グラフィックカードに厳しい長さ制限があるNEC Lavie Direct DT。
当初は短い基板を採用したGeForce GT 1030を搭載していましたが、より速い処理速度や動画エンコードエンジンがほしくなり、ワークステーション用カード「NVIDIA T600」を購入。
入るか、入らないかというギリギリの状況を乗り越え、搭載することができました!
今日はベンチマークを取ってみて、CPUやGeForce GT 1030と比較していきたいと思います!
テスト機スペック
第10世代CPUCore i7-10700を搭載したモデル(2020年秋冬モデル)になります。
記事執筆時点での最新型は第12世代CPUを搭載したものですが、どの世代も内部設計はほとんど変わっておらず、カードの制限はほぼ同じだと思われます。
項目 | スペック |
---|---|
OS | Microsoft Windows 11 Home (x64) |
CPU | Core i7-10700 |
CPUコア/スレッド数 | 8コア / 16スレッド |
内蔵グラフィック | Intel UHD 630 |
メモリ | 8 GB |
メモリスロット (空きスロット) | 4 (2) |
ストレージ 1 | 1TB HDD |
光学ドライブ | DVD+R DL |
ポート類 | USB Type-C x1、USB 3.1(Type-A)×2、USB 3.0×2、USB 2.0×4、DisplayPort×2 、ミニD-sub15ピン×1 |
サイズ | 89(W)×298(D)×336(H)mm(スタンドなし) |
重量 | 約 4.7kg |
GeForce GT 1030スペック
アーキテクチャ | Pascal |
CUDAコア | 384基 |
コアクロック | 1227MHz |
ブーストクロック | 1468MHz |
最大消費電力 | 30W |
GPUメモリ | 2GB |
バンド幅 | 48.06GB/s |
NVIDIA T600 スペック
アーキテクチャ | Turing |
CUDAコア | 640基 |
コアクロック | 735MHz |
ブーストクロック | 1335MHz |
最大消費電力 | 40W |
GPUメモリ | 4GB |
バンド幅 | 160GB/s |
ベンチマーク
3DMark
ゲームベンチマークとして、ほぼ業界基準となっている3DMarkにてテストをしました。
ベンチマーク | NVIDIA T600 | GT 1030 | CPUのみ |
---|---|---|---|
Night Raid | 24211 | 8402 | 6480 |
Wild Life | 15181 | 3525 | 3091 |
Fire Strike | 6394 | 1678 | 1237 |
Time Spy | 2469 | 751 | 512 |
CPUではかなり苦しいのは当然として、GT 1030側もかなりギリギリの性能。Night Raid、Wild Lifeではコマ落ちが多いながらもなんとか見られるレベル。それ以上となるとコマ送り状態でした。
しかしNVIDIA T600は全てのテストで3倍近いスコアをたたき出し、Night RaidやWild Lifeなどはとてもなめらかに動きました。Fire Strike、Time Spyはコマ落ちは多いものの、動きは追えるぐらいのフレームレートは出ています。
1スロットで、最大消費電力もわずか40Wに収まるというのに、とんでもない差となっています。
PCMark 10
システム全体の性能を計測するテストです。
テスト | NVDIA T600 | GT 1030 | CPUのみ |
---|---|---|---|
総合 | 5855 | 4800 | 4087 |
Essentials | 9495 | 9725 | 8678 |
Productivity | 8112 | 7001 | 6945 |
Digital Content Creation | 7072 | 4009 | 3075 |
CPUとGT 1030では大きな差が生まれませんでしたが、NVIDIA T600はシステム全体の性能を底上げしています。
グラフィック処理が多くなるほどNVIDIA T600の強さが発揮されます。Digital Content CreationではCPUの2.5倍、GT 1030の1.7倍と、大きな伸びを示しています。
ファイナルファンタジー XV (FF15)
ファイナルファンタジー15は最新技術を多数使っており、重めのゲームです。最新技術のサポートがどのくらいあるのかを確かめることができます。
設定 | スコア | 快適度 | |
---|---|---|---|
NVIDIA T600 | 1280×720 / 軽量品質 | 7688 | 快適 |
GT 1030 | 1280×720 / 軽量品質 | 2056 | 重い |
CPUのみ | 1280×720 / 軽量品質 | 1313 | 動作困難 |
CPUのほうは1秒に1回画面が変わる程度で、プレイはまったく不可能。GT 1030のほうはCPUよりは多少コマ数は多くなりますが、なめらかにはほど遠いところでした。
NVIDIA T600はコマ落ちはあるものの、かなりなめらかに動かしています。1280×720の軽量画面ならプレイはできそうな感触。
試しにより高解像度なFULL HD(1920×1080) / 軽量品質にてテストしたところ、スコアは4718(やや快適)の判定でした。底力のあるカードです。
ドラゴンクエスト X
オンラインゲームのドラゴンクエスト Xのベンチマーク。比較的軽量なゲームのベンチマークです。
設定 | スコア | 快適度 | |
---|---|---|---|
NVIDIA T600 | フルHD / 標準品質 | 22859 | すごく快適 |
GT 1030 | フルHD / 標準品質 | 12802 | とても快適 |
CPUのみ | フルHD / 標準品質 | 8382 | 快適 |
GT 1030でも十分に遊べそうなほどでしたが、NVIDIA T600は約2倍のスコアを達成!コマ落ちはまったくなく、前編なめらかでした。
画像品質を「最高」に設定しても、スコアは22393とわずかしか下がらず、画質はグレードアップしつつ快適な動作でした。
十分にパワーアップを感じられる結果
以上がベンチマークの結果でした。
CPUとGeForce GT 1030ではわずかしか違いが感じられませんでしたが、NVIDIA T600はパワーアップの効果を十分に感じることができました!
1スロットで追加電源も必要なく、Lavie Direct DTのようなスリムデスクトップにも装備できる、貴重なグラフィックカードといえるでしょう。
Adobe Photoshop、Premiere、Davinci Resolveなどの映像編集ソフトでも、しっかりとGPUサポートの項目が現れ、エンコードもスピードアップしました。
とはいえ、同スペックのGeForceに対し、約2倍となる価格は考えもの。「この金額を出しでもパワーアップしたい」と考える人向けとなるでしょう。
また、同じカードサイズで「NVIDIA T1000」というさらに1ランク上のカードも存在します。4Kのエンコードや大規模なCADなど、グラフィックパワーが必要なときは検討できるでしょう。
WTS的まとめ
グラフィックカード搭載はかなりきびしいLavie Direct DTに、新たな選択肢が生まれたと言っていいでしょう。
GeForce系は飾り気のあるファンで大型化してしまっていますが、プロフェッショナルカードはシンプルで、多目的に使えるよう設計されています。また消費電力も最小限で、熱にきびしい小型筐体でも耐えられるのもポイント。
Lavie Direct DTで高度なデザインをやっていきたいと考えているなら、NVIDIA T600はおすすめのカードです。
ただしサイズはギリギリなので、全てのモデルで搭載できるとは断言できません。その点、ご了承ください。
コメント