FuelPHPを使うなら確実に買うべき良書 初めてのフレームワークとしてのFuelPHP 改訂版 レビュー

 

本当にこの本を待ってました!

FuelPHPでサイトを作りまくっている太田アベル(@LandscapeSketch)ですこんにちは。

軽量高機能PHPフレームワークとして非常に盛り上がっているFuelPHP。その日本コミュニティをけん引する一人である鈴木憲治さん(@kenji_s)が著された本です。

FuelPHPの環境構築から概念、実用までを広範に、しかもていねいに解説された買ってソンはない良書

当初は電子書籍でした

初めてのフレームワークとしての1FuelPHP(第一巻)」は達人出版会より発売された電子書籍でした。第一巻は2012年8月3日に発行され、FuelPHP Ver.1.2について解説されていました。

当初FuelPHPはまだまだ出たばかりで、ほぼ英語の資料しか無い状態。少ない人数がメーリングリストなどを頼りに学び始めたころでした。

FuelPHPの高速性、柔軟で明快な設計、高いセキュリティ機能はある程度使えばすぐにわかるのですが、いかんせん使うまでにどうすればいいの?という情報がまったくない状態でした。

 

そこに登場したのが「初めてのフレームワークとしてのFuelPHP」電子書籍だったのです。

FuelPHPをもっと使いこなしたい!という人々が飛びつき、非常にわかりやすく実用に結び付けられる内容で人気が定着。

FuelPHPを使うならまずこれを読め」といえる教科書的な存在となったのです。

その後、FuelPHPユーザーがそれぞれのワザを披露するAdvent Calender 2012、2013の電子書籍化(僕も入ってます)などを経て、2014年4月に最新FuelPHP 1.7.1に対応した電子書籍、「初めてのフレームワークとしてのFuelPHP 第2版」が発売となるのです。(Ver.1.7.2への対応も予定されています)

初版ですでに歴史がある本

ちょっと長く説明してしまいましたが、つまりこの本は「ちょっとFuelPHPを使えるようになったから本を出しました」というオレオレ経験則ばかりの浅い本ではなく、ベータバージョンから徹底的にFuelPHPを使いこなし、Ver.1.7まで教科書として存在し続けている本の「紙バージョン」なのです。

初版ではありますが、すでに数年分のバージョンアップを経ている本なのですね。この時点ですでに鉄板の本だといえるでしょう。

 

僕はFuelPHPでの開発時には必ずこの本のPDF版を開いておくほどです。(日曜プログラマなのですぐに忘れるんですよね・・・)

PDF版は検索ができるという利点がある反面、画面がゴチャゴチャしますし、ふせんをはったり線を引いたりが手軽にできません。

印刷しようにも数百ページに上るので印刷代もバカになりません。

「本にならないかな〜」とずっと思い続けていましたので、今回の紙書籍はほんとうにうれしい一冊です。

環境構築から実用まで

初めてのフレームワークとしてのFuelPHPが優れている点は、フレームワークの使い方だけではなく、環境構築から解説されている点です。

それぞれの章を見ていきましょう。

 

第一部は「環境構築編」

NetBeansをメインIDEとし、テストサーバをXAMPPやVagrantで、コード管理にGit、デバッグにXDebugを使うことを解説。それぞれインストールから設定方法まで載っているので、完全にゼロからの出発でも安心です。

また環境構築はWindows、Mac (OS X)、Linux (Ubuntu) の三大OSで解説してあるのでいちいちコマンドラインを読み替えずに使える点もうれしいですね。

「Linuxでのインストールはわかったけど、Windowsではどうすればいいのかわからない」など始める前に頓挫することはないでしょう。

第二部は「入門編」

フレームワークの概念(HMVCや自動生成の動きなど)から、「どこにどんなコードを書けばいいのか?」という具体的な内容へと進みます。

さらにセキュリティ的に問題となる点や「なぜこのコードが必要になるのか?」というようなコード規約の意味付けなども詳しく解説されます。

 

フレームワークを使いはじめると、「なんだこの覚えにくいコード設計は!俺はイヤだ!もっと自由にやるんだもんね!」という拒否反応が出がちですが、コード規約の意味が解説されていることで「あ、これを使うとあとがすごくラクになるんだ!じゃあ使おう」という素直な心が芽生えます(笑)。

またフレームワークの設計はほとんどの場合PHPエキスパートが行っています。下手にアレンジするのは危険とすら言えるでしょう。

 

そして具体的なコード記述とテスト方法について解説が続きます。使うと便利ですがいまいち使い方がわからないユニットテストについてはとても参考になります。

第三部は「実践編」

コンタクトフォームを作りながら、設計、コーディング、DBの使い方を解説。さらに管理者ページ(SimpleAuthを使ったAdminページの安全な作り方)も同時に解説されます。

FuelPHPの機能をより深く使い、しかも大半のサイトで必須となる管理ページの作り方なので、参考になる部分が非常に多い章です。安全に、使いやすく、しかも作りやすくするテクニックが満載です。

最後にデプロイ時の注意点など、より高度な使い方が解説され、まとめとなります。

 

以下は目次の一覧です。(出版社ラトルズからの引用)

はじめに

第1部 環境構築編
第1章 FuelPHPとは?
第2章 PHP開発環境の構築
第3章 FuelPHPのインストール設定
第4章 NetBeansの設定

第2部 入門編
第5章 はじめてのFuelPHP
第6章 FuelPHPのMVC
第7章 FuelPHPの機能概要
第8章 FuelPHPの拡張
第9章 FuelPHPでのユニットテスト

第3部 実践編
第10章 コンタクトフォームの作成
第11章 コンタクトフォームの改良
第12章 コンタクトフォームのリファクタリング
第13章 データベースの使用
第14章 管理ページの作成
第15章 コントローラのユニットテスト
第16章 コードカバレッジ解析

付録A 本番環境へのデプロイ時の注意点
付録B 参考文献

教科書としても辞書としても

最初から最後まで、本のとおりに読み進めばゼロからのスタートでもFuelPHPを理解し、使える段階までエスカレーターのように進めます

また、使えるようになったあとも「あれ?バリデーションってどうやって書くんだっけ?」という困ったときの辞書としても活用可能です。

教科書としても辞書としても、ずっと使い続けられます。

WTS的まとめ

僕としてはコスパ最高ランクの一冊です。

作者の鈴木憲治さんはPHPそのものの解説本、さらにはPHP5技術者認定[上級]の公式問題集にさえ参加されているPHPのエキスパート

FuelPHPだけにとどまらない非常に広い視野で解説をされていて、普通では気づきにくいセキュリティホール(CSRF、SQLインジェクション、クリックジャックなど)や、Oil Migrateのコード問題などにも細かく解説が付いています。安心して参考にできますね。

 

とにかく価格以上の知識が得られる、FuelPHPを使うなら買ってソンはない一冊です。

(ちなみに、達人出版会の電子書籍版はFuelPHP Ver.1.7.0までの対応です。2014年10月19日現在、メインの安定版はVer.1.7.2。今回の紙書籍は1.7.2まで対応していますので、電子書籍版を持っている人でも補強として買ってもいいでしょう。)

 

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