ThinkPad P14s Gen 1 実機レビュー | モバイルワークステーションとしては異例の軽さを実現

こんにちは、太田アベル(@LandscapeSketch)です。

高性能なビジネスPC、Lenovo ThinkPadシリーズ。その中で「モバイルワークステーション」と位置づけられ、他のシリーズよりも、よりパワフルさを重視しているのがPシリーズです。

今日は、14インチのほどよい大きさのディスプレイを採用し、グラフィックチップNVIDIA Quadro P520を搭載、そして1.47kgという持ち運びやすい重さを実現した「ThinkPad P14s Gen 1」をレビューしていきます!

CADからグラフィック処理まで、パワフルにこなせてしまう軽量マシンです!

原稿執筆時点で、第11世代インテルCPUを搭載したP14s Gen 2が発売されました。NVIDIA Quadro T500を搭載し、よりパワフルなグラフィックパワーを備えています。詳しくは公式サイトへ。
  • 14インチの小さくもなく大きすぎないサイズ
  • 1.47kgの持ち運びやすい重量
  • グラフィックチップ NVIDIA Quadro P520搭載
  • 出荷時に正確なカラー調整済み
  • MIL-SPECに合格した、高耐久ボディ

デザイン

ThinkPad伝統のシンプルなブラックボディ。

全体はプラスチックですが、さらっとした質感と、がっちりとした手ごたえがあり、さすがThinkPadだと感じさせる質の高さを感じます。

折りたたみ時は18.9mmという薄さ。

ノート型ワークステーションというと非常に厚いイメージがありますが、ThinkPad P14sはビジネスバッグにもラクに収まります

ディスプレイ

ディスプレイは14インチ。解像度や液晶タイプを複数種類から選択が可能です。

 

今回のモデルは4K-UHD (3840 x 2160ピクセル)の光沢液晶タイプ。500nitの高輝度、Dolby Visionに対応し、正確で深い色調表現が可能です。他の液晶モデルは非光沢。

光沢液晶タイプ

 

起動した時点からすぐにわかる深い色合いで、これなら写真家、CG作家でも、このThinkPad P14sだけで作品を完成できるほどでしょう。

ディスプレイは下記のスペックを選択することができます。(モデルごとに選択できるディスプレイは変化します)

  • 14.0型FHD液晶 (1920×1080) IPS、光沢なし、250nit
  • LED バックライト付 14.0型 WQHD IPS液晶 (2560 x 1440) マルチタッチパネル(10点)
  • 14.0型FHD液晶 (1920×1080) IPS、光沢なし、300nit、マルチタッチパネル
  • 14.0型FHD液晶 (1920×1080) IPS、光沢なし、400nit、省電力パネル
  • 14.0型FHD液晶 (1920×1080) IPS、光沢なし、500nit、マルチタッチパネル、Privacy Guard
  • 14.0型UHD液晶 (3840×2160)IPS、光沢あり、500nit、HDR

キーボード

ThinkPadの注目点はキーボード。長年ビジネスで鍛えられた非常に打ちやすいキーボードです。

配列は基本に忠実。特殊キーが少し細長くなっているところがありますが、常用するキーはほとんどが余裕ある大きさで、非常に打ちやすい。

キーはアイソレーションタイプ。フルサイズのキーピッチでさらに一つ一つのキーが間隔を持って並んでいるので、爪が長い女性でも上のキーに引っかかったりすることがありません。キーのスキマにゴミやホコリが入ることもありますが、間隔があるので簡単に掃除できるのも良い点でしょう。

キーは下側が丸くなっている独特な形で、表面もわずかにへこんでいて指にフィット。すっと押し下がり、タンッとしっかりした反発があります。ノートパソコンでは最高の部類のタッチ感です。

 

またホコリや湿気の多い場所でも実働に耐え、さらには多少水をこぼしても平気な強靭さも備えます。

タッチパッドとトラックポイント

ThinkPadのトレードマークでもある、キーボードの真ん中にある赤いトラックポイント。人差し指でわずかに力を入れると、その方向にカーソルが動きます。

タッチパッドしか使ったことない人は「いまいち使いづらい」と言うことが多いのですが、ThinkPadを長年使っている人の中には「トラックポイントのためにThinkPadを買っている」という人もいます。

トラックポイントの最大の利点はキーボードのホームポジションから手を動かさなくてもマウス操作ができること。使ってみるわかりますが、腕の動きが他のパソコンに比べて半分以下になります。

書類を作るときの操作を考えてみてください。

文字を打つ → マウスを持つ → 文字を打つ → マウスを持つ・・・

という感じでけっこう手を動かしています。
これでは手を動かすたびに思考が途切れ、集中力が途切れがちになります。

そこでトラックポイントです。

キーボードのホームポジションに手をおいたままで操作できるので、腕を一切動かさずにすべての操作が行えます。キーボードを主に使う人にとって、トラックポイントは非常に使えるデバイスです。

トラックポイントは操作に多少の慣れが必要ですので、一般的なタッチパッドも搭載しています。

タッチパッドは1プレートタイプ。左下/右下を押し込むことで左/右クリックが可能です。タッチパッドも同色で、統一感があります。

静粛性

この薄さに強力なGPUを搭載していながら、軽量作業時は、耳を近づけないとファンの音が聞こえないほど静か。

テストで高負荷をかけたときにファンの風切り音が出てきますが、最も負荷が高い場面でも、ファンの音は低音で耳障りな高音はほとんどありません。

騒音に関して気になる方でも、これなら許容範囲ではないでしょうか。

ポート類

薄型ノートですが、側面全体を使い可能な限り多くのポートを搭載しています。

  • スマートカードリーダー(カスタマイズによる選択)
  • microSDメディアカードリーダー
  • USB3.1 Gen 1 (Powered USB)
  • イーサネット・コネクター(RJ-45)
  • セキュリティー・キーホール
  • USB3.1 Type-C Gen 1(電源と共用)
  • USB3.1 Type-C Gen 2(Thunderbolt3 対応)
  • ドッキングコネクタ(5,6.と兼用)
  • USB3.1 Gen 1
  • HDMI
  • マイクロホン/ヘッドホン・コンボ・ジャック

USBは3ポートもあるので、これだけで十分な人が多いでしょう。HDMI、Thunderbolt3のポートもあるので、映像出力も問題ありません。

それ以上のポートを求める際は、別売りのThinkPad Thunderbolt 3 Workstation ドックを使えば、デスクトップマシン並に大量のポートを追加可能です。

スペック

今回紹介しているモデル:ThinkPad P14s Gen 1 [20S4CTO1WW] (ThinkPad P14s Gen 1)

機能 詳細
CPU Intel Core i7-10610U
CPUコア/スレッド数 4コア / 8スレッド
ベース周波数 / ターボブースト周波数 2300 MHz / 4900 MHz
メモリ 32 GB
グラフィックス NVIDIA Quadro P520 (2 GB)
ストレージ 512 GB SSD (NVMe)
OS Microsoft Windows 10 Professional
光学ドライブ なし
ディスプレイ 14.0インチ
解像度 3840 x 2160ピクセル
有線LAN あり
サイズ 約 329x227x18.9mm
重量 約 1.47kg

WTS的まとめ

ベンチマーク

Passmark

PassMarkでPC全体の能力を計測してみました。

ベンチマーク スコア
PassMark Rating (総合スコア) 2628
CPU Mark 8769
2D Graphics Mark 440
3D Graphics Mark 627
Memory Mark 2853
Disk Mark 18668

CPU、メモリの速度は必要十分、仕事にもクリエイティブワークにも十分な数値を出しています。

3DMark

ゲームベンチマークとして、ほぼ業界標準となっている3DMarkにてテストをしました。

ベンチマーク スコア
Wild Life 3433
Night Raid 4546
Fire Strike 2601

Quadroは基本的にOpenGLに最適化されていますので、ゲームではそれほど振るいません。軽いテストのNight Raidでは十分に見られるフレームレートですが、Fire Strikeでは全体にカクツキが目立ちます。

ドラゴンクエスト X

オンラインゲームのドラゴンクエスト Xのベンチマーク。比較的軽量なゲームのベンチマークです。

設定 スコア 快適度
フルHD / 最高品質 1450 重い
フルHD / 標準品質 4264 普通

特に画質にこだわらなければゲームも楽しめそうです。ここもまた、最適化の違いが出ているところでしょう。

CineBench R15

CPUとOpenGL能力を計測するChineBench R15で性能テストをしました。

テスト スコア
OpenGL 42.15fps
CPU 492cb

OpenGLのテストは軽量なものとなりますが、なめらかです。CAD作業なら十分な速度ではないでしょうか。

CineBench R20

CPUのレンダリング速度を計測するChineBench R20で性能テストをしました。

テスト スコア
CPU 1127pts

こちらも少し前のデスクトップパソコン並の速度となっています。持ち運びできるマシンではパワーのある方です。

WTS的まとめ

オールマイティにさまざまな作業がこなせるノートPCです。

CPUだけでは非常に重くなるCGや3D CADソフトも、Quadro P520の力でしっかりと動かし、4Kのディスプレイでも追従してきます。

これだけの装備が揃って1.47kgという軽さは、ThinkPad P14sに全ての環境をまとめ、常に持って歩きたい人にうれしいポイントです。

1台で全てを済ませたい欲ばりなPCを探しているのなら、非常に良い選択肢になるはずです。

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