FlashAirで半リアルタイムクラウド同期を実現する!デジカメ写真を全自動で遠隔転送

どうも太田アベル(@LandscapeSketch)です。

デジタルカメラの写真をワイヤレスで取り込めるようになるFlashAir(フラッシュエアー)

FlashAirはカード自体に無線通信チップが内蔵されていて、SDカードに対応していればどんなカメラでも無線で画像を飛ばすことができます。つまり、写真を取り込むためにカードを出し入れする必要も、USBケーブルで接続する必要もないのです!

ただ、完全に自動で保存するにはいくつか問題があります。さらに、それをクラウドストレージと同期するためにはもう一工夫が必要です。

 

今回はインターネット側も、FlashAir側も安定した通信を行いながら、完全自動でクラウドと同期する仕組みができあがりましたので、紹介いたします!

必要になるのは

  • 転送をつかさどるPC(低スペックでもOK。ただしWindows 10であること)
  • 2つのWiFiアンテナ(有線+WiFi / 内蔵+USBWi-Fi / USB Wi-Fi など2つ)
  • フリーウェア Snowy

の3つ。

基本理論となぜこのセットが必要になるか、の基礎知識を書いていきます。

カメラのWi-Fiではだめ?

最近はカメラ自身がWi-Fiを内蔵しているものが多くあります。

今回使うカメラ「Sony NEX-5T」ももちろんWi-Fiを搭載しています。自動取り込みが使えるのならFlashAirでなくても、この内蔵Wi-Fiで問題ありません。

ただ使ってみた結果、ファイルの保存先の自由度やファイル転送の安定性などは、FlashAir+Snowyのほうが良かったので、今回はあえてFlashAirを使っています。

FlashAirだけではなぜだめなのか

まず、FlashAirだけではクラウドアップロードはうまくいきません。

クラウドと同期するためには常時インターネットへの通信が必要となるわけですが、Wi-Fiが一つしかない場合、FlashAirの「インターネット同時接続機能」を使うことになります。

これはFlashAirを中継し、FlashAirもPCもインターネットとも接続できるようにする仕組み。

パソコン → FlashAir → インターネット

という接続になります。

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便利ではありますが問題は2点。

  1. 全ての通信がFlashAirを中継するので、速度がかなり遅い
  2. カメラの電源の入/切やスリープでPC側の回線が切り替わり、ひんぱんに通信が途切れる

 

そもそもFlashAirの転送速度はそんなに速くありません。

それなのに、写真をパソコンに転送しながら、パソコンに送った写真をクラウドに送るという常時2重の送受信になるため、かなり遅くなります。実用的とは言えません。

また、カメラを切ったり、カメラが一時的にスリープになったりすると回線が切れ、そのたびにPCの接続先が変化し再接続が発生します。手動で戻さないといけないときも多くあります。

安定感のある通信ができないのです。

2つのWi-Fiを使うことで安定と高速を実現する

そこでWi-Fiを2つにする方法です。

1つはインターネット専用、2つ目はFlashAir専用にします。

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これでお互いに邪魔をされないため、通信が安定し高速になります。

またFlashAirの影響でインターネット側の通信が途切れることもありません。

 

ちなみに両側無線でなくてもかまいません。

有線LAN(インターネット側)と、Wi-Fi(FlashAir側)という組み合わせでもOKです。ノートパソコンで両方装備しているのなら、この方式が一番安上がりですね。

古めのノートにUSB Wi-Fiを取り付けた例

USBアンテナの設定方法

設定にはネットワークIPの設定が必要になりますが、そんなにむずかしくはありません。

まずPCのインターネット側(クラウド側)となるアンテナを決めます。今回は内蔵Wi-Fi側にしました。

こちらは通常の手順でルーターに接続。IPの取得は「DHCP」(自動でルーターが割り当てる)にしておきます。(家庭用ルーターなら、ほとんどの場合DHCPになっているはずです)

FlashAirの設定方法

次にFlashAir側の設定です。USBアダプタ側に設定します。

 

こちらはIPアドレスを「固定IP」というものに切り替えます。

固定IPとはその名の通り、IPアドレスが固定され、一切変化しない設定方法です。

逆に、先ほどの「DHCP」は、空き番号に自動で割り振られるため、接続のたびに番号が変わります。これはルーターが行っている機能です。

 

双方を固定IPにするということは、FlashAirとUSBアンテナはお互いだけが直結され、どこからもDHCPでアドレスが受け取れないので自分で手動で割り振る、という意味になります。

固定IPと同時に、インターネット側にアクセスしないようにゲートウェイの設定もしていきます。

話が複雑になるので、ネットワークについての解説はここまでにします。興味があればIPの仕組みなどを調べてみてください。

 

まずFlashAir側です。

FlashAir をカードリーダに挿し、PCで開きます。

この時エクスプローラの「隠しファイルの表示」を必ず設定してください。設定ファイルが見えません。表示タブから図の部分のチェックを入れるだけです。

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FlashAirを開くと「SD_WLAN」というフォルダが見つかります。これを開きます。

 

 

そのなかに「CONFIG」というファイルがあります。

 

CONFIGをPC側にコピーして、バックアップしておきます。間違った設定をしてしまい、全く動かなくなったときに戻せます。

 

次に「CONFIG」をエディタ(もしくはメモ帳)で開きます。

ここに下記の内容を加えていきます。同じ項目がある場合は追加しなくてもOKですが、値が違う場合は書き換えてください。

すでに項目があり、ほかの値が設定されている場合も注意してください。下手に書き換えると通信できなくなります。特に他人が設定したものは確認してから修正してください。

どんな設定をしてもFlashAirが物理的に壊れることはありません。しっかりバックアップしておけば、動かなくても元のファイルに戻せば動きますので、思い切ってやってください。(笑)

[Vendor]
PPMODE=4
APPNETWORKKEY=
APPSSID=flashair
DHCP_Enabled=NO
IP_Address=192.168.10.50
Subnet_Mask=255.255.255.0
Default_Gateway=
Preferred_DNS_Server=
Alternate_DNS_Server=

 

上記の赤字の部分が追加した部分です。

APPMODEは「4」に書き換えてください。

IP_Address=192.168.10.50という部分が「固定したIPアドレス」となります。覚えておいてください。

周りにもし同じ番号の機器が動いているとアドレスが衝突し、通信ができなくなります。「192.168.10.30」という番号であれば、ほぼ家庭用機器では使っていないと思われますが、もし衝突している場合は適宜変更してください。

固定アドレスを変更した場合は、この後の記事を自分で設定したアドレスに読み替えてください。

Windows側の設定

次にFlashAirと直結する無線アンテナを設定します。

Windowsのネットワーク設定を開きます。

Windows 10の場合、

設定→ネットワークとインターネット→イーサネット→アダプターのオプションを変更する をクリックします。

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無線アンテナの項目を右クリック→プロパティを開きます。

必ずFlashAir用アンテナであることを確認してください。違うアンテナを選んでしまうと、パソコンが通信できなくなります。

 

「インターネットプロトコルバージョン4」という項目があります。これを選んで「プロパティ」をクリック。

 

上段のラジオボタンを「次のIPアドレスを使う」をクリックします。

ここも設定を間違えると、パソコン自体の通信ができなくなります。スクリーンショットを撮っておくなど、元に戻せるように準備してください。

 

下記のように設定します。

IPアドレス 192.168.10.60
サブネットマスク 255.255.255.0
デフォルトゲートウェイ 空欄(文字が入っていたら消去)
有線DNSサーバ 空欄(文字が入っていたら消去)
代替DNSサーバ 空欄(文字が入っていたら消去)

 

数字が間違っていると接続できません。よく確認してOKを押してください。

FlashAirとの接続確認

いよいよFlashAirとの接続確認です!

FlashAirをカメラに入れ起動します。1~2分ほどでFlashAirが接続待ちになります。待てない場合はFlashAir起動画像の表示を行います。(写真を再生し、Wi-Fi起動用画像を表示させる。方法はマニュアルを確認してください)

各種設定が正しければ、この時点で通信できます。

 

スタートメニューを右クリックし、「Windows PowerShell」をクリックします。

 

出てきた青っぽい画面に、次の文字をそのまま入力し、最後にEnterキーを押してください。

ping 192.168.10.50

※もしFlashAirの設定でIPの数値を変えた場合は、192.168.10.50の部分を変えたIPに置き換えてください。

 

通信が正常なら下記のようなメッセージが表示されます。

192.168.10.50 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
192.168.10.50 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=255
192.168.10.50 からの応答: バイト数 =32 時間 =4ms TTL=255
192.168.10.50 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=255
192.168.10.50 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=255

192.168.10.50 の ping 統計:
パケット数: 送信 = 4、受信 = 4、損失 = 0 (0% の損失)、
ラウンド トリップの概算時間 (ミリ秒):
最小 = 0ms、最大 = 4ms、平均 = 1ms

 

もし「要求がタイムアウトしました」という文字が出るようなら、どこかの設定が間違っているか、FlashAirが起動していないか、Wi-Fi接続ができていません。少し待ってからもう一度打ち込んでみて、ダメなら手順をもう一度確認してください。

 

次にこの状態でインターネットが見られるか確認します。今回はFlashAirに接続したまま、通常のインターネットが見られなければなりません。

ブラウザを開き、当サイト「https://worktoolsmith.com」を見てみて下さい!。(笑) もちろんGoogleでもYahooでもなんでもOKですけどね!

ページが表示されれば通信設定は完了です!

Snowyの設定

最後は受信ソフト「Snowy」の設定です。

こちらのページからダウンロードしてください

(使いやすいフリーウェアを公開いただき、作者のemoacht さんに感謝いたします!)

 

Snowyが起動しましたら、FlashAirの固定IPを右上の「FlashAirアドレス」に入力します。

手順通りなら「http://192.168.10.50」となります。

先頭に「http://」が付いていることに注意してください。スペルは「h t t p : / /」です。//は2本です。すべて半角で、空白は入れないでください。

FlashAir Snowy アドレスとパスの設定画面

FlashAir Snowy アドレスとパスの設定

次にローカルフォルダです。

今回はクラウド(OneDrive)に同期したいので、ここにOneDrive内のフォルダパスを指定します。

他のクラウドストレージならそれぞれのフォルダを指定してください。

あえてOneDirveのAPIを使わず、単純にフォルダ保存することで、思わぬ写真の破損や転送ミスを防ぐことができます。たとえクラウドアップロードに失敗したとしても、このフォルダに写真が残るので安心です。

また、この時点でカードとPCにバックアップも作れてしまうということなのです!カード故障による貴重な撮影データの破損を防ぐこともできるのです。

 

さて、お疲れさまでした。

これですべての準備完了です!

受信してみる!

Snowyの左上の「自動」力強く押しましょう!(普通の力でおK)

 

このボタンを押すとSnowyが待機状態になり、指定時間ごとにFlashAirを確認、新しい写真があったら自動で受信します。

カメラをパシャパシャと撮ると・・・

キターーーーー!!!

撮ったそばから写真が転送されてきます!

 

Snowyの受信時間を短くすることができます。標準では30秒ごとですが、早いFlashAir(第4世代)では、3秒ごとでも問題なく応答しています。3秒ごとならほぼリアルタイム感覚です。

 

また撮った写真はどんどんクラウドと同期されます。

例えば遠隔地に編集者がいても、クラウドの同期設定だけ行っておけば、半リアルタイムに編集作業にとりかかれます。分業やテレワークにも強力な環境となるでしょう。

分業にも安全性にも強力なパワー

この環境を作れば、クラウドストレージさえ連携すれば、たとえ地球の裏側でも半リアルタイムに写真が受信できるということです。

分業体制があるデザインスタジオ、写真スタジオでも活用できる場面は多いのではないでしょうか。

 

また、受信した写真はカメラ(FlashAir)、PC、クラウドの3重コピーとなります。リアルタイムにバックアップがとられていくので、安全性が飛躍的に高まります。

ここにNASなどを組み合わせれば、さらに強力なバックアップ体制となるでしょう。

ウェディング、七五三など、絶対に消えてはならない記念撮影でも、カードの故障を気にせず撮ることができますね!

またリアルタイムに近いので、本当にイメージ通りに撮れているのか、すぐに大画面で確認できるのもポイントです。

WTS的まとめ

なるべく丁寧に書いたので、すごく長い記事になりましたがいかがでしたでしょうか。無事にリアルタイム受信はできましたか?

この形になるまでかなり試行錯誤を繰り返しました。特にアンテナ2本を使う方法でなかなかうまくいかず、何日も悩んでムダにしました。できたときは本当に感動でした!

あなたのお役に立てれば幸いです!!

コメント

  1. フラッシュ太郎 より:

    いいですね。参考になりました。
    唯一、RAWが転送できるのでフラッシュエアだのみです。残念ながら発売は停止ですが、5Gwifiでの復活に期待をしています。
    プロでやってるんですが、通信のセットアップにはさほど詳しくないので助かりました。またフラッシュエアも資料が少ないので、それもまた助かりました。

  2. 太田アベル より:

    フラッシュ太郎さま
    コメントありがとうございます!
    記事が役立ってよかったです!
    クラウド転送すれば遠方の編集室でも同時に編集ができるので、かなり楽になるはずです。

    FlashAirの生産終了は、もしかしたら社名変更(東芝メモリからキオクシア)のためかもしれません。
    少し待てばキオクシア FlashAirが出てくるかも?希望的観測ですが。

  3. スマイル より:

    有用な記事ありがとうございます

    今までiPhoneで写真を撮影、Dropboxカメラアップロード機能で自動でクラウド保存していたのですが、デジカメで同じような同期ができないかを調べてここのサイトを見つけました

    早速ノートPC Windows10Home(有線LAN WiFi内蔵)で設定してみました
    1)インターネットを有線LAN接続(DHCP)
    2)FlashAirをWiFi接続
    Snowyで自動接続したら写真が自動で送信されてきました

    ただカメラが自動電源OFFになると当然WiFiが切れて、電源ONにしてしばらくするとFlashAirのWiFiがみえるのですが、「自動的に接続」にしているのに自動で接続してくれません。もちろん自分で接続ボタンを押せば接続してくれるのですが、このあたり何か工夫をされていますか?

  4. 太田アベル より:

    スマイルさま>
    コメントありがとうございます。
    この症状は当方のものでも起こっています。記事を書いた当初は問題なかったのですが、Windows 10のアップデートでWi-Fiの接続に関して変更があったかもしれません。

    また何か方法を見つけたら掲載しますね!