こんにちは、太田アベル(@LandscapeSketch)です。
いまやノートPC、デスクトップPCともに標準装備となってきた「M.2 SSD」。素子の改良と共にどんどん大容量しており、日常使いにはもちろん十分、大きなデータを扱うユーザーにも対応できるようになってきました。
その中でも、手ごろな価格と大容量を両立させたM.2 SSD「Kingston NV2 NVMe PCIe SSD」が新発売となりました。
旧モデルのNV1はPCI-Express 3.0までの対応でしたが、今回からはPCI-Express 4.0に対応したのがトピック。
シリーズ | NV2 | NV1(旧モデル) |
---|---|---|
PCI-Express規格 | PCI-Express 4.0 | PCI-Express 3.0 |
帯域がアップしたため最大読み込み速度3,500MB/s、最大書き込み速度2,800MB/sに達し、もはやエントリーモデルとは言えないほどの速度を実現しています!(※速度は2TBモデル / シーケンシャル転送において)
つまり、大容量・手ごろな価格に加え、「高速」もプラスされてしまったのです!
今回体験品をメーカーよりご提供いただきましたので、さっそく実機レビューしていきます!
- 手頃な価格
- 新たにPCIe 4.0 x4に対応
- 最大2TBまでのラインナップ
- 価格以上のパフォーマンスを感じる
本体のチェック
製品は紙製のブリスターパックに入ってきます。
簡素ですが本体はしっかりと固定されています。台紙は古紙として出せますので、排出されるゴミも少なく、エコですね。
本体は2280タイプのM.2 SSD。コネクタはM Keyとなります。通信方式はNVMe(PCIe)方式となり、SATAのみに対応するスロットには取り付けができません。
今回からPCIe 4.0に対応しています。ただし4.0の全開能力を引き出すには、CPUやチップセットが4.0に対応している必要があります。
Intelなら第11世代以降、AMDならRyzen 3000シリーズ以降が目安です。
PCIe 4.0はPCIe 3.0 にも後方互換性がありそのまま取り付け可能ですので、「現在は4.0に対応していないけれど、将来のアップグレードに備えてNV2を選んでおく」というのも良い選択です。
ヒートシンクは付属せず、本体ラベルも紙製のシールです。シール自体に放熱力はなさそうです。
ちなみにこのシール、けっこう接着力が低いのですが、はがすと保証が無効になってしまうようです。そのため、ヒートシンクなどを取り付けた場合、いっしょにはがしてしまわないよう、かなり気を使いそうです。
裏面にはチップの実装はない片面実装タイプ。
そのおかげで厚さはかなり抑えられています。空間に制限のあるノートPCなどでも安心して選べそうです。
価格と機能のチェック
Kingston NV2の価格をチェックしてみましょう。
Amazonでの価格(2022/10/28現在)は下記のようになっています。
容量 | 価格 |
250GB | 4,990円 |
500GB | 6,282円 |
1TB | 10,782円 |
2TB | 22,482円 |
同容量で近いスペックのものと比較すると、かなり安めの印象です。価格比較でも最上位に並んできます。
安くて好評だった旧モデルのNV1シリーズよりも、さらに10%ほど安くなっており、プライスリーダーを強く意識していると感じます。
たとえば2TBの23,000円付近を見ますと、他社ではPCIe 3.0で読み込み2,000MB/s程度の(速度より容量重視の)エントリーモデルが並びます。
NV2はPCIe 4.0で読み込み3,500MB/sにも達するため、速度では頭ひとつ上。同価格帯の中では非常にコストパフォーマンスが高い、と言えるでしょう。
保証は全モデルとも3年間。
書き込み耐久度を表すTBW(書き込みバイト総数)は以下のようになっています。
容量 | NV2 | NV1 |
---|---|---|
250GB | 80TBW | 60TBW |
500GB | 160TBW | 120TBW |
1TB | 320TBW | 240TBW |
2TB | 640TBW | 480TBW |
旧モデルNV1では平均値よりちょっと少ないと感じた耐久度ですが、NV2ではしっかりと改善してきました。耐久度の数値が気になっていた人も、NV2なら安心して購入できるでしょう。
もちろんNV1の値でも、毎日数十ギガバイトの動画を編集しまくらない限り、保証期間内には到達しないほどの耐性です。NV2ではさらに長期的な使用での安心感が高まったわけです。
続いて速度。
一気にワンランク以上アップしていますね。公称読み込み速度は40%近くもアップしており、プロ・グレードに近づいています。さすがはPCIe 4.0接続といったところ。
容量 | NV2(読み/書き) | NV1(読み/書き) |
---|---|---|
250GB | 3,000/1,300MB | 2100/1100MB |
500GB | 3,500/2,100MB | 2100/1700MB |
1TB | 3,500/2,100MB | 2100/1700MB |
2TB | 3,500/2,800MB | 2100/1700MB |
速度でも、容量でも、価格でも、隙(すき)がないモデルです。
ベンチマーク
さっそく性能を試験していきましょう。
NTFSで領域を確保し、CrystalDiskMarkにて試験を行いました。
読み込みは3765MB/s、書き込みは2888MB/sという結果になりました。読み込みは公称値以上、書き込みもわずかに公称値を超えています。非常に満足のいく速度ではないでしょうか。
IOPSの値も見てみましょう。
重要なのは「RND4K」。この数値が大ききと細かなファイルの読み込みが早くなり、ソフトの起動や終了の瞬発力がアップします。
読み込みは192,033、読み込みは130,052と出ています。これはエントリーモデルは十分すぎる数値です。
価格が倍以上するプロ・グレードになると、300,000がひとつの目安になります。NV2はエントリーモデルでありながらプロ・グレードに迫ろうとする速度を実現しているのです。
この性能で1TBモデルが1万円ちょっとで手に入るというのは、かなりうれしい!動画やゲームなど、大容量を日常的にやりとりするストレージとして、積極的に選んでいきたいモデルですね。
もちろん安価なメインドライブ用としてもおすすめできます。
SSDの価格ランキングトップを走り続けるKingstonの、2023からのメインストリームシリーズとして注目を集めそうです。
WTS的まとめ
価格重視で選んだけど、かなり速いぞこれ・・・と、思わぬ高機能でにんまりする人も多いのではないでしょうか。コストパフォーマンスが高い一枚です。
NVMe SSDで大容量のデータディスクを構築したいと考えたとき、ぜひ検討に入れたい機種です。
コメント
PCIe 4.0のSSDをPCIe 3.0で使うと、規格上の上限に近い速度が出るのと、PCIe 3.0で動くので発熱がかなり下がるようなので結構利点があります。
ほろほろドリーさん>
コメントありがとうございます。
確かにおっしゃる通りですね。総合温度は低めでした。(ヒートシンクを付けてですが)
温度計測もしてありますので、また追加掲載したいと思います。