こんにちは、太田アベル(@LandscapeSketch)です。
非常に高速で、作業がはかどるNVMe(PCIe)接続のM.2 SSD。
NVMeはGen 3でも十分な転送力だったのですが、最近はSSDの高速化が顕著で、ついにSSDの転送速度がNVMeの転送速度(約4000MBytes/s)に勝り、頭打ちとなりました。
そこで登場したのがPCIe Gen 4。PCIe Gen 4は1レーンの最大転送力が2000MB/s(16000Mbits/s)と、Gen 3の1000MB/s(8000Mbits/s)の2倍となる最新の規格です。
NVMe対応M.2 SSDは4レーンを束ねて使うため、Gen 3なら4000MB/sですが、Gen 4なら8000MB/sが実現できます。(※最大転送力は規格最大値)
僕のメインマシンはRyzen 7 3700XとAMD B550チップセットを使っており、最新のPCIe Gen 4 を使うことができます。
いままではNVMe Gen 4の初期に発売された「Sabrent Rocket 4 (500GB)」を使ってきました。
Sabrent Rocketは、最大でシーケンシャル読出5000MB/s、シーケンシャル書込4400MB/sという速度をたたき出し、非常に快適でした。
そして今回、Samsungから発売された「Samsung 980 Pro(500GB) MZ-V8P500B/IT」はなんと、
- 最大シーケンシャル読出6900MB/s
- シーケンシャル書込5000MB/s
ランダム読書(4KB, QD32)に至っては、
- 読込800,000 IOPS
- 書込1,000,000 IOPS
という、タイプミスではないかと疑うほどの強烈な速度をアピール!(1TBモデル、2TBモデルはさらに速い!)
こ、こいつは試してみたい!
ということで、衝動に負けて買ってまいりました!
さっそくレビューしてみますよ!
- 公称値通りのすさまじいスピード
- 発熱はそれなり。ヒートシンクは必須
- 性能的に妥当な金額
本体チェック
本体をチェックしていきます。
箱はいつも通りのSamsungデザイン。黒の引き締まったデザインがかっこいい。
ちなみに箱には「Read Speed 7,000MB/s」と堂々と書かれていますが、これは嘘です。(笑)
500GBモデルはMax 6900MB/sです。(1TB、2TBモデルがMax 7000MB/sになります)
公式サイトには正しく掲載されていますが、箱は修正されていませんね。まあこれほどの速度で、100MB/sの違いなんか体感できるとは思えませんが。自動車でいえば時速100km/hと101km/hの違いを体感できるか、というレベルです。
まあ間違いは間違いということで。
本体はヒートシンクなしで、金属ラベルのみ。今回はマザーボード側にヒートシンクがあるので、好都合。
ただ、後半の温度計測にも書きますがヒートシンクなしでよい、というわけではありません。ヒートシンク搭載のマザーボードが増え、またこのクラスのSSDを搭載するのはエンスージアストたち(”わかっている”人たち)だけなので付けていないだけであり、動作温度的にはヒートシンク必須と考えた方が良いでしょう。
ベンチマーク
おもむろに取り付け、さっそくベンチマークです!
検証システムはCPU Ryzen 7 3700X / マザーボード AORUS B550i / DDR4-3600 64GBメモリという構成です。Windows 10 (20H2)のクリーンインストール状態。
うおぉぉぉぉ!すげぇぇぇぇぇ!
4ケタの数字が踊りまくる、公称値通りのものすごい数値が出ています!シーケンシャル読込 6863MB/s、書込 4914MB/sです。
さらにランダムアクセス(4K Q32T16)は、読込3252MB/s、書込2431MB/sと、NVMe Gen 3のシーケンシャルアクセスに近いほど。
連続データもランダムアクセスも非常に強いことが分かります。
M.2 NVMe 3.0のけっこう速いやつをRAID 0で組んだほどに速い!いやむしろそれ以上か!?しかもそれをたった1枚で実現するとは!
1GiBと4GiBでのテストを比較しても、ほとんど速度は変わりません。大量のデータ転送にも耐性が強いと思って良いでしょう。
Windowsの起動も爆速です。起動画面のくるくる回るアイコンが、5回転するまえぐらいに起動してきます。あらゆるソフトがパカパカサクサクと表示されます。Adobe Photoshopの起動も苦にならない!快適すぎる。
モンスターハンター、CyberPunk 2077、GTA V、フォートナイトといった読み込みの多いゲームも、かなりの時間短縮になります。ゲームの快適度も一気に上がります。
温度を計測
動作時の温度をチェックしてみました。
AORUS B550IはM.2 SSD専用の厚いヒートシンクを装備しており、さらにヒートパイプで後方のヒートシンクへつながっています。当然単なる板状のヒートシンクよりも放熱力も高いです。そのような条件での計測結果となりますので、ご了承ください。
温度はHWiNFOにてログ出力したものです。
Samsung 980 Proはドライブの温度が2カ所で測られています。(詳細な位置はわかりませんが、たぶんコントローラー周りと、記憶素子周りの2カ所ではないかと推測します)
そのため2つのグラフに分かれていますが、同時に計測された数値となります。
温度1(青 たぶん記憶素子側)は常識的な範囲に収まっています。アイドル時からベンチマーク時までほとんど変化せず、60℃台に落ち着きます。
しかし温度2(オレンジ たぶんコントローラー側)は、かなり温度が高いです。アイドル時は67~70℃、ベンチマークを始めたとたんにハネ上がり、ピーク時は84℃に達しました。
これだけのヒートシンクがあってこの温度なので、ヒートシンクなしで使った場合は90℃またはそれ以上に達する可能性も、十分にあり得ます。夏場はさらにきびしい状態になるでしょう。
サーマルスロットリングを起こさないためにも、機材の寿命を縮めないためにも、ヒートシンクは”必須”だと考えるべきです。
価格は安くはないが高すぎない
価格は僕が買った当時(2021年4月)15,980円(税込 Amazon)でした。
登場当時は品薄で24,000円近い価格が付いており、さすがに割高感を感じましたが、現在は「ハイエンドクラスとしては妥当」だと感じる価格に落ち着いています。
Gen 3のSSDから置き換えれば、一気に倍近くの性能を手にできます。検討に値する価格ではないでしょうか。(ただしマザーがGen 4に対応している必要があるので、必ずご確認を)
WTS的まとめ
とにかく爆速で気持ちがいい!
NVMe 4.0 Gen 4の限界に迫る速度です。これ以上の速度を求めるならNVMeの次のバージョン待ちとなるでしょう。
ゲームの読み込みが遅すぎる!PhotoShopやAutoCADのソフトをサクサク動かしたい!と思ったら、このSSDは現状最高の選択の一つとなるはずです。
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