりは大きい。
ただ一つ気になる点は、手の重心が中指付近にかかるため、指を動かした際にたまに右クリックが起こってしまうことです。ボタンの下端を少し引っ込めるなど、形状が変更できれば使いやすくなるかなと思いました。
進む/戻るボタンにひと工夫あり
また進む/戻るボタンに工夫があり、なんと前側が「戻る」、後ろ側が「進む」となっています。通常の逆ですね。
「なんで逆にしたんだ?」と疑問になりますが、使ってみると前側の方が指が届きやすいことに気づきます。前側は少し左にずらせばクリックできますが、後ろ側は指をグッと曲げないと届きません。
多用する「戻る」に、より使いやすい位置を割り当てたのです。ホスピタリティあふれる設計ですね!
専用アプリケーション
ボタンは専用ソフト「サンワサプライ マウスユーティリティ 」にてさまざまな機能を割り当てることが可能です。
接続方式は2.4GHzとBluetooth
当モデルは2.4GHzとBluetoothの両対応モデル。裏面の電源スイッチは、左でBluetooth、中央がOFF、右が2.4GHzとなります。
2.4GHzはUSBアダプタを使います。アダプタは底面に入っています。有線タイプと同じ条件となるため、UEFI(BIOS)設定時も利用できます。
USBアダプタは非常に小型です。ノートPCに挿しっぱなしでもそれほどジャマになりません。ただ、無くさないように注意したいですね。(無くすと単体購入ができません)
Bluetoothはスマホやタブレットでも利用でき、2.4GHzはBluetooth非搭載のデスクトップPCで利用できます。オールマイティに使えますね!
前面には充電用のUSBポートがあります。こちらは充電専用で、有線マウスとして使えるわけではありませんのでご注意ください。あくまで無線トラックボールです。
無線の反応について
2.4Ghzレシーバは停止状態からボールを動かして、すぐに反応します。10分放置しておいたあとは1~2秒ほどのスリープラグ(スリープ状態から反応するまでの空白時間)があります。
Bluetoothでも同じような使用感で、10分放置後は1~2秒ほどのスリープラグが感じられました。BluetoothのバージョンやPCの状態にも影響されるため、環境によってはもう少しラグが出る可能性があります。
どちらも使用中に気になるような途切れは感じません。
キーボードから移動するとときどき手が当たる
唯一のデメリットと感じたのは、その「高さ」。
上に長いため、キーボードからサッと手を動かすとぶつかるのです。高さに慣れるまで1日に1回はぶつかり、気になりました。特にマウスから移行すると、しばらくはぶつかると思います。(笑)
1回の充電で300日利用可能
バッテリーは充電式。
非常に省電力で、1回の充電で300日も利用可能とのこと。(公称値、1日8時間で5%トラックボールを操作した場合)
もしバッテリーが切れても、充電しながら使えるので安心です。
WTS的まとめ
製品全体で「静音」に気を使っており、わずかな音が気になる人にもオススメできるモデルだな、と感じます。
静音だけではなく、ボールのスムーズネス、ボタンの押しやすさ、本体の持ちやすさも、トラックボールとして完成度が高いです。
ボールのスムーズネスは、他のモデルが疑問になるほどツルツル。なぜこんなにも抵抗感がないのか、工夫を知りたいところです。表面にワックスを塗ってあるとか、そういう小手先の工夫ではなさそうです。
静音、なめらかな使い心地といった部分を重視するなら、試してみる価値はあります。
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