最近、ゲーミングマシンやワークステーションなど、比較的高価なPCで採用例が多くなってきている「2.5Gbps LAN」(IEEE 802.3bz)。
現在販売されているほとんどのPCは1GbpsのLANを装備しています。この規格は一般採用され始めてからすでに20年近くが経過していて、4K動画や超高速MMO(マルチプレイヤーゲーム)など、最近の大量のデータ通信が必要な場面では、すでに役不足となっています。
まあひとことでいえば遅くて困るわけです。
一時期は一足飛びに10GbpsのLANが出てきましたが、ケーブルから本体まですべてが特殊で、非常に高価。サーバーや大企業など一部には採用されましたが、個人で使う人はめったにいませんでした。
・今までの機材をそれほど変えず、低コストでもう少し速度アップをしたい!
という要望に応えたのが「2.5Gpbs」規格 IEEE 802.3bzです。
カテゴリ6a以上のケーブル(一般家庭用のLANケーブル)、1Gbpsと同じRJ45コネクタが使え、コストをそれほどかけずに理論上2.5倍の速度が出せる、”ちょうどいい” LANなのです!
しかし、拡張カード側はいろいろ揃ってきましたが、LANハブはほとんど出ていませんでした。あるにはありますが、5ポートで2万円、8ポートで5万円と、たかだかハブにかけるには苦しい価格。個人ではなかなか2.5Gpbsネットワークを構築することはができない状況でした。
前置きがめちゃめちゃ長くなりましたが、ようやっと、個人でも(それほど)無理なく購入できる2.5Gbps 5ポートLANハブが発売されました!その価格は5ポートで9,500円!(2021/10/18現在のアマゾンの価格)
安くはないが、これなら僕にも買えるぞ!!
さっそく買ってみたので「Planex FX2G-05EM」をレビュー!
シンプルなメタル筐体
Planexといえば無線LAN(Wi-Fi)や、各種通信機器で有名な会社。お手ごろな価格で最新機器を出してくれるので、ありがたい会社です。
冒頭にも書きましたが、2.5Gbps LANはようやっと標準搭載のマシンがちらほら出てきたぐらいの、日が浅い規格。まだまだ価格がこなれていません。ハブは2~5万円が相場でした。
その中で9,900円という1万円切りの価格で出してくれたのは、うれしい!
さて商品はシンプルなダンボールパッケージで到着。
セット内容は本体、ACアダプタ、簡易マニュアル、ゴム足。
本体はフルメタル筐体。塗装はブラックで、ざらっとした表面。事務機器に徹していて好み。
高速通信機器で筐体がプラスチックですと、熱がこもるので心配になります。メタル筐体は放熱力も高いので、安心感があります。
前面には各種インジケータ、5ポートのLANポート、電源ポート。
ちなみに僕は常にインジケータを気にするので、できれば電源ポートを裏にしてほしいところ。配線がゴチャゴチャします。
ついに2.5Gbpsの表記が!
1000MB/100MB/10MBという表記になれているので、2.5Gの表記は新鮮。そしてうれしい。
2.5Gbps接続時は緑に光るようです。
両サイドにはしっかりと通気穴が開けられています。
裏面には型番印字のみ。
大きさはごく普通の5ポートハブ。まあ5ポートとしては少し大きい方でしょうか。
ベンチマーク!
さっそくベンチマークを取ってみます。
PCは2.5Gbpsを搭載した、Ryzen 7 3700X / 64GBメモリ / Samsung 980 Proの高速なマシンを用意。
相手は2.5Gbps LAN搭載のNAS「ASUSTOR Lockerstor 4」に接続します。2.5Gbpsをフル活用できる、4コアCPU搭載の超高速NASです。M.2 SSDキャッシュ(256GB x2、RAID 1)、ディスクはWD RED 3TBを4本搭載し、RAID 6を構築しています。
ASUSTOR Lockerstor 4についてのレビューはこちら。
iSCSI LUNを20GB割り当て、Crystal Disk Markにてベンチマークを取ってみました。
結果は非常に高速!
1Gbpsでは100MB/sがMAXとなりますが、2.5Gbpsならシーケンシャルアクセスが290MB/sと、内蔵HDD並みの超高速アクセスが可能になりました!
iSCSIを使わない通常のSMB共有でも、ファイルコピーが200MB/s程度出ることもあり、とても快適!巨大な動画や3DCG素材なども、ストレスなく出し入れできます。
2.5Gbpsは、家庭用としては十分な恩恵を感じることができる、と言えるでしょう。
直結とPlanex FX2G-05EMを介しての結果も確認してみました。シーケンシャルアクセスはほぼ変化はありません。Planex FX2G-05EMを中継しても、ほぼ速度が落ちるということはまったくないと言っていいでしょう。
ただ、4Kランダムアクセス(4KiB Q32T16)はリード 27%、ライトは58%低下となりました。大量の細かな命令が通ると、もしかしたらCPUでパケット詰まりを起こしているかもしれません。
とはいえ、1GbpsのLANと比べれば大幅な速度アップが期待できます。
発熱は?
3ポートを2.5Gbpsで接続し、しばらく最大通信を行ってみました。
正確な温度は計測できないものの、さわると「けっこう熱いな」と感じる温度でした。ただ、さわれないほどではありません。体感として40~45℃ぐらいではないかと感じます。
1Gbpsのハブは「あたたかい」(36~40℃)ほどなので、それに比べると明らかに温度は高いです。ですが、熱暴走を心配するほど熱くはありません。しっかりと放熱できていると感じます。
WTS的まとめ
1万円を下回る低価格。いよいよ2.5Gbps LANが普及段階に入ったなと感じます。
いつまでたっても安くならない夢の10Gbpsを待ち続けるより、手軽な価格で倍速になる2.5Gbpsの方が現実的。体感としても感じられるほどで、おトク感があります。
2.5Gbpsのハブを待っていた人に、素直におすすめできる機種です!
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