Lenovo ThinkPad X1 Carbon Gen 12実機レビュー | あたらしいCarbonの姿をチェック

4.5

当サイトの管理人も数世代にわたって所有したことのある「ThinkPad X1 Carbon」シリーズ。

堅牢性、サイズ、軽さ、そして長時間使用でもへこたれない良好な熱設計で、まさにプロ御用達の1台だと感じます。

さて、10年近くにわたって保守的なほどに姿を変えなかったX1 Carbonですが、今回のGen 12から、さまざまな「流儀」に変化が取り込まれました。

違いを比較しながら、その使い勝手の進化を見ていきます!

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デザイン

既存ユーザーがまず目に付くのは「はみ出たカメラモジュール」でしょう。それに加えて、「あれ?画面サイズがダウンした?」と思えるほどの小型化に気づきます。

実はこの2つの特徴はセットになっています。

カメラを画面ベゼルからはみ出させることによって、中央以外の余分なフレームを削り取ったわけです。

 

その結果、ボディサイズはまるで13.3インチに感じられるほど小型化。ディスプレイはもちろん14インチをキープしています。はみ出たカメラモジュールは最初は違和感はありますが、一度手に持ってみると、「この小ささを実現するならしかたないか」と思えます。

ちなみにこのはみ出し部分は、パネルを開けるときにけっこうベンリ!指を引っかけられるので、いままでよりラクに開けることができるのです。

カメラモジュールは指がひっかけやすい

 

筆者は「この使い勝手なら、はみ出しも”アリ”だな」と納得感がありました。

キーボード

キーボードを詳しく見ていきます。

今回はキーボードにも、歴史のルールを変えた部分がいくつかあります。

 

キーは数世代前から採用された、キーストロークが短い薄型タイプ。ストロークは短いものの、カタカタとしたしっかりした打ちごたえがあります。

キーの大きさや配列は極めて標準的。エンターキー周りにわずかに細くなっていますが、打ち間違いをするほどではありません。

 

新しくなったのは「Fn」と「Ctrl」の位置。

いままではThinkPadの「伝統」として、外側が「Fn」内側が「Ctrl」となっていました。これが大多数のメーカーと同じように外側に「Ctrl」内側に「Fn」の並びになりました。

他メーカーから移とわかりやすい反面、往年のThinkPadファンは困惑するかもしれません。BIOSで機能の入れ替えも可能ですから、大きな問題にはなりませんが、キートップは交換品を販売してほしいところ。

 

また電源ボタンと一体化することが多かった指紋認証機能ですが、右下に単体で設置されました。このキーは押しても下がりません。手前になったので押しやすくなりました。

指紋認証部分が独立したキーになった

ディスプレイ

ディスプレイは14インチ。レビュー機は1920 x 1200のWUXGA IPSディスプレイを採用しています。

sRGB 100%を達成しており、色合いは良好。映像はくっきりとしていて、文字も読みやすいですね!左右の視野角は非常に広く、急な角度からのぞき込んでも色が破綻しません。

 

ディスプレイには下記のオプションがあります。

予算が許せば、より精密な映像と濃厚な黒さ、120Hzのなめらかな映像が楽しめる2.8K OLED(有機ELディスプレイ 2880 x 1800)をおすすめしたいところ。映像やデザイン業務をする人は積極的に選びたいですね!

WUXGA(IPS) 1920 x 1200 タッチパネルなし 60Hz sRGB 100%
WUXGA(IPS) 1920 x 1200 タッチパネルあり 60Hz sRGB 100%
2.8K OLED(有機EL) 2880 x 1800 タッチパネルなし 120Hz DCI-P3
2.8K OLED(有機EL) 2880 x 1800 タッチパネルあり 120Hz DCI-P3
WUXGA(IPS)
プライバシーガード
1920 x 1200 タッチパネルなし 60Hz sRGB 100%

 

トラックポイント

キーボード中央には、ThinkPadのアイコンでもある赤色のトラックポイントを搭載。

 

指でわずかに押さえるだけで、マウスを自在に操れます。トラックポイントのおかげで、文字入力をしながらマウス操作をしても、ホームポジションからほとんど手を動かさなくて済みます。

多少の慣れは必要ですが、一度慣れるとタッチパッドの往復がめんどうに感じるほど便利です。

タッチパッドも装備

トラックポイントは慣れを要しますので、通常のタッチパッドも装備しています。

レビュー機のタッチパッドは従来型の1プレートタイプ。左下/右下を押し込むことで左/右クリックが可能です。タッチパッドも同色で、統一感があります。

表面はさらっとしており、指のすべりは上々。また高精細タッチパッドを採用しており、細かな指の移動にもスムーズに追従してくれます。操作感は上々です。

複数指でのスクロールなど、ジェスチャー操作も可能。

 

また今回からハプティック式のタッチパッド(オプション名は「触覚タッチパッド」)を選択可能。

MacBookシリーズをさわったことがある人は分かると思いますが、タッチパッドを押すと、「実際には押し込めていないのに、まるで押したような感触がある」不思議な装置です。この機能が選択可能になりました。

ThinkPadの触覚タッチパッドはまだ試せていませんが、MacBookでは力をそれほど入れずに、しかもどこでも同じ力でクリックできるため、とても使いやすいと思っています。(筆者はMacBook Pro M2を所持)

新世代の装置に興味があればえらんでみたいですね!ただ、オプション価格9,900円と、気軽に選択できないのが惜しい。

音質

スピーカーは下部2カ所に仕込まれています。けっこう大きな音にしてもクリアな音質で、映像鑑賞や音楽鑑賞も、十分楽しめるなと感じます。

静粛性

新型のファンは非常に静かです。軽い作業であれば、耳を近づけてもファン音はほぼ聞こえず、性能テスト中もそれほど大きくない風切り音でした。静かな環境でも安心して使えそうです。

ファンだけではなく、最新のCore Ultraプロセッサーの性能もあるでしょう。Core Ultraプロセッサーは低負荷な作業を専門で行う「低消費電力 エフィシェントコア」を備えており、いままでより小さな電力=低い発熱で動作します。ファンも一生懸命回らなくてよいわけですね。

細かな点ですが、いままで右側に吹いていた排気が、背面向けに改められました。これでマウスを持つ手に熱風が吹き付けることがなくなりました!うれしい微調整。

 

ベンチマーク

3DMark

ゲームベンチマークとして、ほぼ業界基準となっている3DMarkにてテストをしました。

ベンチマーク スコア
Night Raid 18411
Wild Life 10609
Wild Life Extreme 3683
Time Spy 1923
Time Spy Extreme 887
Port Royal 703

Core Ultra世代では内蔵GPUが強化されており、いままでのCPUよりだいぶなめらかになっています。

軽いゲームはもちろん、ミドルグレードのゲームも画質を落とせば十分に遊べそう。なかなかすごい性能です。

ちなみに従来のCPU内臓グラフィックスではほぼ動かすことができなかった、レイトレーシングテスト「Port Royal」が完走しているのがポイント。もちろん映像はコマ送り状態ですが、動くだけでもとんでもない。

PCMark 10

システム全体の性能を計測するテストです。

テスト スコア
総合 5614
Essentials 9383
Productivity 7815
Digital Content 6551

総合性能も十分に高く、デザイン作業など高度な作業にも余裕を持って対応できます。日々の事務作業は余裕を持ってこなせることでしょう。

 

 

WTS的まとめ

Gen 12はThinkPad X1 Carbonにとってもチャレンジの一台。

往年のユーザーは違和感を感じる部分もあるでしょうが、使っていくうちに「だんぜん新型がいいな!」と思うところも必ずあるはず。「形が変わっちゃったから避けよう」というのは、もったいない選択です。

長年のキープコンセプトを破ってまでも使いやすさを求める姿は、非常にユーザー寄り。ぜひ一度手に取ってみてください!

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