どうも、太田アベル(@LandscapeSketch)です。
- マウス
- トラックボール
- トラックパッド
- トラックポイント(ThinkPadなどが主に採用する、指で押さえるもの)
過去さまざまなポインターを動かすための装置が生まれてきましたが、現在主流として残っているのはこの4つぐらいでしょう。
今回レビューするのは”第5のマウス”となるかもしれない(?)、エジクン技研から販売されている「マウストラッパー Advance2.0」です!
まずは実物を見ていただきましょう!
「これって、リストレスト(手を置く部分)一体型の、単なるタッチパッドでは?」と思ってしまいますが、まったく違います。
ポインターを動かすこの部分、なんと「ベルトコンベアのように物理的に動く」のです!
予想がつかないその操作感!多数の写真と実例で徹底レビューします!
デザインを確認
全体のデザイン、大きさを見ていきましょう。
大きさはフルキーボードの横幅に近いですね。厚さもあり、ちょうどキーボードのリストレスト(手首置き)として使うことができます。公称値は幅:480 mm、高さ:20 mm、奥行き:110 mm。
キーボードとの比較です。(手元にテンキーレスのショートキーボードしかなかったため、うまく比較になっていません。すみません)
クッションはふわっとしていて、やわらかすぎず固すぎない、ちょうどよい感触。表面は目の細かい布地です。
キーボードに手を置きマウストラッパーを操作するところ。手の大きさと比較してみてください。僕の手は成人男性としてはごく普通の大きさ。手首から中指の先までは17cmほどです。
物理ボタンは5カ所6個。機能は後述します。
裏面にはすべり止めのゴム板がついています。
ゴム板は開くことができ、キーボードが低い場合は、キーボードの下に敷くことで段差を軽減できます。
接続はちょっと懐かしいUSB ミニBタイプ。
スマホもマイクロBからType-Cへの過渡期にあり、ミニBはほとんど見かけなくなりました。ケーブルを借りようとしても持っている人はほとんどいないと思うので、持ち運ぶときはケーブルを忘れないようにしたい。
マウストラッパーの画期的な動かし方
では実際に使ってみましょう!
大きさからカタチから、まるでタッチパッドのように見えますが、何が違うのでしょうか?
まず気になるのは、このギザギザのベルトのような操作部分(正式名称:コントロールパッド)です。
おおっ!まるでベルトコンベアのような、キャタピラのような動きです!上下に動かすとスルスルーっとなめらかに回転します。
表面は指がまったくズレないほど、摩擦力の強いゴム製です。指を置くと「スッ」と動き出し、まるで指にくっついたかのような一体感!といってもベタベタしているわけではありません。グリップ力が強いのです。
操作感は非常に軽く、またベルトコンベアのような動きが新感覚でおもしろく、意味もなくクルクルと動かしてしまいます。一度さわるとクセになる操作感です。
続いて左右はどうやって動かすのでしょう?
もちろん指を触れたまま左右へ動かすのです!今度はコントロールパッド部分が、ズズッとまるごと横に移動します!
うまいたとえが見つかりませんが、紙芝居(いまの20代以下は知っているのだろうか?)のように、ベルトコンベア部分が丸ごと横に動いていくイメージです。これは予想外。
縦スクロールと違いコントロールパッド全体が動くのに、まったく重くありません。縦スクロールと同様、軽い力で動かせます。
それ以上に、縦横の動きで力の具合をあわせてあるようで、どの方向へ動かすにも均等な力で動かせます。円を描くように動かしても、かかる力がまったく同じです。
非常に精密に作ってあります。
クリックはボタン?
続いてクリックです。
マウストラッパー Advance2.0には合計6個の物理的なボタンがあります。しかし、説明書を見ると左クリックのように見える左上の部分は、デフォルトではなぜか「左ダブルクリック」。さらに親指部分の左スイッチは「コピー(Ctrl + C)」なのです。
え?なんだこれ?
僕も最初この仕様に悩みました。
明らかに左クリックのような位置に、なぜダブルクリックとコピーなのか?じゃあ単なるクリックはどこに?
実は、左クリックは「コントロールパッド部分を軽く押し込む」なのです!
これは想像できなかった。
パッド部分をわずかに押し込むと「カチッ」と小さなスイッチの音がして、左クリックされます!またしても驚き。
クリック操作は、スクロール中に勝手に押されるほど軽くもなく、かといって指に力を込めなければならないほど重くもありません。まさに「押したいときに軽く押せる」絶妙なスイッチとなっています。
押し込むとベルト部分がふわっとたわむような感触で押し込まれ、カチッとスイッチの感触が返ってきます。新しい感覚。
普通のノートPCについているタッチパッドは固い板をたたくような感じですが、マウストラッパーはやわらかい感触。赤ちゃんのほっぺを押すような感じでしょうか。(笑)
クリックはコントロールパッド部分どこでも可能です。どの位置でも押し込み力は変わらず、右手、左手どちらで操作しても感覚は変わりません。
ドラッグは押し込みながら動かすだけ。この操作は慣れないうちは力加減にとまどいますが、数回やれば感覚的にうごかせるようになります。
物理ボタンを反対側から見てみましょう。コントロールパッド部分とは段差がありますが、ちょうど指の当たる部分にあります。
物理ボタンにはデフォルトでは以下の機能が割り当てられています。
ボタン | デフォルト機能 |
左上 | 左ダブルクリック |
右上 | 右クリック |
左下 | コピー(Ctrl + C) |
中央下 | スクロールアップ/ダウン |
右下 | ペースト(Ctrl + V) |
専用ソフト「MT Keysソフトウェア」をマウストラッパー公式サイトからダウンロードしてインストールすれば、ボタンの操作を非常に細かくカスタマイズすることができます。
ただし英語なのがちょっとつらいところ。エジクン技研の解説ページを参考にしながら設定してみてほしい。
とはいえ英語に弱い筆者であっても、パソコンで使われる一般的な用語ばかりなので、それほど苦労せず設定できました。
パッドでスクロールも可能
中央下には上下のスクロールボタンもありますが、コントロールパッドだけでもスクロールが可能です。
ベルト部分の右端を軽く押しながら上下すると、ページを送ることができます。これもベンリ!
キーボードと使ってみる
キーボードといっしょに使ってみました。
親指でも動かせるので、キーボードに手を置いたまま動かすことも可能でした。
もちろん手を移動しながら人差し指で動かすのが直感的でしょう。
右手、左手、どちらでもしっかり動かせます。タッチパッドではちょっと押さえが軽いと、マウスカーソルがどこかへ飛んでいったりしますが、マウストラッパーは物理的にベルトを動かすのでカーソルがまったく飛ぶことはありません。
リストレスト部分は取って洗える、交換できる
長年使っていくと目に見えて劣化するのはリストレスト部分。
高価な機械なので汚れてもカンタンに買い直すわけにはいきません。その点もマウストラッパー Advance2.0は安心。
下写真のようにパッドのみを取り外せ、洗うことも、新品に交換することも可能。非常に清潔に使っていけます。
「Advance2.0+」というモデルでは、パッド部分を撥水性のある生地にグレードアップが可能。
コロナウィルス感染防止に気をつかう毎日。洗うのではなくアルコールでカンタンに拭き取ることができる生地は、非常に手軽で便利です。衛生面に几帳面な方は、Advance2.0+も検討したい。
感覚的に使いやすい、ということ
ということで、マウストラッパー Advance2.0をさわってきました。
前回レビューしたエルゴノミクスキーボード「キネシス Advantage2」でもそうでしたが、エジクン技研の扱う機器は、主流の機材とはかけはなれたカタチであるにもかかわらずとても直感的に動かせます。今回も非常に良く考えられた機材だなと感心しました。
ほとんどのノートPCに装備されているタッチパッドは、動かしているつもりでも、なぜか途中で指についてこなくなる現象がよく起こります。動かないので何度もタッチパッドに触れると、今度はいきなりダブルクリック判定になって、またしてもよくわからない画面が開いてしまう。
高齢の方などは、画面と指が一致しないこの動きに非常に違和感を感じ、いらだちを覚えるそうです。「なんで俺はしっかり動かそうとしているのに、パソコンはうまく動かないんだ!」という感じでしょう。
マウストラッパー Advance2.0 は、スクロール部分の物理的な動きとマウスポインターの動きが一致しているので、直感的に理解できる動きです。
動かせば動く
動かさなければ動かない
言えば当たり前のことなのに、なぜか当たり前に動かないものばかりの世の中です。
マウストラッパーとタッチパッドを比べると、最新テクノロジーというのは進化しているようでいて、実は人間の感覚とかけ離れていっているのではないか、とついつい深いことを考えさせられます。
手の不自由な方もつかってみてほしい
タッチパッドはけっこう腕や指を動かさなければなりませんが、マウストラッパー advanced 2.0は指だけでもかなり動かせます。
FULL HDのディスプレイの場合、画面の端から端まで手を置き直さずカーソルを動かすことができ、手首や肘の動きがとても少なくなります。
操作は軽く正確で、動かしたいときのみ動くので、手のふるえがある方でもタッチパッドのようにカーソルが飛んで操作しにくいこともありません。
肘下が不自由な方、手首が腱鞘炎になりかけている方など、手や腕をいたわりたい方にもぜひ体験してもらいたいと感じます。
じゃっかんの料金はかかるが、実機の体験も可能
販売元のエジクン技研では、試用機の貸し出しも行っています。
もちろん特殊で高価な機器なので、貸出料金と本体代金のデポジット(返却後に戻ってくる)などが必要になりますが、使いこなせるか不安なまま購入するよりは気軽です。
また、直接エジクン技研を訪問し、30分間体験するというサービスも行っています。
所在地は「埼玉県さいたま市大宮区土手町1-1-4」です。もし距離が近ければ、体験サービスも活用してください。体験は無料ですが、こちらのページから予約が必要です。当然のことながらエジクン技研の営業時間のみとなっています。
エジクン技研はマウストラッパーだけではく、手首にやさしいマウス、キーボードやマウスの信号を足で入力するフットスイッチなど、体の不自由な方をサポートする装置も取りそろえています。
指や手首の問題に悩んでいたら、ぜひ一度試してみてほしいと思います。
WTS的まとめ
マウストラッパー advanced 2.0をさわっていて、僕はスマートフォンの操作と共通点も感じました。
高齢の方でパソコンを使いこなす方は非常に少数ですが、スマートフォンの普及率はかなり多くなっています。
令和3年の総務省発表の情報通信白書「情報通信に関する現状報告」から見ると、50代では83%ほど、60代は50%ほど、70代以上でも20%以上がスマートフォンを使用しています。
「目に見えているアイコンを指で押す」「スイッチをさわればON/OFFする」という直感的な操作が、むずかしさの障壁を取り除いているとも言えるのではないでしょうか。
高齢の方はパソコンが苦手なのではなく、「操作が苦手」なのではと思えます。
使いにくかったタッチパッドをやめマウストラッパー advanced 2.0にすれば、もっと意欲的にPCに取り組めるかもしれません。
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