LANの高速化が進み始めました。
コンシューマーでは非常に長く1GbpsにとどまっていたLAN規格ですが、4Kや8K映像、高速ゲームが一般化し、いよいよ能力不足が顕著になってきました。
それを受け、最近は高速LAN規格が次々に採用され始めています。
採用が多くなってきているのは2.5Gbps、特殊な機器では5Gbpsほどまで。特に2.5GbpsはゲーミングPCやマザーボードで標準搭載されているものがかなり多くなってきました。
瞬間の判断が命取りとなるゲームの世界では、LANが高速であることも実力のうちといえるでしょう。
さらに4K、8Kなど大容量データを扱うプロのメディアクリエイトの世界では、2.5Gbpsや5Gbpsでもすでにボトルネック化。現状一般的に購入できる最高速度「10GbE(10Gbps)」を望む声も多くみられます。
そんな夢の(?)10GbEをThunderbolt 3接続で手軽に増設できるのが、今回購入した「センチュリー Thunderbolt3 to 10GbE LAN adapter (CATB3LAN10G)」!
Thunderbolt 3ポートに差し込むだけで、すぐに10GbEを実現できます。ポートの少ないノートPCはもちろん、スリムデスクトップや小型ワークステーションでも活用可能。
10GbEを標準装備したSynologyの強力なNAS「DS1621xs+」に接続し、LANとは思えない強烈な速度を体験していきます!
本体デザイン
本体デザインをチェックしていきます。
大きさは幅 133.5mm × 高さ 20.5mm × 奥行 55mm(ケーブル含まず)。成人男性の片手でぎりぎり収まる大きさ。ノートPCの電源アダプタほどのサイズ。
ボディは厚い金属製で、ずっしりと重い。公称値 約305gとなっています。
スマホなら2台分、8インチクラスのタブレットに匹敵する重さです。
ノートPCと気軽に持ち運ぶ機器としては現実的ではありません。社内で固定的に使ったり、PCIeスロットがない据え置きマシンに増設するためのもの、といった感じ。
本体側面にはスリットがあり、中が少し見えます。金属ボディと合わせ、放熱性は高そう。
逆に言えばそれだけ発熱するということでしょう。
収納ポーチもついてきます。細かい起毛のある布で、周りに傷を付けないように工夫されています。
ただし微妙に小さい!
本体はギリギリ収まり、スキマにケーブルをネジ込めばなんとか入る大きさ。ケーブルにけっこう負担がかかりそうなんですが、いいんでしょうかこれ!?
せめてもうひとまわり大きくしてほしい。
コネクタはType-Cを採用。
あれ?これってUSBコネクタ?と思った人は、するどい!実はUSB Type-Cポートとまったく同じカタチのコネクタです。
物理的に完全に同じ寸法、同じ内部コネクタなのでThunderbolt 3とUSBどちらにも接続することができてしまいます。しかし今回の製品はThunderbolt 3専用で、USB 3.0 Type-Cポートに接続してもまったく動きません。
非常にまぎらわしいので、お間違いのないよう接続してください。USB専用端子と、Thunderbolt / USB兼用端子があるノートPCなどでは特に注意してください。
Thunderboltポートには下記のアイコンがついています。このアイコンがない場合は、USBポートの可能性が高いです。PCの仕様を必ずご確認ください。
NASと接続しベンチマーク!
ではさっそく実力テストです!
10GbEポートを標準装備するSynologyの最新エンタープライズクラスNAS「DS1621xs+」に接続します。(DS1621xs+についてのレビューはこちらから)
テスト環境
・DS1621xs+でiSCSI LUNを10GB定義。
・Windows標準iSCSIイニシエータにてドライブとしてマウント。NTFSで初期化。
・CrystalDiskMarkにてベンチマーク。
計測しました!
どうでしょうかこの速度!!
おそろしいアクセス速度です。シーケンシャルリード 1000MB/s越え!!
もはや内蔵ディスクの速度です。SATA接続の内蔵ディスクは、最高速の製品でも550Mbps程度なので、その2倍に達しています。とてもLANの速度だとは思えませんね。
試しに5GBのファイルをコピーしてみますと、わずか5秒ほどで書き込みが完了します!
5GBが5秒です。500MBではありませんよ。
いやまったく、爽快な速度ですね!
大量のRAW画像でも、ギガバイトクラスの動画でも、ザクザクと書き込みができます。映像を扱うスタジオには、うってつけではないでしょうか。
ほんの少し前まで、このような高速通信はPCIeスロットに拡張ボードを挿すことでしか実現できませんでした。いまやThunderboltで接続するだけでサッと使えるのですから、とてもお手軽な時代になりました。
Adobe Lightroomで作業を行ってみました。
フォルダを切り替えると写真カタログが「パッ」と表示され、非常に快適。新しい写真を読み込んだときも、プレビュー作成バーがどんどん進み、うれしくなります。
ネットワークがボトルネックとなり編集が遅くなっていた現場は、10GbEを入れることで一気に数倍の作業効率を実現できるかもしれません。
少なくとも、データ読み込み待ちでボーッとする時間は減るはずです。
高速通信は、まさに現代ビジネスにおいて必須のパワーと言えるでしょう!
WTS的まとめ
センチュリー Thunderbolt3 to 10GbE LAN adapterは持ち運びにはちょっと不便な大きさと重さですが、PCIeポートのないスリムPCやノートPCに増設するならうってつけ!
2Gbps、5Gbpsとどんどん速くなっている家庭用の光通信も、全開パワーで楽しむことができます。
この速さを体験してしまったら、もう従来の1Gbpsには絶対に戻れません!
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