どうも太田アベル(@LandscapeSketch)です。
この機種、レビューは書いていませんでしたが実は2台目の購入です。
唐突に何の話かといえばパソコン用スピーカーの話です。
こいつを初めて買ったのは2年ぐらい前。スピーカーのないデスクトップマシンに「音質は問わずに安いスピーカーを付けて、音を出したい」と探したのが始まりでした。
実際のところ”音が聞こえればいい”レベルの用事であり、予算も2,000円ぐらいで何の狙いもなくアマゾンを見ていました。
そこで出会ったのが今回レビューする「Logicool Z120」。
価格はわずか1,500円。”ベストセラー”と出ていたので、「ま、これでいっか」とカートに放り込もうとしたその時、異変に気が付きました。
Amazonのレビューを皆さん見ていると思いますが、たいていは2~30件、100件も付けばものすごい商品です。(大人気、もしくはダメすぎて炎上のどちらか)
しかし!Z120についていたレビュー数は、当時で確か500件以上!しかも星は平均4つという、まさに目を疑うレビュー数と評価だったのです。
さらにさらに、2017年8月現在では、なんとレビューは3800件を超え、星は4.5!なんじゃこりゃ!ここまでくるとトリハダ立ちますね。
2020年11月現在では、なんと7000件オーバー!すごすぎる。
2021年12月時点では、ついに11,000件を突破!信じられない売れ行き。そしてレビューを書きたくなる商品力!
Amazonにレビューを書く人なんて購入者のうちほんの一握りです。それでいてこのレビュー数だと言うことは、とんでもない数が売れている計算になります。
いったいこの激安スピーカーに何が起こっているのか!?詳しくレビューしていきます!
外観
さてZ120が到着いたしました!
箱の外観。特になにかを主張するわけでもなく、店に並んでいたら数あるスピーカーの一つとして素通りしてしまいそうな、フツーのデザインです。
そしてスピーカー本体。ちょっと変わったシェル(本体のガワ)の形ですが、これもまた強い特徴は特に感じません。
とはいえシンプルモダンでかわいげがあり、明るいクリーミーな白がやさしい雰囲気。プラスチックは厚くてしっかりしています。
配線はけっこう長めで、太さもしっかり。
激安スピーカーはすぐ断線しそうなほそ~い線で、ついでに短いというのが相場ですが、Z120はコストがかかっています。ケーブルの色は本体の白とマッチした、明るい白。(ただし2年ぐらい使うと黄ばんできます)
長いのはうれしいですが、長すぎるのも困りもの。そこでZ120はなんとスピーカーの裏側に巻いて調節できるのです!これ便利。ちょうどいい長さで使えるので、配線にうるさいオヤジもニンマリです。>自分
コネクタはピンジャックと給電用のUSBの2本。
とにかく外見に関しては控えめでごく普通です。
しかし・・・
驚くような音
人気の秘密はその音作りにあります。
ところでいきなり横道にそれますが、1,500円のスピーカーというと、どんな音を想像しますか?
僕は最初、スカスカのボソボソな音を想像しました。「ああ、聞こえてるね。昔のラジオみたいだけど」みたいなものを想像していました。
そもそもですよ、売値が1,500円ということはですよ、Amazonの手数料は20%と言われますから商品原価およそ1,200円。ついでに消費税も引かれる。さらにここからLogicool社の利益があり、運送代があり、梱包と箱代があり、のこった本体の原材料費はいくらだよ?とツッコミたくなるほどしかない。
本当に数百円の世界ですよ。数百円で「音作り」に取り組むとか、そりゃムチャだろと。
たとえがんばって材料費500円だとしても、それであなたがんばれますか?上司から「コストは500円しかないけど、アートな音作りをしようぜ!キリッ」とか言われてもシラケるでしょ。ま~たあの部長がムチャ言っているよ、と。
ふつうは投げやりになるもんなんです。こういう激安商品って。
その証拠に、たいていの激安スピーカーはヤバいです。悪い意味で。
以前買った某隣国製の800円のスピーカーなんて、高音が割れまくっていて、ヴォーカルが高い声を出すとジュラシックパークの恐竜みたいな声になってましたからね。30分ぐらい笑って死にそうになりました。ネタとしては割安だった。何の話だ。
とにかく音響の世界はコストとの戦いです。高けりゃ高いほどいいとまでは言わないけれど、3000円と10万円では、やっぱり次元が違う。1,500円のスピーカーなんて言わずもがな。期待するほうがおかしい。
しかしZ120だけは違いました。
1,500円で買ってきて、何の期待もせずにPCにつなぎ、何の期待もせずに音楽を鳴らしたとき「えっ?」となる。いま誰が鳴らしたの?みたいな。
え、え、ちょっと待って!おまえいつの間にそんなに・・・!?いつも遊んでいた友達が、突然合唱団でイイ声で歌いだしたかのような驚きです。
明らかに値段を超えている、妙にしっとりとした音が出力されるのです。
まず音全体がすっきりしています。ザーザーもコワコワもプツプツも言わない。いたって素直な音です。
そして意外に伸びる高音。もちろん限界は低いですが、聴きたい範囲まではすうっと上がっていく。しかも、その後ろで中低音のいろいろな楽器が響いていても、ザワついたりしない。
低音はほどほどにしか出ないけど、一生懸命に出しているという印象。どうせこんな小さなボディで重低音なんて無理ですから、設計者はそれをわかってほどほどで抑えてある。むしろ変に低音に振っていないから中高音がうまく出ている。いいバランスです。
音としてはやさしい音。カドがほどよく丸く、ずっと聴いていても聴き疲れしにくい音です。
クラシック、ジャズ、アンビエント、ポップス、どれもそれなりにうまく聞こえます。コーン(音を出す部分)の特性を知って、一番いいところを出すよう仕向けてある感じがします。
静かに流すBGMには最強。
最高に良くできた激安スピーカー
いろいろな人に聴かせて、「これいくらでしょう?」とたずねてみると、だいたい3,000円~6,000円ぐらいという答えが返ってきます。値段を言わなければそのぐらいに感じてしまう音なんです。
Amazonのレビューでも「意外な音」「びっくりした」「レビュー通りにすごかった」という意見がちらほら。
そりゃもちろん10万円のシステムと比べたら、高音が消えるだの低音が聞こえないだの音のメリハリがないだの、いいたいことは山ほど出てくるでしょう。そういう意見で星1つを付けているレビューもありました。
でもそれって、何と比べようとしているの?という話です。いったいいくらのスピーカーと比べようとしてるのか。
「いつもは5万円のヘッドホンで聴いているけど、1,500円でレビューが高評価だからそれに近いかと思った」って、それは期待のしすぎというものです。
もしZ120が自分の意志でしゃべれるなら、「文句を言うならもっとお金を出して違うのを買えば?」と笑うに違いありません。私はコスト制限盛りだくさんの激安スピーカーなんですよ?と。LINNとZ120を比べて有意義な知見が得られるとは思えません。
なんだか今日はやたらと横道にそれるな。
まとめると、Z120は「最高に良くできた激安スピーカー」です。
100円もしないアンパンを買ったのに異様にしっとりしていて驚いたとか 、名もない店のラーメンが自分の求めていた味で感動したとか、そういう”気持ちがいい裏切られ方”なんです。
どの世界にも安いコストで限界に挑むプロダクトがあります。Z120はやるべきことをしっかりやった職人芸の世界を見せてくれる、そんなスピーカーです。(もしかしたら偶然の産物だったのかもしれないけど、商品が良ければ全てよし)
Amazonのレビューでも「高額なシステムを使っているがZ120を複数台購入した」、という報告がちらほらあります。
超高解像度のシステムで聴き続けるとけっこう疲れます。そんなとき、Z120のほんわかゆったりした気楽な音が、逆に癒されるのかもしれない。そんな気がしました。
WTS的まとめ
久々に熱が高いレビューになってしまいました。しかも1,500円のスピーカーに。(笑)でもこれだけたくさんの人に好きだと言ってもらえる商品が作れたら、職人冥利(みょうり)に尽きるでしょうね~。一生に1回は、僕も長く愛される何かを生み出したいものです。
Logicool Z120、おすすめです!