各社から発売しているトラックボールを多数購入し、比較レビューする企画「トラックボール大比較」です!
トラックボールとは、指でボールを回すことでマウスカーソルを移動させる装置です。マウスのように腕や手首を動かさないので、手首の痛みに悩まされる人などが選択しています。
ただ、メーカーごとに形や大きさがまったく違い、一体どれが自分に合っているのか、判断するのは容易ではありません。
当サイトではあらゆるメーカーのトラックボールを買い集め、一人の人間が平行して使用することで、あなたにピッタリのトラックボールを見つけ出すための手助けとなるレビューを目指しています。
さて今回購入したのはロジクール(Logicool)社から販売されている「ELGO M575S Bluetooth トラックボール」のレビューです。
親指でボールを動かし、ボタンやホイール部分はマウスと同じような形のタイプです。
手のひら全体を支え手首をラクにする形状、スムーズなボール操作、高すぎない価格と、非常にバランスの良い機種です。Amazonでは総レビュー2万件を超えるという、絶大な人気を誇ります。
さっそくレビューをしていきましょう。
筆者の手のサイズ詳細
参考までに、筆者の手の形と大きさを提示します。
性別:男性。指は細め。手首(付け根の1本目の線)から中指の先まで18.2cm。手のひらの厚みは中指の骨の部分で約3cm。
指の長さ(爪の先から手のひらの付け根部分まで)は、親指・・・約6.2cm、人差し指・・・約7.8cm、中指・・・約8.5cm、薬指・・・7.8cm、小指・・・6.7cm。
トラックボール 操作タイプ
トラックボールには大きく分類して3つの操作タイプがあります。
- 親指ボールタイプ・・・このタイプはクリックボタンがマウスと同じような形になるため、マウスからの乗り換えがスムーズです。ただ、親指でのボール操作は微細な操作がやりにくい場合があります。
- 人差し指ボールタイプ・・・このタイプはボールがやや大きなものが多く、親指よりも微細な操作がしやすいのが特長です。ただ、クリックボタンやホイールが親指操作になるので、マウスから乗り換えは慣れるまで少し時間がかかります。
- 特殊タイプ・・・上記2つに分類しにくいものをまとめています。かなり大きなボールを複数の指で使ったり、ひねり回転を使ったりと、斬新な操作になります。マウスからの乗り換えにはかなり慣れが必要ですが、慣れると手放せなくなる操作感です。
ERGO M575Sは「親指タイプ」になります。
カラーバリエーション
ERGO M575Sは、ブラック、オフホワイト、グラファイトの3色のカラーバリエーションで販売されています。
★今回のレビュー商品★ | ||
ブラック (※Amazon限定モデル) |
オフホワイト | グラファイト |
形のチェック
形状をチェックしていきましょう。
全体に丸みを帯びた、もっちりとした形。右に大きく傾いており、手首を無理にひねらずにラクにテーブルに置くような状態で、そのまま持つことができます。
上記写真では反射で何本ものラインが見えますが、実際に持つと凹凸(おうとつ)はそれほど無く、手の感触はわずかです。
このラインはただのデザインではなく、段差のおかげで手がすべらないので、力を入れずに手を乗せ続けることができます。
正面から撮影。
手を自然に置いた形になるよう、なだらかに右に下がっていくデザイン。
左右ボタンとホイールはマウスと同じようなレイアウトで、マウスからの乗り換えもスムーズ。
後ろからの写真。
手のひらのへこむ位置に合わせ、複雑なふくらみを構成しています。手のひら全体にくまなく密着するような感触です。
特に一番下の小指用のくぼみに注目。小指が机に当たることはなく、痛くなりにくい。長時間使うことをよく考えられている。
M575Sは、筆者の手にはまさにピッタリの大きさ。
親指を自然に伸ばした位置にボールの頂点が来ていて、奥側にも、手前側にも動かしやすい。
手首は非常にラク。テーブルにトンと手を置いたかたちそのままです。
平たいマウスで手首をグイグイとひねりながら使っていた人は、M575Sにすると手首がむずがゆくなるほど力を抜けるのが確認できるでしょう。
ボール回転のチェック
ボールは34mmを採用。
ブラックモデルはブルーメタリックのカラーです。ラメのようにキラキラと光りますが、表面はボウリングの玉のようになめらか。
ボールの支点は3点で、材質は人工コランダム(ルビーなどと同系の素材)とのこと。ボールを抜くと白い鉱物があるのが確認できる。
回転は非常にスムーズ。がたつきや振動はまったくなく、どの方向にも転がしやすい。回転はわずかな抵抗感があり、ちょうどよいブレーキ感で回りすぎを防ぎます。
慣れれば細かな位置にもピタリと止めることができ使いやすい反面、このブレーキ感を「重さ」と感じる人もいるだろうと思います。
ボールをはじくとシャーッと2回転ほどまわり、ウルトラワイド画面でも端から端までカーソルを飛ばすことができました。
ボールのスムーズネスは回転のスムーズさはABC段階で「B」です。
慣れないうちは親指についつい力を入れてしまい、親指の関節が疲れる感じもありました。2~3日使っているうちに、近くは親指の根元で回すように、遠くは弾くように回すように使うことで、よりラクになることがわかりました。
ただ、2週間ほど使用しているとだんだんと重くなってくる感触があります。他の機種よりもホコリがたまりやすいのか、もしくはボールの表面処理がホコリに影響されやすいのかもしれません。細かな清掃が必要だと感じます。
ボタンは5個
ボタンは右クリック、左クリックに加え、ホイール、戻る、進むボタンが付いています。
進む/戻るボタンは意図しなければ指に当たらない位置にあり、不用意に当たることはほぼありません。
ボタンは専用ソフト「Logi Options+」にてさまざまな機能を割り当てることが可能です。
無線タイプは2種類
無線接続にはUnifyingレシーバ(USB 2.4GHz)、Bluetoothが両方使えます。
Unifyingレシーバは超小型で、USBのポートに差し込んで使います。有線のUSBマウスと同じように使え、BIOS設定などOSが起動していない状態でも操作可能です。
また、他社のように製品とUSBレシーバが1対1ではないので、無くしてしまっても単体購入が可能なのも助かります。(他社ではレシーバを無くすと、本体ごと買い換えになる場合がある。)
Bluetoothは、パソコンはもちろん、タブレットやスマホにも接続できます。
次にそれぞれの使用感です。
Unifyingレシーバは停止状態からボールを動かして、すぐに反応します。10分放置しておいたあとは1~2秒ほどのスリープラグ(スリープ状態から反応するまでの空白時間)があります。
Bluetoothでも同じような使用感で、10分放置後は1~2秒ほどのスリープラグが感じられました。BluetoothのバージョンやPCの状態にも影響されるため、環境によってはもう少しラグが出る可能性があります。
どちらも使用中に気になるような途切れは感じません。
電池一本で最長2年使用できる!
バッテリーは単三形乾を電池1本。なんとたった一本で最長24ヶ月(2年間)も利用できるとのこと。信じられないほど省電力です。(※持続時間は公称値。Unifying USBレシーバー使用時。)
また乾電池なら、外出先でバッテリーが切れてもすぐに購入できるので安心です。
WTS的まとめ
スムーズで正確なボール、手首のラクさ、手ごろな価格、さらに2.4GHzとBluetooth両対応など、かなり高次元にまとまった一台です。
マウスからトラックボール乗り換えの「最初の一台」として、理想的なモデルではないでしょうか。
M575Sをまず使ってみて、不満があるようなら他を試してみるといった流れが、入門に最適かもしれません。
価格比較サイトやAmazonでも、多くの販売実績に加えて高評価を保っており、設計の良さがわかります。親指タイプの中でベンチマークとなり得るモデルだと感じました。
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