HDDを大量に(30台以上)使っていると、年に数台はおかしくなります。データバックアップはとても大切ですよ!どうも太田アベル(@LandscapeSketch)です。こんにちは。
あっ!大事なデータがどこにもない!(というかさっきゴミ箱に入れて空にしちゃった!)
という場面。ありませんか?
バックアップしていない状態で大切なデータを消してしまったり、突然のハードディスク故障で消えてしまった場合は「データ回復(復活)ソフト(データサルベージソフト)」に頼ることになります。
データ回復ソフトは、人間には見つからない部分のデータをつなぎあわせ、ファイルを復活させてくれるソフトです。
今日は高性能で操作がカンタン、Vectorの「復元ソフト部門」で部門賞も受賞している高機能データ回復ソフト「Data Recovery Wizard Professional」を試してみようと思います。
はたしてどこまでデータを復旧できるのでしょうか?
ファイル復旧が必要になる場面とは?
まず前提としてこのようなファイル復旧ソフトが必要になる場面とはどんな場合か確認します。
大きく2つに分けられます。
1,人為的ミス
- 必要なファイルをゴミ箱に入れてしまい、さらにゴミ箱を空にしてしまった
- ネットワークドライブで重要フォルダを丸ごと消してしまった(ネットワークドライブでは多くの場合、即消去となる)
- デジカメの写真を取り込んでないのに、SDカードを初期化してしまった
- 仕事で借りたUSBメモリを思いっきりフォーマットしてしまった
2,機械的故障
- HDDがクラッシュした
- SSDがなぜか読み込み不可能になった
- USBメモリで「ファイルの破損」と表示され、コピーできない
- 古いSDカードを久しぶりに読み込もうとしたが、読み込めなかった
Data Recovery Wizard Professionalは総合的な回復ソフトですのでどちらの状況にも対応可能です。
今回は主に人為的ミスによりファイルが消えてしまった状況を想定し、どこまで復活できるのか試してみようと思います。
Data Recovery Wizard Professionalの優れている点
データ回復ソフトはいくつか販売されていますが、Data Recovery Wizard Professionalが他より優れている点を比べてみます。
項目 | フリーの 復元ソフト |
商用 復元ソフトA |
EaseUS Data Recovery Wizard Professional |
---|---|---|---|
ファイルの回復 | ごく最近消えたもののみ | だいたいできる | 消えて時間が経っているものでも復活できる場合がある |
ファイル日時 | ほとんど消えてしまう | 戻る時がある | ほぼ元に戻る |
ファイル名 | recovery_001などの判別できない名前になってしまう | ほとんど元に戻る | ほぼ元に戻る |
フォルダ丸ごとの回復 | ほとんど未対応 | だいたいできる | 階層も完全に復活可能 |
操作 | 専門用語が多く、難解な設定が必要 | 説明書が必要 | 数回のクリックでOK |
無料の復元ソフトではせっかく復活できたファイルでも、「recovery_001」「recovery_002」というような単純な連番などにされてしまい、さらにフォルダの構造も無視して一列に並んでしまいます。この状態では中身は見てみないとわからないという、復活後の手間が多くかかります。(ファイルの判別すらもむずかしい)
EaseUS Data Recovery Wizard Professionalは、できるかぎり元のファイル名のままでフォルダー構造ごと復元できる点、さらにファイルの名前や日時なども可能な限り回復させるという点が他のソフトより優れています。
復活後のことも考えた、実用的な作りになっていると言えるでしょう。
USBメモリ
今回の実験台はこちらのUSBメモリ。
容量は2GB。
数回の完全フォーマットをし、データの残骸もない空白の状態となっています。
まずはJPEG写真9枚ほどを入れて、いきなりクイックフォーマット(通常の消去)をしてみます。
ではData Recovery Wizard Professionalを起動しスキャンしてみましょう。操作は非常にカンタンで初めてでも迷うことなく使えます。
まず復活したいデータの種類にチェックを入れます。
目的のファイルがわかっていればここで限定したほうが少し速くなります。わからない場合は全部チェックでOKです。
次に消してしまったドライブを選択。わずか2ステップで準備完了!
ここまでむずかしい専門用語は全く出てきませんので、ファイル復活作業の経験がなくても大丈夫です。
最後に右下の「リカバリ」ボタンを押すと全自動で作業が開始されます。2GBのUSBメモリでおよそ3分ほどかかりました。(大容量のHDDでは数時間を要する場合もあります)
スキャンが終わりました。
Jpeg Graphics Fileというカテゴリにまとめられ、ご覧のように7枚のデータ(000~006)が復活可能となりました!写真の中身も大丈夫のようです。77%の成功率でした。
より実用的な組み合わせで試す
次は
- エクセルファイル20個
- ワードファイル5個
- 写真8枚
このようなより実務に近い組み合わせで復活を試してみます。さらに、エクセルファイルの1~10番は「エクセル」というサブフォルダを作り、分けてみます。
実用的なファイルの組み合わせ。
これらを「エクセル」フォルダに入れる。
Data Recovery Wizard Professionalはフォルダ階層の復活もウリにしていますので、しっかり復活できるか試してみましょう。
再びクイックフォーマットし、空になったのを確認。
スキャンしてみます。
第1回目に消したファイルが混ざっているためか、いくつかの無関係なファイルが表示されています。先ほどのエクセル等のファイルはほとんど全て表示されていますね!
カテゴリを開いていくと「エクセル」というフォルダも見つかっていて、エクセルファイルもしっかり10個入っています!ファイルの日付も正しく表示されています。すごい!
ワードのファイルも出てきました。
また、Raw Filesというカテゴリには8個のJPEG写真もしっかり入っていました。
ではドライブ丸ごと(I:となっている部分)を選択し、全てリカバリーしてみましょう。(I:の部分はご利用のシステムにより変動します。)
デスクトップの「リカバリ」というフォルダに復活を指定します。
リカバリが完了したフォルダ。「Recovered data <日付>」というフォルダが作られ、その中に復活したデータが入ってくるようです。
これはスゴイです!
なんと今回はすべてのファイルが復活できました!普通では再起不能となるクイックフォーマットをしてしまっても、失敗直後なら高確率で元に戻せそうです!
これは心強い。
さらに悪化した状態に挑戦!
さらにいじわるな状態を試してみます。
先ほどのUSBメモリに500KB、100個のランダムな文字が入ったテキストファイルをガンガン入れてみます。そのうえフォーマットします。
相当おっちょこちょいな人がいろいろやらかした状況を想定してみます。
じっとスキャンを待ちます・・・出てきました。
が、残念。テキストファイルばかりが見つかりました。ワードやエクセルの部分は上書きされてしまったようですね。復活しても半数ほどのテキストファイルが出てきたのみです。
Data Recovery Wizard Professionalでも回復不可能な状況というのは、当然ながら存在します。
システムに接続されているとデータは常に上書きされていきます。「あっ!と思ったらなるべくすぐにパソコンの電源を切る、もしくはドライブを切り離す」という鉄則は重要です。
その後にすぐ復活を試しましょう。
なぜシステムと切り離さなければならないのか、軽く説明します。下の図を見てください。
ファイルを消した直後は実はデータが完全になくなるわけではなく、人間には見えなくなっているだけなのです(薄い青の部分)。この状態ならData Recovery Wizardは見つけて復活させることが可能です。
しかし、システムに接続されたままの状態では次々に新しいファイルが書き込まれ、データは上書きされていきます(黄色の部分)。先ほどの見えない部分も当然再利用されますので新しいデータに書き換わってしまいます(赤の部分)。
赤くなった部分は新しいデータとなってしまい、消したファイルはこの時点で完全に失われてしまうことになります。
あっ!消してしまった!と思ったらすぐにシステムを停止し、ハードディスクを取り出し、下記のような装置で別のパソコンに接続してできる限り現状のまま復活を試すべきです。
サンワサプライ SATA-USB3.0変換ケーブル USB-CVIDE3
完全フォーマットではどうか?
先ほどまでは「クイックフォーマット」という簡易的で高速なフォーマットを試しました。このフォーマットはデータの書き込まれた位置を管理する部分を消す機能です。
ちょっとわかりづらいですが、本で言えば「もくじ」を消去するようなものです。中身はそのまま残っているのですが、もくじは真っ白なので、人間からはすべてが消えたように見えます。
クイックフォーマットではない通常フォーマットでは、すべての部分のデータを完全に消そうとします。本の1ページ1ページをインク消しで消しながら進むような感じです。
では先程のエクセルファイル20個、ワードファイル5個、写真8枚の組み合わせで書き込んでみます。「クイックフォーマット」のチェックを外すと完全フォーマットになります。クイックフォーマットより数倍の時間がかかります。
消去されました。
Data Recovery Wizard Professionalでリカバリを試してみますが・・・やはりゼロでした。完全フォーマットからの復元はかなりきびしいことがわかります。
有料版と無料版の違い
Data Recovery Wizard Professionalには無料の体験版があります。無料版では最初の1GBのみしか復活はできません。それでもすぐに使ってみたいとき、性能を試してみたいときには非常に有効です。(体験版はこちらからダウンロード)
ハードディスク・SDカード・USBメモリなどの丸ごと復活や、深刻な事態(消してから何日も経っている場合など)でより詳細な調査を行いたい場合は有料版を考えてください。
Data Recovery Wizard Professionalは詳しいパソコンユーザーが試すであろう、あらゆる手段をワンタッチで実行してくれます。このソフトで復活できなければ残念ながらあきらめるか、データ回復会社に出すしかありません。
ただしデータ回復会社は非常に高額で、だいたいHDD一台で20万円以上が相場です。「そんなに高いの!?弱みにつけこんだ金額じゃない!?」と驚きますが、データ回復は大変な手間がかかるため、ボッタクリでもなんでもない金額です。(しかもこの金額でも復活できない時はよくあります)
まずはデータを無くさないよう、バックアップをしっかりと取りましょう。
Windowsのバックアップならフリーソフトの「BunBackup」が使いやすいです。ただいろいろな用語を知っていないと望み通りの設定はむずかしいと思います。
同じくEaseUs社から発売されている「EaseUs TODO Backup」は操作もカンタンでさまざまなバックアップ方法に対応しています。このような商品も考えてみるといいでしょう。
WTS的まとめ
非常にカンタンな操作でファイルを復活させられるソフトでした。画面もわかりやすく、操作自体もボタンを数回クリックするだけ。見つからなくてもディープクリーンサーチで限界までデータの痕跡を探してくれます。
Data Recovery Wizard Professionalは、かなりパソコンに詳しい人が行うであろうあらゆる復活手段をパッケージした、プロレベルの復活ソフトといえるでしょう。
Data Recovery Wizardの無料体験版はこちら
(体験版でも復活できる場合があります。まずはこれで試してみることをおすすめします。)
復活についての注意事項
USBメモリなどが使っている「フラッシュメモリ」は、書き込み動作がメーカーごとに大きく異なります。どのようなUSBメモリでも上記のような復活ができるとは限りませんのでご了承ください。
またパソコンが使っているハードディスク、SSD(エスエスディー)という記憶装置は、お使いの状況により一瞬で大量のデータが上書きされてしまう危険があります。なるべくすぐにパソコンを終了し、復活を試してください。